松井珠理奈が卒業。ここから新たに色づくSKE48の未来

日刊SPA!

 4月11日に愛知県名古屋市にある日本ガイシホールにて、松井珠理奈卒業コンサート「卒業だよ!全員集合!~Let’s sing!~」(昼の部)と「珠理奈卒業で何かが起こる!?」(夜の部)が行われた。

このコンサートはタイトルのとおり、グループの顔として、SKE48の絶対的センターとして、約13年間活動してきた松井珠理奈の花道でもある。

◆珠理奈がいないパフォーマンスも

先日、同会場では高柳明音の卒業コンサートも行われていたが、こちらは本編に渡って高柳明音も出演していた。ただ、この日の昼の部では珠理奈いわく“ソロコーナー”が設けられ、後輩メンバーの一人がメインとなり、松井珠理奈がいないなかでパフォーマンスが行われるセクションもあった。

なかでも圧巻だったのは、北川愛乃の「愛しさのアクセル」。SKE48が冠バラエティ番組をやっていたときにも評価されていた殺陣を取り入れたパフォーマンスをしたのだが、表情や所作の一つひとつに改めて彼女の表現者としてのポテンシャルの高さを感じさせられた。

コロナ禍になり、大きな会場でライブがやりづらくなっている今。そもそも大会場でコンサート経験を詰めなくなっている後輩に、ソロでスポットが当たる場所を用意したというのは、今後のSKE48のためにも粋な計らいだったように思う。

これに対して、珠理奈もコンサート間に行われたオンライン囲み取材にて「今回は卒業という意味合いもあるんですが、(昼の部は)プロデュースコンサートという意味合いで作らせていただきました。いろんなメンバーに大きな会場で、ソロで歌うっていう経験をしてもらって、成長してもらいたいなと思ったので、そういう構成にしました」と意図を話してくれていた。

◆豪華な卒業生たちが登場

夜の部でも、その姿勢は随所に見られ、自身のユニット曲「思い出以上」のセンターを井田玲音名に託したり、アイドル性の高いナンバー「天使のしっぽ」のセンターを自身のプロデュースユニット・Black Pearlにも抜擢した平野百菜に任せたりと、後輩メンバーにスポットライトが当たる構成を続けていた。

また卒業コンサートならではの演出といえば、卒業生たちの登場というがあるが、本コンサートでも、小野晴香、桑原みずき、佐藤実絵子、高井つき奈、高田志穂、中西優香、平田璃香子、松下唯、矢神久美、山下もえというそうそうたる1期生のメンバーが登場。SKE48の1stシングルでもある「強き者よ」を現役メンバーと一緒に披露してくれた。

さらに、卒業して4年経つがいまだに交流があるという3期生の矢方美紀が登場。現役時代にもやっていたギターの弾き語りで、バラードナンバーの「不器用太陽」をデュエットした。歌唱が終わった後は「お互い幸せになりましょう。今も幸せだけどね、さらに。これだけいろんな方がおじゅりを見てきて、これからも変わらず見守り続けますからね。私もその一人です」と1期生が多く卒業した後、チームSの副リーダー、リーダーを務め、松井珠理奈の苦悩も近くで見てきた矢方美紀だからこそ言えるであろう優しい言葉をかけ、ステージを後にした。

また本編ラストを飾った「恋落ちフラグ」の前には、卒業生の佐藤すみれがMCに登場。当日参加することのできなかった1期生の大矢真那、松井玲奈やSTU48の瀧野由美子、元NGT48の北原里英、元AKB48の高橋みなみ、小嶋陽菜、SKE48で卒業をした宮澤佐江、また世界各地の48グループのメンバーから卒業を祝うメッセージが届いていた。

◆総選挙1位の話も

アンコール一曲目は1期生にとって思い入れのある「神々の領域」。感極まり声が出せない場面もあったが最後の1期生として、一人で歌い切った。そして、続く「Glory Days」では卒業生の桑原と中西が再登場。初めてのSKE48オリジナル公演『手をつなぎながら』公演でこの曲を初めて披露した際のオリジナルメンバーが揃った瞬間だった。

この後、SKE48劇場で行われたアフタートークにて、桑原は珠理奈が泣き崩れても支えてやり切ろうと中西と話していたというエピソードを話し、珠理奈も「二人を見た瞬間に笑顔でやりきろうねっていう目が見えて、(気持ちが)伝わってきたら、涙もうでんくって。当時に戻った」と純粋に二人とのパフォーマンスを楽しむ思いが込み上げ、涙が止まった経緯を語っていた。

その後、最後のスピーチでは1位になった選抜総選挙があったときのエピソードを話し「やっと素直な気持ちでしゃべることができました。たまにはいいよね。泣いても」と漏らす。この言葉に、いかに“SKE48のセンター松井珠理奈”という看板を意識し、背負い、その重圧と11歳というまだ幼い頃から戦い続けてきた大変さを感じずにはいられなかった。

「大好き、幸せ、ありがとう」。そう言い残して、ステージを後にした珠理奈。アフタートークに表れたときは「お待たせ―、おやすみなさい」が第一声で「眠い。お腹空いた。なんかわがまま娘みたいだけど、出し切った」と何か肩の荷が下りた感じで、加入当時みせていたダジャレが好きで無邪気なお調子者、人懐っこい松井珠理奈に戻っていたように思えた。

◆これからは珠理奈個人の人生を

彼女を取材するなかで、常に感じ続けてきたSKE48が好きだから、SKE48をよくしていきたいという気持ち。もともとの負けず嫌いな性格やそういったグループへの思いが強すぎて、ときに空回りしたり、苦しんでしまうこともあったように思うし、よく思われない感情を抱かれてしまったこともあったように思う。

ただ、10代の初めから、ここまで純粋に一つのグループに打ち込んで長年やり遂げた人もまたいないと思う。肩の荷がおりたいま、改めてしっかりリフレッシュして、松井珠理奈個人としての今後を描いていってほしい。

卒業コンサートの方は、最後、珠理奈が作詞した未発表曲「オレンジのバス」を残るメンバーが歌唱して終了。SKE48劇場支配人も務める斉藤真木子が「珠理奈さんが残してくれたこの『オレンジのバス』と一緒に私たちSKE48は歩み続けて、走り続けていきたいと思います。皆さま、珠理奈さんが卒業された後も、珠理奈さんのことを愛して、SKE48のことをもっともっと愛していただけると嬉しいです」と話した。

グループとしては、前日に卒業コンサートをした高柳明音と松井珠理奈という大きな柱を同時に失う形になる。これを好機と捉えるか、ピンチと捉えるかは残されたメンバーたち次第。

珠理奈が残した「オレンジのバス」の歌詞には“可能性を秘めていると思って自分信じていこうよ”“これからたくさんの色を自由つければいい”という言葉があった。

伝統を重んじてきたSKE48だが、ここからはいままでにはなかった改革があってもいいのかもしれない。

これから彼女たちがどんな色をつけていくのか。オレンジ色ではないSKE48が生まれたとき、どんな景色が見えてくるのか。秘めた可能性を存分に発揮して、これからも名古屋・栄の地から魅力を発信していってもらいたい。

取材・文/八木康晴(本誌) 写真/(C)2021 Zest,Inc./ AEI

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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