「あなたのためだから」は危険。“隠れ毒親”の口癖5つ

女子SPA!

 体罰、暴言、過干渉……子どもを自分の思い通りに支配しようとする毒親。我が子を愛する普通の親でも、時に子どもにとって毒となる言動をとることがある。

◆日本社会の仕組みが“毒親”を生む

カウンセラーの高橋リエ氏は、子育て世帯の孤立や、しつけや育児に対する同調圧力などの要素が重なり、現代の日本は「毒親」を生みやすい社会になっていると語る。

「戦前まで、子育ては親戚や近所の人々と協力しながら行うものでした。ところが、核家族化が進み、子育て世代が孤立した結果、現代の親は、育児だけでなく家事も仕事もこなす必要に迫られています。負担が増えて余裕がなくなると、弱い存在である子どもにストレスの矛先が向いてしまうのです」

こうした育児環境の問題に加え、親には“子どもをきちんとしつけなくてはいけない”というプレッシャーがつきまとう。

「本来、子どもは3歳までしつけをする必要はありません。ただかわいがるだけでいいのです。しかし実際は、“親が子どもをしつけるべき”という強迫観念が、昭和から数世代にわたって受け継がれています。

自分が幼少期に叱責されて育てられた親は、子どもが騒いだり、食事中ご飯をこぼしたりといった、ちょっとした失敗にも反射的に声を荒らげる傾向があります。親自身がコントロールできないほどの感情を日常的にぶつけられた子どもは、過緊張体質になりやすく、将来アダルトチルドレンに育つ一因にもなってしまうのです」

◆過度なしつけがトラウマに

また、日本人特有の横並び意識も、子どもに毒を与えてしまうきっかけとなりうる。

例えば、子どもを保育園に通わせている都内在住のA子さんは、4歳になった子どもが、ひらがなを読めないことを気に病んで、家で猛特訓させたという。

「お友達の中には、カタカナまで読める子もいる。自分の子どもの発達が遅れているのではないかと心配になって、トイレの壁に五十音表を貼ったり、夜、子どもが寝たがっているのに無理に絵本の読み聞かせをしたりしていましたね」

A子さんのように、周囲と比べて焦りを募らせる親は少なくない。

「文字の読み書きを覚えるのが遅い、小学校中学年なのに逆上がりができないなど、ヨソと比べて自分の子どもにできないことがあると必要以上に心配する親もいます。そのことで子どもを責める、無理に練習させるなどの行為は、トラウマを植えつける行為といえるでしょう」(高橋氏)

◆暴言だけじゃない、子を追い込む親たち

さらに最近は、父親が積極的に育児や教育に関わるようになったことで、夫婦で毒親化するケースもある。

「もちろん父親が進んで子育てをするのは素晴らしいことですが、夫婦ふたりがかりで厳しくしつけるようになると、子どもは逃げ場を失ってしまいます。もしも母親が子どもに厳しい場合は、父親は優しく、共感して味方になってあげるといいですね」(同)

一方、毒親という言葉が世間に浸透するにつれ「自分は絶対にそうはなるまい」と考える親も増えている。

しかし、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏によると、暴言や体罰を用いずとも、子どものメンタルに悪影響を及ぼすパターンもあるという。

「毒親というと感情的な暴言を吐く印象もあるため、論理的な言葉で子どもを諭そうとする親もいます。ただ、『どうして?』『約束したでしょ』などの言葉を用いて誘導することで、子どもがNOと言えない状況に追い込んでしまうこともあります。

親は往々にして、子どもにとって負担になるような約束や言いつけをしがち。圧倒的な力の差がある中で、親が正論を振りかざして叱り続けることが、子どもの心にダメージを与えてしまうのです」

◆「あなたのため」は“隠れ毒親”の常套句

たとえ攻撃性がなくとも、子どもにとっては毒となるパターンもある。それは「子どものため」という大義名分を掲げる親に多い。

一見すると愛情深いようで、実は毒をもった“隠れ毒親”は、表向きは子どもを心配しているまっとうな親に見える。しかし実際は、子どもの心よりも自分の気持ちを優先しているのが特徴だ。心理カウンセラーの諸富祥彦氏は次のように解説する。

「『あなたのために言っている』『あなたが心配だから』という言葉は、子どもの自由を奪う決まり文句です。例えば、親子でパン屋に行ったとして、そこで子どもが『カレーパンが食べたい』と言っても、隠れ毒親は『でもカレーパンは辛いから、あんパンにしようね!』と、子どもの意思を尊重せずに自分の希望を押しつけるのです。

ほかにも、『その服よりこっちの服のほうが似合う』『そのアニメよりこっちのアニメのほうがあなたのためになる』など、日常生活のあらゆる点で口を出し、すべて意のままに操ります」

こうした言葉で親の思うままに誘導されてきた子どもは、自分の意見や考えが持てなくなり、「どう答えると親は喜ぶのか」という物差しでしか判断ができなくなってしまうという。

「隠れ毒親の最たる特徴は、子どもの進路決定や結婚などの人生の一大イベントのときに現れます。進学先や結婚相手など大きな選択のときほど『あなたのために言うけど』と、口を挟んでくるのです」

◆気付かないうちに毒親化しているケースも

こうした過剰な干渉も、子どものためを思っての言動なので、毒となっていることに気がつかない親がほとんどだ。

「暴力やネグレクトなど、あからさまな毒親であれば、子どもは危機感を抱いて逃げ出すこともあります。しかし、真綿で首を絞めるように愛に満ちた支配の下では、子ども自身も毒親に育てられている自覚がなかったり、息苦しさを感じてもなかなか逃げられない。ある意味、わかりやすい毒親よりもタチが悪いですね。

人は誰しも心の安定を求めるもの。そして、親にとっての心の安定とは、子が自分の思い通りに成長してくれることです。自分が安心するために、子どもにあれこれ強制してしまう。だから、子を持つ親は皆、程度の差はあれど、毒親なんです」

毒と愛情は紙一重。誰しもが毒親になる可能性を持っているのなら、まずは己が毒親になっていないかを疑い、本当に子どもと向き合っているのか自分自身に問いかけてみたい。

◆子どもの発達に影響を及ぼす「毒親」語録

「あなたのためだから」

「心配だから、注意しているんだ」

「なんでできないんだ」

「約束したでしょ」

「だから言っただろ」

◆子育てにまつわる300人アンケート

Q1:一日(平均)何回子どもを叱る?

5回以上:5%

2~4回:23.3%

1回:28%

叱らない:43.7%

Q2:夫婦2人で同時に子どもを叱る頻度は?

ほとんど毎日:2%

週に3回:4%

月に数回:17%

年に数回:22.7%

ほとんどない:54.3%

Q3:子どもの前で夫婦喧嘩(もしくはパートナーの悪口を言う)をする頻度は?

ほとんど毎日:2.7%

週に3回:7%

月に数回:16%

年に数回:32.7%

ほとんどない:41.7%

◆70%以上が自分を毒親だと思っていない

Q4:自分は毒親だと思う?

思う:5.7%

少し思う:22.3%

あまり思わない:40.3%

まったく思わない:31.7%

Q5:子どもに何種類の習い事をさせている?

5つ以上:0.6%

3~4つ:7.7%

2つ:18%

1つ:38%

通わせていない:35.7%

Q6:嫌がる子どもを無理やり塾や習い事に通わせたことはある?

YES:24.3%

NO:75.7%

※アンケート対象者/3~18歳までの子どもと同居する男女計300人、リサーチ期間/’21年4月16~19日

【心理カウンセラー、明治大学教授 諸富祥彦氏】

教育、子育て、教育現場に関するカウンセリングを研究。日本トランスパーソナル学会の会長を務める。著書は200冊以上

【教育ジャーナリスト おおたとしまさ氏】

育児や教育に関する執筆・講演活動を行い、著書は60冊以上。ラジオ出演やメディアへの寄稿など、活動の場は多岐にわたっている

【カウンセラー 高橋リエ氏】

’12年より毒親に悩む人向けのカウンセリングサロンを開業。メールマガジンの登録者は9500人を超え、海外にも多くの読者がいる

― [急増!]毒親してる人―

<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/工藤玲久 アンケートリサーチ/パイルアップ>

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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