『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は宇宙世紀の新たな扉を開く!

何度かの公開延期を経てついに劇場公開を迎える、ガンダムシリーズの最新作となる映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』(以下、『閃光のハサウェイ』)。本作は、原点である『機動戦士ガンダム』から登場した劇中の時間軸「宇宙世紀(Universal Century)」を舞台としており、宇宙世紀の新たな100年を描く「UC NexT 0100」プロジェクトに連なる作品でもある。

宇宙世紀0090年代、地球連邦政府は、一部の特権階級が地球に住み続けるために、人々を宇宙へと送り出す政策を取り、宇宙生活者を地球から支配する状況を盤石なものとしていた。地球連邦政府の支配体制を終わらせ人類を平等にさせるべく、ネオ・ジオン軍を率いるシャア・アズナブルが取った手段は、地球に小惑星を落下させ、全ての人類を宇宙に住まわせるというものだった。「シャアの反乱」と呼ばれるこの戦いは、シャアのライバルであるアムロ・レイが所属するロンド・ベル隊の活躍とサイコ・フレームが引き起こした奇跡的な力によって、その目論みは失敗する――。
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』で起こった、この出来事を知ることが『閃光のハサウェイ』を理解する上で重要な要素となっている。

『閃光のハサウェイ』の舞台となるのは、宇宙世紀0105年。「シャアの反乱」=第二次ネオ・ジオン戦争から12年が経過した世界では、一年戦争以降も度々紛争を起こしていたジオン公国軍の残党勢力はほぼ消え去っていた。一方で、腐敗した地球連邦政府による宇宙生活者の支配体制は変わることはなく、地球の汚染は進み、圧政を続ける政府に対する市民の反発は大きくなっていた。

そんな中、地球連邦政府の高官たちを暗殺するという形で抵抗を開始したのが、リーダーであるマフティー・ナビーユ・エリンの名を冠した反地球連邦政府運動「マフティー」だった。マフティー・N・エリンの正体は、ロンド・ベルを指揮していた連邦軍大佐ブライト・ノアの息子、ハサウェイ。『閃光のハサウェイ』は、「シャアの反乱」において、シャアの理念と理想を知り、アムロの意思に触れた、ハサウェイの新たな時代における戦いが描かれていくことになる。

(C)創通・サンライズ

これまでの宇宙世紀を舞台としたガンダム作品の多くは、異なる主義を持つ組織が激突する「戦争」の状況が描かれ、客観的な視点から戦いの全容とそれに絡む群像劇が展開されるスタイルだった。
しかし『閃光のハサウェイ』の視点はもっとミニマムであり、主人公・ハサウェイへと寄り添う「体感没入型」とも言えるスタイルとなっている。地球連邦政府の目下の敵が反発感情を持つ一般市民となった、宇宙世紀0100年代初頭での「戦争」の形は大きく変わっており、『閃光のハサウェイ』の映像からもその変化を感じ取ることができるようになっている。

ハサウェイは〈マフティー〉のリーダーという立場ながら、強固な意志を持つ指導者ではなく、さまざまな状況に思い悩む人物として描かれていく。ターゲットである政府高官や軍人たちがマフティーに抱く感情、自分たちが画策した空襲に巻き込まれた脅威と恐怖感、そして一般市民たちの〈マフティー〉への反応や思い。ハサウェイの視点に近い位置から物語に入っていくことで、腐敗しきった地球連邦政府の在り方や〈マフティー〉の活動の危うさを含む「新しい宇宙世紀の世界」を体感することになる。

本作の最大の見所といえば、やはりメッサーの空襲シーンだろう。都市部でモビルスーツが戦う状況に巻き込まれるとどんな状況になるのか、リアリティを持って描かれている。放たれたビームの粒子はアスファルトを溶かし、ジャンプするために噴射する推進剤は公園の木々を炎上させる。モビルスーツ同士の戦闘は大きな被害を生み、人々は簡単にその惨禍に飲み込まれてしまう。本作は天井にもスピーカーを配置した立体音響システム「ドルビーアトモス」に対応、劇場の大スクリーンで味わうリアリティあふれる映像と場内を包み込むように響く音響のミックスは、未来の戦場の臨場感を味わせてくれるはずだ。

ナレーションや説明セリフを廃し、キャラクターの仕草や表情で映像に引き込む実写フィルム的アプローチもまた、これまでとは一味違う「一般性を獲得した新たなガンダム作品」を送りだそうとする試みにあふれている。全3部作として制作される本作がどのように進化していくのか、今後のガンダム作品に大きな影響を与えるであろう可能性の嚆矢をぜひ劇場で「体感」してほしい。

>>>『閃光のハサウェイ』場面カット・ポスタービジュアルを見る(写真8点)

(C)創通・サンライズ

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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