テレビ解説者・木村隆志の週刊テレ贔屓 第168回 『HEY!HEY!NEO!』ダウンタウンのダブルツッコミを心ゆくまで


テレビ解説者の木村隆志が、先週注目した“贔屓”のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第168回は、当初予定していた9日放送のTBS系バラエティ番組『中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん』が『ぴったんこカン・カン追悼特別企画 ありがとう橋田壽賀子先生』に差し替わったため、10日に放送されたフジテレビ系バラエティ特番『HEY!HEY!NEO! MUSIC CHAMP』をピックアップする。

1994年から2012年に放送された『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』のスピンオフ番組として2015年にスタート。勢いのある若手アーティストをフィーチャーする特番として不定期放送され、ゴールデン・プライム帯では今回が2度目となる。

視聴率調査の変更に伴う視聴ターゲット層の若返りによって、音楽番組を取り巻く状況も一変。業界内では、「もっと増やしてもいいのではないか」という声が聞こえはじめている。

また、2日放送の『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)では『うたばん』がフィーチャーされ、ネット上には多くの「復活待望論」が飛び交った。同時期に放送されていた『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』のスピンオフは、どんなスタンスで放送されるのか。

○■浜田雅功が叫ぶ魔法のフレーズ

今回は9組72名のアーティストが集結。まずはスタジオの廊下を広く使って出演者を紹介し、NiziU「『NiziUダンス選手権』開催!」、DISH//「11年前の超貴重映像を発掘!」、HiHi Jetsと美 少年「ジャニーさんとのマル秘エピソードを暴露!」、櫻坂46「ダウンタウンの似顔絵を披露!」などの見どころが1行テロップで紹介された。こういうサムネイル的な演出はテンポがいい上に過剰さがないなど、現在の視聴者ニーズに合っている。

さらに、最後のEXILEが紹介されると浜田雅功が「(若手の番組に)今さらEXILEは何やねん!」、松本人志が「(衣装も背景も)画面中真っ黒やないか。何もかも黒!」とツッコミを入れて笑わせた。この番組におけるダウンタウンはダブルツッコミであり、アーティストがボケても、ボケてなくても、ツッコミを入れて笑いに変えていく。トーク力に不安を抱えるアーティストたちにとって、そんな2人の存在はどんなに頼もしいだろうか。

1組目のNiziUは、リリースされたばかりのセカンドシングル「Poppin' Shakin'」披露からスタート。目玉アーティストを出し惜しみしない姿勢と、トークパートをメインに考えていることが分かる構成だった。歌が終わり、トークスタートの合図は、浜田の「はい、NiziU~!」という掛け声。これを聞くだけで番組の世界観にスッと入れる魔法のフレーズと言っていいだろう。こういうフレームが視聴者に浸透している番組は、どんなに歳月を経ても楽しめるものだ。

まずNiziUの紹介VTRがはじまり、数々の偉業が紹介されるたびにダウンタウンが「ホンマかいな!」「腹立つ!」「何やねん!」「ウソやろ!?」などとツッコミを入れまくる。さらに、松本は、「(『水曜日のダウンタウン』でフィーチャーしている)豆柴の大群とは違うのは分かりました。大分差があるのは……」とボケて笑いどころを作っていた。
○■アーティストのトーク力を補う構成

NiziUはダウンタウンと初対面だけに番組恒例の自己紹介タイムへ突入し、ここでも松本がツッコミを入れまくる。日本語が話せるようになった理由を聞かれたNINAが「ちょっとよくわかんない」と答えると「サンドウィッチマン(の富澤たけし)かお前は!」。MIIHIが「寝言のクセが強いんです」と打ち明けると「今も寝言みたいやけどな」。RIOが「私はNiziUのファッションリーダーで……」と自己紹介すると「自分で言うかよ。カリスマとファッションリーダーは一番言ったらアカンやつ」。

その他でも、MAYAが“白鳥の顔マネ”を披露すると、すぐさまサーベルタイガーのモノマネをムチャぶりするなど、1人1回以上の笑いどころを作る話術はさすがだった。現在、松本がこれほど前に出てトークをする番組はないだけに、それだけで貴重かもしれない。

次に、弾き語り芸人のAMEMIYAがNiziUメンバーのエピソードを交えたオリジナルソングを披露し、再現VTRにキンタロー。とおばたのお兄さんが登場。さらに、熱烈なファンのヴァンゆん、丸山礼、きつねによる「NiziUダンス選手権」が行われた。これらは芸人やバラドルとの比較上、トーク力に劣るアーティストたちをフォローする構成ではないか。「NiziUからダンスの振りを教えてもらう」というコーナーに頼りがちな番組が多い中、笑いに寄せ切るコンセプトは新鮮さを感じさせた。

けっきょくNiziUは歌唱1曲のみであるにもかかわらず、CMを3度またいで出演時間は約40分にも及んだ。NiziUは今回における事実上の「CHAMP」だったが、それでも放送全体の約3分の1を1組に費やす思い切りのよさは、かつてと変わらないこの番組らしさと言えるだろう。

2組目のアーティストはDISH//。同じように紹介VTRが紹介されたが、その中に浜田の「WOW WOW TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~」や、松本が作詞して浜田が歌った「チキンライス」のカバーをするシーンがあった。それを見た浜田が「ええバンドやな」と持ち上げると、松本も「好青年やな」と呼応する。

しかし、松本は「作曲(の槇原敬之)があんまり好青年じゃなかったけど」と続け、さらに「『WOW WOW TONIGHT』も作曲(の小室哲哉)があんまり好青年じゃなかったけど」とかぶせて、この日一番の爆笑を起こした。「松本のトークはしゃべればしゃべるほど冴え渡る」という真理をひさびさに見せてもらったのかもしれない。
○■歌をトークでサンドする独自の構成

その後は、EXILEのメンバー・世界がさまざまな音に合わせた即興ダンスを踊り、HiHi Jetsと美 少年が亡きジャニー喜多川さんのエピソードを語り、櫻坂46は15歳の最年少メンバー・山崎天が独特なタッチの怖い似顔絵を描き、Novelbrightはボーカルの竹中雄大が世界大会で2回優勝した口笛を吹き、JO1は早朝5時30分入りしてパフォーマンスしたあと1回家に帰ってトークに挑んでいることを明かし、マカロニえんぴつはボーカルが「はっとり」と本名とは無関係の芸名を名乗っている理由を話した。

トークと歌の構成は、その大半が「トーク→歌→トーク」という歌をトークでサンドする形。「紹介VTRに続くトークで視聴者の興味を引きながらも最後までは見せず、歌を放送したあとにオチのトークを見せる」という形を採っていた。これは歌を大切に扱う構成にも見えるし、逆に歌がトークを分断し邪魔をしているようにも見える。そのアーティストのファンはすべて楽しめるのだが、そうではない人々にとってはベーシックな音楽番組のように、「トーク→歌」のほうが見やすいのではないか。

全体の比率を見ると、「トーク8、歌2」くらいに見えたが、これにも賛否があるだろう。たとえば、リリースされたNiziUのセカンドシングルは両A面であり、約40分もの出演時間があれば2曲とも紹介できたはずだ。それをあえてせずトークの比率を減らさないところが、この番組の矜持なのかもしれない。そんな変わらぬ制作姿勢を見て、「若手アーティスト中心の『HEY!HEY!NEO! MUSIC CHAMP』だけでなく、大物アーティストが集う『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』も見せてほしい」と思ってしまった。

歌以上にトークを重視したもう1つの音楽番組『うたばん』とともに、「季節に一度くらいは放送してほしい」と思っている人は多いのではないか。
○■次の“贔屓”は…2人のコメントはネットニュース化必至!『週刊さんまとマツコ』

今週後半放送の番組からピックアップする“贔屓”は、18日にスタートするTBS系バラエティ番組『週刊さんまとマツコ』(毎週日曜18:30~)。

今春スタートの新番組であり、明石家さんまとマツコ・デラックスの共演は『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)以来で相性の良さは実証済み。番組内容は謎に包まれているが、おしゃべりモンスターの2人だけに、発言が次々にネットニュース化する強烈なトーク番組になるのではないか。

注目度の高さもあり、放送第1回からさっそくチェックしておきたい。

木村隆志 きむらたかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月30本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組にも出演。取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』など。 この著者の記事一覧はこちら

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ