魚豊先生に聞く『チ。』のタイトルに込めた意味 川島・山内のマンガ沼web


麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、川島が「マンガ家というより人類で一番会いたい人」と熱望する『チ。―地球の運動について―』の作者・魚豊先生にガチアンケートを実施。魚豊先生、初のテレビ取材となったアンケート前編の模様をお届けします。

魚豊先生、初登場?


出典: 池ノ谷侑花(ゆかい)

川島 これまで森川ジョージ先生をはじめ、森田まさのり先生、たーし先生……いろいろな先生がリモート参加やスタジオ参加で来てくださったんですけど、魚豊先生にも「ぜひご参加いただけませんか?」とお願いしたところ、なんと「芸人を尊敬しすぎているので、一緒に映るのは悪い」とおっしゃって。

山内 ほう。

川島 「なので今回はアンケートの回答(記述)のみにさせてください」と。

山内 遠回しの「お断り」ということですね。

川島 と思うでしょ? 見には来てる(笑)。このパターンが一番ドキドキする。

山内 カメラの後ろにいる方ですね。

川島 魚豊先生、もちろん本名じゃなくペンネームですよね。何歳かもわからないし、どこの方なのかもわからない。というところで先ほど初めて見ましたけど……神様みたいなルックスしてません?

山内 そうでした。見ても性別がわからない。

川島 「美しい……」と思いました。なので先生は僕の(数メートル先の)対面に座っておられるんですけど、アンケート以外にどうしても聞きたいことがあれば、スケッチブックを渡してるので、イエス・ノーくらいは答えてくれるらしいです。

山内 あのー……もう出てくれませんか(笑)?

川島 魚豊先生のガチアンケート、最初の質問はこちら。

出典: 読売テレビ

川島 とにかく「読んだことがない人は逆に幸せ者だ」と思うくらい、「マンガでこんなテーマを取り扱うんだ!?」という衝撃があるんですよ。

出典: 魚豊/小学館

魚豊先生の代表作
『チ。─地球の運動について─』(小学館)
・ビッグコミックスピリッツで連載中。
・現在第3集まで発売中。
・マンガ大賞2021で第2位に選ばれた大注目の話題作。
・物語の舞台は、まだ「天動説」が信じられている15世紀のヨーロッパ。
・異端者だと迫害を受けながらも自分たちが美しいと信じる「地動説」の証明に命をかける人々の熱い想いの物語。

山内 僕は川島さんに教えてもらって読みましたけど、今まで自分が読んだことないジャンルですし、不思議な気持ちになるというか、いろいろ考えさせられましたし、好きなマンガのジャンルが違う人が読んでもすごい気持ちにさせられるマンガですよね。

川島 そのタイトルが『チ。』に決まった理由を聞きました。回答はこちら。

魚豊先生の回答
タイトルは最初から『チ。』でした。『チ。』という一文字は”地”以外にも様々な意味に変換できる言葉ですし、単純に”チ”という文字の形が不気味であり、同時に美しい。

山内 最後、変なこと言うてる。前半はわかるけど後半の言葉が……。

川島 ディオがしゃべってるような言葉ですよね。

魚豊先生の回答の続き
それが作中の「地動説」と同じ印象を出している気がして、我ながらピッタリなタイトルだと思います。

川島 ここですよね。やっぱりタイトルのつかみ。一文字のタイトルってあまり見たことないんですけども。

山内 僕もないですね。「なんだチ。は?」ですよね。

川島 ……(苦笑)。作者が来てる前でそんなしょうもないこと……もうやめて! ちなみにタイトルにまつわる補足情報がこちらです。

魚豊先生に取材した補足情報
・「地動説」という題材を決める前に、【知性と暴力】をテーマにしたマンガを描くことだけは決めていて、「知性の知」と「暴力の血」で「知と血」にしようと思っていた。
・さらに題材が「地動説」に決まり、「地」まで入ってきたので『チ。』しかない!と思った。

川島 「地動説」は後からなんだ。へえー。

山内 先にそっちを決めたようなイメージでしたよね。

川島 「地動説をマンガで描いた人がいないから僕が描くんだ!」じゃなくて、まず「知性と暴力」だったと。

山内 タイトルに句読点のマルがついてるじゃないですか。僕、読んだときに「マルにも意味があるんじゃないか?」と思ったんですよ。

川島 それもアンケートでお聞きしました。

出典: 読売テレビ

川島 もちろんこれは句読点のマルなんですけど、タイトル画像を見ると、完全に公転しているように見えるんですよ。

川島 これもやっぱり意味があるのかな、と思って聞かせていただきました。先生の回答はこちら。

魚豊先生の回答
自分でも理由はわからないのですが、「。」が単純に好きで付けることが多いです。
(同様の理由で「りんたろー。」さんも好きです。)

川島 ちょっと天才ぶってません(笑)? さすがにこれは自分でわかるでしょ。

(ここから魚豊先生、カメラの後ろから声だけで参加)

魚豊 そう答えた方が、ミステリアスで知的に映るかな?と思って(笑)。

川島 まさか見学に来て、こんな話を振られると思ってなかったでしょうね。アンケートだけ見たらこれは素晴らしい回答ですよ。

魚豊 笑われるとも思ってなかった……。

川島 いやいや、笑ってはないですよ!

魚豊先生の回答の続き
「。」は地球を表していると同時に、文の停止を意味する句点に軌跡を足すことで、「止まっていたものが動き出す」というコンセプトを表現できると思い、タイトルデザインのアイデアを提案させていただきました。

山内 すごいなあ。

ロゴ出典: 魚豊/小学館

川島 だから読んだことのない人にとっては、このマルは止まってるんですよね。でもこの『チ。』という作品を読んだ人にはこれが動いているように見える……というすごい仕掛けですよね。すごく計算してる。続いての質問はこちらです。

出典: 読売テレビ

川島 僕はまず『ひゃくえむ。』から魚豊先生のファンになったんです。で、たしかに『ひゃくえむ。』 に句読点のマルがついています。

魚豊先生のデビュー連載
『ひゃくえむ。』(講談社)
・陸上競技の花形「100m走」を題材に、子供の頃からずっと全国1位だった主人公の挫折と再生を描いた作品。
・全てを手にしているかに見える天才の苦悩を描ききった衝撃のデビュー連載。

川島 100m走を題材に天才の栄光と衰退といったシーンを描いた、これもまた魂に響く作品なんですけども、特に魂を込めて描いたシーンはこちら。

魚豊先生の回答
両作品共にタイトルが出るまで(アバン)、またはタイトルが出る瞬間です。

川島 やっぱり『チ。』というタイトルが最初に出る瞬間って震えたもんね。見開きでバーンとタイトルが出て、初めてそこで「地動説」という言葉が出てくる。映画的なタイトルの出し方ですよね。

山内 たしかにマンガでは見ない出し方ですね。

川島 先生、このシーンのセリフは「『地動説』とでも呼ぼうか。」と一気に書いてもいいのに、フキダシを2つに分けて「『地動説』」「とでも呼ぼうか。」としているのは何か計算が?

魚豊 そこにリズム感があった方が気持ちよく読めるかな、っていう。

川島 「『地動説』」「とでも呼ぼうか。」の間に、月が描かれているじゃないですか。これも計算ですか?

魚豊 (うなづく)

川島 へえー、すごいねえ。やっぱり。

山内 ……ホンマかなあ。

川島 山内やめろ。山内、ハウス!

山内 僕、M-1グランプリで「UFJ・USJ」のネタをやったときに、「あのネタはこうだ」みたいに、自分たちまで気づかなかった部分までほめ称えられたんですよ。深読みされて。で、僕らも引くに引けなくなって、「そうなんです、そう考えてたんです」と言ってたときの感じが、今の話にはすごくあるんですよね……。

川島 (魚豊先生が)来てんねんぞ。お前の角度からは見えんけど、俺はずっと(先生と)目が合うてんねん。怖いねん。計算ですよね、先生?

魚豊 でもそういうことも多々あります。

川島 あることはあるんですね。では続いての質問はこちら。

出典: 読売テレビ

川島 先生がマンガ家を目指したきっかけは、という質問ですが、先生の回答はこちらです。

魚豊先生の回答
絵を描くのが好きだったので、幼少期から漠然とマンガ家になりたかったのですが、中学1年生の時に見たアニメ『バクマン。』で具体的に行動する方法を知り、そこから投稿を始めました。

川島 知らない人はいないかもしれませんが、『バクマン。』は学生がプロのマンガ家になっていく平成版『まんが道』みたいな作品ですけども、『バクマン。』もタイトルに句読点のマルが付いていますね。

山内 ホンマや。

魚豊 今、気が付きました。深層心理に入ってたのかもしれないです。

川島 なるほど……ただでは返さないですよ、やっぱり。「深層心理に入ってる」。ちなみに魚豊先生にまつわる補足情報があります。

魚豊先生に取材した補足情報
・現在23歳。投稿は13歳から始めた。
・自分は天才だと思い込んでいて、出版社に投稿作品を送ったらすぐにデビューできると思っていたが、何作品送っても返事は来なかった。
・当時は本気で郵便局が毎回のように配達ミスをしていると思っていた。

川島 「当時は本気で郵便局が毎回のように配達ミスをしていると思っていた」、俺もハガキ職人のとき、本気でそう思ってました。毎週毎週雨上がり(決死隊)さんのラジオに送ってるのに1個も読まれへん。

ペンネーム「魚豊」の由来
・ペンネームは初めて食べた鱧(はも)が美味しくて、鱧という漢字を「魚」「豊」に分けた。

川島 「魚豊」って鱧から来てるんだ!

山内 なんで分けんの!?

川島 そこが「『地動説』」「とでも呼ぼうか。」につながってんねん!

山内 なるほど、何でも分けたがる人なんですね。

川島 続いては山内君からの質問です。

出典: 読売テレビ

川島 ナイス質問。回答はこちら!

魚豊先生の回答
『寄生獣』『ピンポン』『闇金ウシジマくん』『カイジ』『亜人』『デスノート』
上記のマンガ作品と、それらの作者さんを尊敬しています。
理由はどの作品も作家性と大衆性を極限に両立されていると思うからです。
そして「一切媚びない。」という姿勢を勝手ながら感じさせていただいているからです。

川島 いい6冊だなあ。

山内 たしかに媚びてないですよね。『カイジ』の福本伸行先生は『アカギ』も描いてるじゃないですか。アカギの敵の鷲巣がリンシャン牌でツモるのに2カ月使ったとき、「媚びてなさすぎる!」と思いましたもん。こんな時間の使い方あるんだ、と思って。

山内 VS 魚豊先生、大激論バトル勃発!?
魚豊先生へのガチアンケート後編は、次回オンエアの『川島・山内のマンガ沼』で!

(構成:前田隆弘)

マンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』は、読売テレビ:5月8日(土)深1:28~1:58、日本テレビ:5月13日(木)深2:04~2:34の放送(※一部地域を除く)です。
おたのしみに!

当記事はラフ&ピースニュースマガジンの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ