ガンダムやエヴァみたいなシビックタイプRに感じたホンダの執念

日刊SPA!

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

◆いつまでも絶えないでほしかったけど……

かつてホンダと言えばカーマニアの話題の中心でした。カーマニア垂涎の個性的なスポーツカーがたくさんありました。

しかし時代は移り変わり、いろいろな規制に対応するため、ホンダに限らずスポーツカーの生産を続けるのが難しくなってきました。でも、いつの日かまた、カーマニアの話題の中心に、ホンダが返り咲くことを期待しています。

MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi

池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

◆さようなら!カーマニアが愛したホンダ。また逢う日まで

もう30年近く前のことだけど、中古で「シビックSiRⅡ」というクルマを買った。まだレースへの未練があったので、「これでサーキットを走ろう」と思ったのです。

当時のホンダは、太陽のような存在だった。F1では連戦連勝、NSXは世界を震撼させた。そしてシビックは小型軽量ハイパワーで、筑波サーキットの耐久レースで無敵だった。なにをやっても「さすがホンダ!」と称賛されていた。

あれから約30年。今ホンダは、カーマニアの標的だ。F1からは4度目の撤退を発表し、S660は生産終了を発表⇒即完売、NSXは昨年国内でたった16台しか売れず、現在受注停止状態。

マニアが欲しくなるクルマが減る一方だし、どれもこれも値段が微妙に割高なので、ホンダを叩いておけば、SNSで「いいね!」がたくさん付いてしまう。

シビックも格好の標的になった。なにしろ今のシビックは、北米や中国に合わせて作っているから、ものすごくデカい。BMW3シリーズと同じくらいデカい。それだけでもう、「こんなのシビックじゃない」と、日本のカーマニアから叩かれまくった。

ホンダスピリッツの象徴のひとつ、FF最強最速マシンであるシビックタイプRに対しても、巨大なリヤウイングなど超ガンダムチックなルックスが、「デザイン崩壊」と批判された。

◆エアロ武装が一周まわってカッコイイ

私も最初は、「リオのカーニバルか!」と思いました。でも、時間が経てば経つほど、カッコよく見えてきた。こういうでっかい羽根やエアロで武装したカタチは、確かにガンダムなんだけど、ガンダムって今でも世界中で人気あるわけでしょ?

今はもうこういうコテコテのクルマを作るメーカーがなくなっちゃったから、時代遅れでダサいって言われるけど、この時代を超越した重武装が、一回転してすごくカッコよくないですか?

このシビックタイプRも、間もなく閉鎖されるイギリス工場製ということで、生産が終了される。国内ではすでに昨秋の段階で売り切れていて新車は買えず、新車に近い中古車は、新車価格プラス100万円前後で売られている。どっちにせよ手が届かなくなってしまった感はあるものの、遅ればせながら試乗させていただいて、心底驚きました。

◆500万アンダーで3000万円級の乗り味

「なんてすげえクルマなんだあ~~~~~~~~~っ!」

エンジンは超パワフルで超ビンビン。6速MTを駆使して首都高を走れば、青春時代が熱くよみがえる。しかも乗り心地がウルトラ猛烈よくなっていて、オッサンにもつらくないのが凄すぎる!

シビックタイプRと言えば、かつてはゴーモンと言われるほど乗り心地がガッチガチに硬かったモデルもあったが、昨年マイナーチェンジを受けた現行モデルは、路面の凹凸を完璧に吸収しつつ、意のままに曲がる。この超高級な足回りは現代のスーパーカーそのもの!お値段475万2000円で、3000万円級のクルマの乗り味を実現している!

なにをどう改良したかと言いますと、「アダプティブダンパーの制御変更(サンプリング周波数向上による緻密化)、フロントコンプライアンスブッシュの高減衰化、リアロワアームブッシュの高硬度化、フロントロワアームジョイントの熱処理によるフリクション低減」とのことです。なにがなんだかサッパリわかりませんが、とにかく凄いのです。

30年以上積み重ねてきた、ホンダのシビックに対する執念は、ついにここまで来た。ホンダの技術ってやっぱりスゲエ……。

◆シビックタイプRの最終世代

ホンダは社長が交代し、まもなく本格的な「攻め」に入るらしい。なにをどう攻めるのかわかりませんが、「本流回帰」するらしいので、最近のトヨタみたいに、カーマニアが喜ぶモデルも出してくれるのかもしれない。とりあえず次期シビックにはもう一度タイプRが設定され、それが最後の純ガソリンエンジンの「R」になるかもしれないらしいので、期待しておりまする。

◆<結論>

これまでホンダは、カーマニアを喜ばせるクルマを数多く作ってくれました。今は端境期で、S660もシビックタイプRもいったん消えますが、いずれまたステキなクルマ作ってくれることでしょう。

―[道路交通ジャーナリスト清水草一]―

【清水草一】

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中。清水草一.com

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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