【映画コラム】映画製作の舞台裏を楽しく見せる『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』

テレビファン


 今回は、6月4日公開のコメディー映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』を紹介しよう。

1974年のハリウッド。ギャングのレジー(モーガン・フリーマン)への借金返済に窮したB級映画のプロデューサーのマックス(ロバート・デ・ニーロ)は、危険なスタント撮影で俳優を死亡させ、保険金をせしめるという詐欺を思いつく。

マックスは往年のスター、デューク・モンタナ(トミー・リー・ジョーンズ)を老人ホームから連れ出し、西部劇『西部の老銃士』の撮影をスタートさせる。だが、デュークは思いのほかしぶとく、マックスの策略は次々に失敗。撮影は順調に進んでしまうが…。

この映画の監督は、デ・ニーロ主演の『ミッドナイト・ラン』(88)の脚本を書いたジョージ・ギャロ。映画に関する小ネタを挟みながら、映画製作の舞台裏を楽しく見せてくれる。

そして、うさんくさいプロデューサーも、落ちぶれたスターも、ギャングの親分も、新人女性監督やスタッフも、実はみんな映画作りが大好きというところがこの映画の真骨頂。

劇中映画の『西部の老銃士』と『尼さんは殺し屋』、そしてマックスがこだわる『パラダイス』という映画の脚本…。多分どれもたいしたことはないと思うが、これらも全編を見てみたくなった。

ギャロ監督は「私はこの映画が単純に人々を笑わせることを願う。現在の私たちは暗く不確かな時代にいる。笑いというのはいいものだ」と語っている。

ところで、この映画の基はギャロ監督が若き日に見たハリー・ハーウィッツ監督の自主映画『THE COMEBACK TRAIL』(この映画の原題と同じ)で、ギャロ監督はこれをリメークすることをずっと夢見てきたという。

その後、亡くなったハーウィッツの妻と偶然知り合い、リメーク権を獲得。同じ頃、デ・ニーロから「何か楽しい作品をやりたい」と言われて、製作がスタートしたというのだから、これ自体が映画のような話だ。

そんなこの映画を見ながら、不治の病に侵されたと思い込んだ刑事が、元妻と子どものために、派手に殉職して多額の保険金を残すことを思いつくが、皮肉にも次々と手柄を立ててしまう姿を描いた『天国に行けないパパ』(90)のことを思い出した。

優れたコメディーの多くは、当事者は真剣なのに他人から見れば滑稽に映るというギャップから生まれるのだ。(田中雄二)

当記事はテレビファンの提供記事です。

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