酒がダメなら、クリームソーダを。コロナ苦況のバー、喫茶営業に活路

日刊SPA!

 3回目の緊急事態宣言。東京都・小池知事は飲食店での酒類の提供を終日禁止に。「断腸の思いならぬ断酒の思いでお願い」と呼びかける中、期間限定で“断酒”を決めたバーがある。

◆酒類提供禁止で窮地に「酒がダメなら、クリームソーダを」

「カクテルの代わりに、108種類のクリームソーダを期間限定で提供しています」

こう話すのは、東京・町田駅近くにある2011年創業のバー「ランバリオン」のオーナー・菅原翔さん(36)。同店には菅原さんをはじめ、カクテルコンペティション受賞歴のある本格派バーテンダーが在籍し、ラム酒とカクテル、こだわりのおつまみや肉料理を提供していた。

しかしコロナの影響で営業が出来ない日も多く、売り上げは前年比の10分の1程度になるなど、苦しい状況が続いていた。そこに3回目の“宣言”、そして“酒類提供禁止”。窮地に追い込まれたバーは……。

◆カクテルに近い感覚で作れる

「バーではなく、『純情喫茶 スガハラ』として、5月11日までの期間限定で営業を始めることにしました」(菅原さん、以下同)

3回目の宣言前から、酒類を提供できない場合を想定して、“クリームソーダ構想”を練っていたと話す菅原さん。

クリームソーダはカクテル同様にソーダを使用しているため、「カクテルに近い感覚で作れるのではないか」と考えたという。

宣言を受けて、先月(4月)24日から本格的に準備に取りかかることに。そして27日、期間限定で『純情喫茶 スガハラ』をオープンした。

「おかげさまで、ゴールデンウィーク最初の土曜日(1日)は夕方に完売しました」

店にはクリームソーダが108種類もあり、全てレシピが異なるという。喫茶営業のため自家製シロップを考案し、バーテンダーの技術を駆使して作り上げた。

いわばカクテルのプロが作るクリームソーダ。こだわりはレシピだけにとどまらない。

「メニューは“108”種類ありますが、これは除夜の鐘を108回つくことに則っています。早くコロナが収束して、新しい時代へ行くという希望を込めました」

◆「味のイメージがわかない」独特なネーミング

一部の客の間では、ネーミングセンスが非常にユニークだと話題になっている。

たとえば、「環」「言葉」「Q」「おまえまごころとかあるんか?」「もう ゴールして いいよね」「緑虫」など、なんとも独特。注文の際に思わず笑ってしまいそうだ。

「店に来られない方でも見ただけで明るくなれるメニューを意識しました。私(菅原さん)と店長で、お互いの好きなものを出しあい、2日間で考えました」

一番人気は「君が望む永遠」で、菅原さん曰く「複雑な味」。なかでもオススメは「渚」とのことで、「苦しみを乗り越え、幸せにたどり着いた味がします」。

まったく味の想像がつかないが、一体、客はどのようにメニューを選べばいいのだろうか……。

常連客の白季ジルさん(23歳・Twitter:@gilles_mmd)に聞いてみた。

◆常連客の声「メニューを見てビビッときたものをその時の気分で楽しむ」

「108種類あるだけあって、ほとんどのメニューは名前以外見た目も味も分からない状態でした。でも、名前の印象だけで注文するのも楽しみのひとつとなっています」(白季さん、以下同)

どんなものを飲みたいか、苦手なフレーバーなど、あらかじめ希望を伝えることもできるとか。もちろん、昔ながらのクリームソーダも頼めば作ってくれるそうだ。

ちなみに白季さんは「十六夜」と「湊」というメニューを注文したそうだ。気になるそのお味は……?

「十六夜はオレンジやレモンの風味でスッキリめ。一方、湊はシンプルなクリームソーダに生の桃が入った甘めのクリームソーダでした。どちらもとてもおいしかったです」

白季さんは純喫茶も好きで、他店のクリームソーダをたびたび飲みに行っていた。これまで様々な店でクリームソーダを飲んできた。当然、バーテンダーによるものは初めてとのことだが、他店との違いについてこう話す。

「ランバリオンのクリームソーダはオレンジピールでフレーバーが付いていたり、果物シロップを使用したりと、ノンアルコールカクテルのような感覚で楽しめました。グラスにもこだわっていて、昔ながらの純喫茶のものとまた違った新しい良さがあります」

まだ1度しか行けていないという白季さん。ゴールデンウィーク中に再訪問を予定していたが、予想外に繁盛していたそうで「次に行っても入れないかも」と寂しそうに呟いた。

「あまりにも品数が多いので一度の訪問では選びきれません。またメニューを見てビビッときたものをその時の気分で楽しもうと思いますが、個人的には『屋良』と『屋良内科』の違いが気になります」

コロナを乗り越えるべく、様々なアイデアで苦しい状況を生き抜く飲食店。普段お酒を提供するバーが、純喫茶として営業することで、お酒が飲めない客が来店するきっかけにもなっているという。一見さんには入りにくいというイメージもあるバーだが、菅原さんは今回の試みが「最初の一歩の後押しになれば」と話した。11日以降も、不定期で開催したいとしている。<取材・文/星谷なな>

【星谷なな】

5歳の頃からサスペンスドラマを嗜むフリーライター。餃子大好き27歳。 たまに写真も撮ります。Twitter:@nanancypears

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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