鈴木朋子の【お父さんが知らないSNSの世界】 第43回 Z世代を夢中にさせる昭和レトロ


大人世代には懐かしい、「使い捨てカメラ」を模した写真SNSアプリ「Dispo(ディスポ)」が、Z世代を中心に人気となっています。Dispoは写真の仕上がりが翌朝9時まで見られないことが特徴です。スマホやデジカメならその場で写真を確認できるので失敗はありませんが、Dispoはフィルムカメラのように現像されるまでわからない仕掛け。

「そんな不便な……」と、当時を知る大人は思いませんか? でも、Z世代は新鮮に感じるようです。そして使い捨てカメラ風ならではのレトロ感のある写真も人気。Instagramを見ると、「#写ルンです」のハッシュタグを付けた投稿は約100万件も(2021年4月中旬時点)。富士フイルムの使い捨てカメラ「写ルンです」で撮影した写真、写ルンですを持っている写真などがたくさん投稿されています。

Z世代が「昭和」や「レトロ」を楽しんでいるのは、写真だけではありません。昭和を感じさせる食べ物も注目を集めています。Instagramには、昭和の時代に喫茶店で食べられていたような、ちょっと固そうなプリンの写真が投稿されています。ステンレス製で足が付いているお皿に載せていたり、さくらんぼを添えていたりと、昔懐かしい盛り付けがウケるようです。同じように、クリームソーダもブームに。「#かためプリン」の投稿は約1万件、「#クリームソーダ」の投稿は約40.2万件もあります(2021年4月中旬時点)。

○音楽サブスクにも昭和の名曲ブーム

音楽にも昭和ブームが来ています。歌手の松原みきが1979年11月にリリースした『真夜中のドア/stay with me』が、シンガポールの歌手・Rainychにカバーされたことで世界中でヒットし、音楽サブスクリプションサービスのSpotifyでは直近の1年間で460万回、Apple Musicでは100万回以上も再生されました。YouTubeやTikTokでも大人気です。

『真夜中のドア/stay with me』は、LINE MUSICでは15歳~19歳の女性によく聞かれており、2020年10月に比べて、2021年4月の再生回数は5倍に伸びているとのこと。また、山下達郎、竹内まりや、荒井由実、大瀧詠一といった80年代を代表するアーティストの名曲も、20代を中心に再生回数が伸びてそう。海外のDJやミュージシャンがカバーし、サブスクリプションサービスでの再生回数が増え、日本の若者の耳に届くパターンになっているんですね。

そんなZ世代の動きを受けて、TikTokは昭和の名曲や懐メロを楽しむ「#昭和に憧れる」チャレンジを2021年1月に行いました。前述の松原みき、そして中山美穂、久保田利伸、ピンクレディー、八神純子といったアーティストの名前が挙がっています。TikTokユーザーからすれば、親世代が聞いていた楽曲ですよね。

Z世代がなぜ昭和に憧れるのか、私もつかみかねているところがあります。流行は「一周回って」という言葉があるように、デジタル中心の洗練されたコンテンツよりも、アナログの手作り感や少しダサい様子を「エモい」とする感性があるのではと考えています。とはいえ、昭和を感じる写真、食べ物、音楽などがすべてネットに乗り、瞬時に世界中で共有されていく様は、やはり令和ならでは。Z世代が40代~50代になるときは、いったい何が流行するのでしょうか。

著者 : 鈴木朋子 すずきともこ ITライター・スマホ安全アドバイザー。SNSやスマホなど、身近なITに関する記事を執筆。10代のスマホカルチャーに詳しく、女子高生とプリクラにも出かける。趣味はへんてこかわいいiPhoneケース集め。著書は「親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本」(技術評論社)など20冊を超える。 この著者の記事一覧はこちら

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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