GW特選! こどもの日に観たい大塚康生が描いた〈子供たち〉

去る3月15日に亡くなった、アニメーターの大塚康生さん。
彼がわれわれに残してくれた仕事の数々は、今観てもけっして古びない魅力的なものばかりだ。
GWの締めくくりとなる5月5日の〈こどもの日〉には、そんな大塚さんの仕事の中から、子供たちを活き活きと描いた作品を観てみよう。
大塚さんの手腕から生み出された、元気よく動き回るたくましい子供たちの姿は、きっと活力を与えてくれるはずだ。
『太陽の王子 ホルスの大冒険』(1968年)
高畑勲監督の初監督作で、大塚さんがはじめて作画監督を務めた作品。
父によって他の人間から離されて育てられた少年・ホルスが、仲間となった村の人々と協力して、悪魔・グルンワルドに立ち向かうストーリー。
冒険活劇であると同時に、人間が内面に抱える善悪の葛藤や、人々の団結の大事さを描くシリアスなドラマでもある。
村を悩ませる大カマスを単身で退治し、村の英雄となるホルスは、狼の襲撃も村人たちと協力して退ける。
”迷いの森” の幻想に耐え抜く心の強さや、グルンワルドの妹・ヒルダの内面の葛藤も鋭く見抜き、彼女を救おうと手を差し伸べる。
大自然の中でのびのびと育ったホルスは、さまざまな形の ”強さ” を見せてくれる。
そして、大カマス、銀色狼などとの戦いの場面での、現代のデジタル技術を駆使した画面作りとは趣を異にする、独特の生々しさにも注目だ。
そこからぜひ、卓越したアニメーターの手によって描き出されるアニメーション=動画の魅力を感じ取ってほしい。

『パンダ・コパンダ』(1972年)
『パンダ・コパンダ 雨ふりサーカスの巻』(1973年)
宮崎駿が原案・脚本・画面設定。演出(監督)は高畑勲。おばあちゃんが法事で長崎に行ってしまったため、竹林の一軒家でしばらくひとり暮らしをすることになった、小学生のミミ子。
そこに、人の言葉を話す子パンダのパンちゃんとおとうさんのパパンダがやってきて、一緒に暮らし始めることになった。
童話のようなムードと独特のユーモアにあふれ、今観るとかなりシュールでもある、独特の味わいの作品。
何よりの魅力は、とにかく好奇心いっぱいで、どんなに奇妙な出来事も「すてき!」のひとことで受け入れてしまうミミ子の元気さだ。
いつも無邪気な笑顔で、嬉しいことがあるとひょいと逆立ちして喜びを表現する子供らしい動きを見ているだけで、何だかこちらも嬉しくなってしまい、きっと、どんなにおかしな状況でも「それもまあ、いいか」と受け入れられるような気持ちになるだろう。

『未来少年コナン』(1978年)
宮崎駿監督、全26話のTVシリーズ。大塚さんは作画監督を担当。
昨年(2020年)5月にNHK総合で再放送され話題になったので、観た人も多いだろう。
最終戦争後の荒廃した地球を舞台に、少年・コナンの冒険を描く、何度観ても楽しめるこの作品。
コナンの胸躍る冒険や、ラナとの絆、個性的な仲間たちとのやりとりなど、見どころは多いが、ぜひ1度は「コナンの躍動」に注目しながら観てほしい。
自然児のコナンは、とにかく超人的な身体能力の持ち主。
野山を軽やかに駆け抜け、海の中に長い時間潜り続け、長距離をジャンプして、高所から飛び降りて無事着地して……と、とにかく人間離れしている。
だが、そうした現実にはありえないような動きを、ギャグでもSFでもなく「コナンはすごい!」と受け入れられる理由の一端は、その描写の確かさにある。
コナンの動きに対する予備動作、動作中の表情、リアクションなどが丁寧に作画されているので、動き全体に説得力が生まれているのだ。
そして、コナンの超人的な躍動は、この作品のテーマである「人間の生命力」とも直結した大事な要素だ。
ラナの名を呼びながら全力疾走するコナンの圧倒的に逞しい姿には、『未来少年コナン』という物語の魅力が凝縮されているといっていいだろう。

『じゃりン子チエ』(1981年)
はるき悦巳の漫画を原作とした、高畑勲監督の劇場版(同じく高畑勲総監督のTVシリーズもある)。
大塚さんは小田部羊一と共同で作画監督を担当している。
仕事をしない父・テツの代わりに、大阪でホルモン屋を営む小学5年生のチエ。
働きもせずバクチに明け暮れるテツに振り回されながら、時にはテツのケツを叩き、個性的な常連客や近所の人たちと丁々発止のやりとりを繰り広げ、小学校に通いながら家業のホルモン屋を切り盛りする様子は、ホルスやコナンとはまた違った意味で、”逞しい!” のひとこと。
この劇場版では、そんなチエが別居中の母親に甘えたりする姿が観られるのもチャーミングだ。
「ウチは日本一不幸な少女や」が口癖のチエ。
そのバイタリティに溢れる毎日を観て、明日への活力を手に入れよう。

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当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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