[Alexandros]川上洋平、『search/サーチ』のアニーシュ・チャガンティ監督の新作サイコ・スリラー『RUN/ラン』について語る【映画連載:ポップコーン、バター多めで PART2】

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『RUN/ラン』
『RUN/ラン』

大の映画好きとして知られる[Alexandros]のボーカル&ギター川上洋平の映画連載「ポップコーン、バター多めで PART2」。今回取り上げる映画は、初の監督作『search/サーチ』でセンセーションを巻き起こしたアニーシュ・チャガンティの新作『RUN/ラン』。慢性の病気を患い車椅子生活を送るクロエが、自分を懸命にサポートしてくれる母に不信感を抱くことから物語が展開し始めるサイコ・スリラーです。


――これは川上さん、相当気に入ってますよね。

めちゃくちゃおもしろかった! 怖かったです。脅かし系じゃなくて、心理系というか。これ、多分俺の中で今年のサスペンスホラーのジャンルの映画では一位になると思う。

――まだ4月ですけど(笑)、確かにすごくおもしろいです。

監督・脚本を務めてるアニーシュ・チャガンティは、最初Google GlassのCM用に作ったショートフィルムで注目を浴びた人で、初監督作の『search/サーチ』がすごくおもしろかったですよね。全編パソコンの画面上で物語が進んでいくっていうアイディア勝負の映画で、話としては父が行方不明になった娘を探すために奮闘する。今回の『RUN』は母と娘が主人公の映画で、娘のクロエに危機が迫る状態の中、どうやってそこから脱出するかっていう。とにかく緊迫感がすごいです。僕がこの監督の好きなところは、主人公がちゃんとダメージを受けながら戦う生々しさがあるところで。『RUN』のクロエはかなりのダメージを受けてますから。

――クロエはそもそも病気を患っていて歩けないというという不自由な状態で。

そう、ほんとこの作品はネタバレしちゃダメだと思う。僕は何の予備知識もなく、まず予告を観たんです。母と娘が出てきて、娘はいろんな疾患を患っていて足が不自由で、車椅子生活を送ってるんですよね。それで家からもなかなか出れない。そういう状況下で母は娘に愛を注いでサポートしてて、っていうところから始まって、徐々に母が怪しいみたいな雰囲気になってきて。その段階で俺止めたんですよ。この先を見ちゃうと、母がどう怪しいかがなんとなくわかってきちゃうと思ったんで。そこで止めといてほんと良かった(笑)。それくらいの予備知識で観たほうがいい。色々説明しちゃうと、「川上洋平、この野郎!」ってこの記事読んだ人に言われちゃうから、なかなかこの映画について話すのは難しいですよね(笑)。

――そうですよね(笑)。

でも、映画のチケット代が1900円で、ポップコーンとドリンク買ったら3000円くらいになるけど、その価値を最大限味わえると思う。

――見終わった後、興奮して、すぐにメンバーやマネージャーにすすめたそうですね。

そうそう、3月末にオンライン試写で観させてもらったんですけど。メンバーに「最近のおすすめの映画ない?」って訊かれた時、もう『RUN』しか思いつかなかったくらい。で、ベースの磯部寛之くんはホラー映画が苦手なんで「どうせ怖いんでしょ?」って言われて。それで、「サスペンスで怖いけど、お化けが出てくるわけではないから全然大丈夫!」って言いました。

――[Alexandros]のファンクラブの企画でお化け屋敷に行って、ものすごく怖がってましたよね。

そう、彼はお化けが苦手なんですよ。新宿の怪談バーにひとりで行って、怪談師さんの話を聞く企画の時も死ぬほど怖がってました。でも、『RUN』みたいな心理戦要素がある怖さはむしろ好むんじゃないかな。
『RUN/ラン』より
『RUN/ラン』より

■ドラマ『ウチ彼』も母娘のラブストーリーだったけど、別の意味でものすごく刺激的


――クロエ役にオーディションで選ばれたキーラ・アレンはプライベートでも車椅子で生活しているという。

そうなんですよね。すごく動作が生々しかったから、「これはもしかしてそういう経験をされているのかな」って思って調べたら、やっぱりそうでした。最近、そういうケースが増えてる気がしてて。『クワイエット・プレイス』に出てくる一家の長女は聴覚障害があって手話が使えるっていう設定ですけど、それを演じたミリセント・シモンズは実際に聴覚障害を抱えてて、手話ができる俳優さんだったし。

――母のダイアン役のサラ・ポールソンも、表情がとても凄みがあって恐怖を増長させてました。

こういう映画にも出るんだなって思いました。僕としては『オーシャンズ8』の印象が強いけど、人間ドラマ系の作品によく出てる印象があって。他だと、『ハート・オブ・ウーマン』とか『それでも夜は明ける』とか『キャロル』とか。どの作品でも強めの印象を残しますよね。『RUN』はそんなキーラ・アレンとサラ・ポールソンが演じる母と娘のちょっと過激なラブストーリー……ちょっとどころじゃないんですけど(笑)。僕が出てた『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』っていうドラマも母娘のラブストーリーでしたけど、別の意味でものすごく刺激的ですね。僕が『RUN』にコピーを付けるとしたら、“母娘の(ちょっと過激すぎる)ラブストーリー”、『ウチの娘は、外に出れない!!』っていう感じです(笑)。

――あははは。『ウチ彼』とは他にも共通点がありますしね。

確かに! そう考えると、『RUN』は俺が宣伝大使をやりたいくらい。あと、『ウチ彼』で主役の母と娘を演じた菅野美穂さんと浜辺美波さんにも是非宣伝に参加してほしいですね(笑)。「私たち、今度はこんな母と娘を演じましょうかね?」みたいな。この映画の吹替をあのふたりがやったらめっちゃおもしろい!
『RUN/ラン』より
『RUN/ラン』より

■「逃げろ」っていう緊迫感が最初からずっとある


――『RUN』はヒッチコック映画が意識されていて、ハリウッド黄金時代へのラブレターとしての意味合いもあるそうです。

ああ、それはすごくわかる。アメリカの郊外の家特有の雰囲気とか、階段の上から見下ろすカメラワークとか、シルエットが何度も映るところとか、とにかくぞっとするようなシーンが多くて。ダイアンが料理するシーンも料理しているようには見えなかったり。

――あと、クロエはストライプ柄の服を着てましたけど、あれは囚人服を示唆しているという。

そうなんだ! またそれは憎い演出だね。そういう小ネタ大好きです。『RUN』ってタイトルもいいですよね。もう「走れ!」「逃げろ!」って命令文だから。だからこのタイトルが頭にこびりついたまま映画を観ると、「ああ、逃げろ、逃げろ」っていう緊迫感が最初からずっとあって。でも、足が不自由なんだったら走れないじゃんって。怖いよね! 別の邦題をつけなくて正解だと思う。ほんとこれ予告全部観ちゃダメ!(笑)。俺、この映画を心の底から楽しみたい人のために、予告を何秒で止めたほうがいいか今確認しますね。(予告動画を見ながら)ええと……43秒! そこまでしか観ちゃダメ。それ以上だと色々わかっちゃう。あと本編でいうと最後の最後が超かっこよかった。ほんと是非映画館で観てくださいって感じです。

――その思いはすごく伝わったと思います。

これはほんとおすすめ! っていうか、この連載ではほんとおすすめの映画しか紹介してないから。記事を読んでくれてる方の中でもし何かおすすめの映画があれば、SPICEのこの連載のツイートにリプライで送ってもらうか、spice_info@eplus.co.jp にこの連載宛ってわかる内容でメールを送ってくれると嬉しいですね。取り上げてる作品の「洋平さん、これ気付きましたか?」っていうことや、「『RUN』は実はこうなんですよ」っていうことだったり。そういう風に僕に伝えたいことがあったら、是非送ってください。


取材・文=小松香里

当記事はSPICEの提供記事です。