「明日から会社来ないで」突然クビになった女性の怒りと素早い行動

女子SPA!

「その日の勤務もあと数時間で終わるというときに、急に人事からチャット連絡が入ったんです。『人事部長と面談があるので18時に会議室に来てください』と書いてありました」

都内在住の前原千佳さん(仮名)は神妙な面持ちで話し始めました。3年ほど前、前原さんは都内のウェブサービス企業で働いていましたが、突然クビを言い渡されたのです。

◆突然、人事部長と顧問弁護士から呼び出し

「社員数が40人程のスタートアップ企業でした。同僚たちは、同年代の30代の人が多くて、気の合う人たちばかりでした。仕事に対してやる気もあったので、毎日楽しく働いていました」

同僚たちのことを話す前原さんはとても楽しそうでした。しかし、その表情が再び曇ります。

「慌てて会議室の予約表を確認すると、人事部長と会社の顧問弁護士の名前で部屋が押さえられていたんです。嫌な予感がしました。キーボードに添えた指先が冷たくなっていくのを感じました。それから18時まで、生きた心地がしませんでしたね…」

時間通りに会議室へ行くと、すでに人事部長と顧問弁護士が待っていました。

◆「会社を辞めてください」と言われる

「『会社からお願いがあります』と言って、人事部長は1枚の紙を取り出しました」

半ば放り投げるようにして置かれたその紙は、テーブルの上を滑って前原さんの前にやってきました。

「『退職勧奨通知書』と書かれていました。一体何の書類なのか、はじめは理解できませんでした」

人事部長から告げられた前原さんへの「お願い」は明日から会社へ来ないでくださいというもの。

「退職金を払うから会社を辞めてくださいと言われました。『勧奨』なので、会社に居残ることもできるけど、今後社内での立場が良くなることはないし、お給料も下げますと言われたんです」

◆部長の意地悪くゆがんだ顔が忘れられない

突然の退職勧奨に前原さんは納得できるはずもありません。どうして辞めなければいけないのか食い下がったそうです。

「詳しい理由は説明してもらえず、人事部長は面倒くさそうに『執行役員の総意だから』と繰り返すだけ。いつもはニコニコしていた人でしたが、そのときはひどく意地の悪い顔をしていたことを覚えています。『この人、こういう顔をするんだ』と、怒りで震えながらもどこか冷静に部長のゆがんだ頬を見ていました」

最初は「絶対に辞めない」と思っていた前原さんですが、会社から「辞めてほしい人間」と認定された以上、働き続けることはできないし、そうしたくないと思ったそうです。

「その代わり、この退職勧奨がいかに理不尽なものであるか会社に示したいという思いが芽生えました。私一人で主張しても、鼻で笑われるだけだろうと思ったので、弁護士さんへ相談することにしました」

◆弁護士に相談するも相手にされず

一睡もできないまま朝を迎えて、何ヶ所かの弁護士事務所へ電話をしたそうです。「退職金がもらえるならそれでいいじゃないか」という返答が多い中、前原さんの思いをくんでくれる弁護士が現れます。

「これが最後だと思って電話した弁護士さんが『おかしな話だ』と共感してくれました。翌日、改めて事務所を訪ねると『退職金を増額できないか交渉してみましょう』と提案をしてくれました」

◆5割増の退職金を手に入れる

その後、前原さんは会社と直接やり取りをすることはなく、弁護士が会社と交渉を行ってくれたそうです。

「とても頼もしかったです。会社に対して怒りはありましたが、おまかせをしてからは心穏やかに過ごすことができました」

1ヶ月程で会社との交渉が成立し、最初に提示された額よりも5割増の退職金を手に入れることができたそうです。かかった弁護士費用は着手金が8万円と、成功報酬金額が15万円ほどでした。

「退職金が増額されたことももちろんうれしかったのですが、会社に言われるがまま辞めたわけではないことが清々しかったです」

◆イタリアへ語学留学へ行きリフレッシュ

手にした退職金は1年間ぐらいなら都内で一人暮らしができる額でした。前原さんはその使い道について目を輝かせて話してくれました。

「実はずっとイタリアに長期滞在したいと思っていたんです。ちょうど仕事もなくなったし、手元にはまとまったお金もあるし、これは今行くしかない!と思って、3ヶ月間ミラノで過ごしました。ミラノのマンマと大の仲良しになって、語学学校でたくさんの外国人の友だちを作って、生まれ変わったように元気になって帰国しました」

これからは好きなことを仕事にしようと思い、現在はフリーのイラストレーターをしているそうです。「『雨降って地固まる』ですね」とコメントすると、「そうですね。ゲリラ豪雨並のひどい雨でしたけど」と笑っていました。現在は締め切りやクライアントへの売り込みに追われながらも、とても充実した日々を送っているそうです。

<文/山村沙里>

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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