小杉大介 、潘逸舟 、マヤ・ワタナベが参加。MOT アニュアル 2021  海、リビングルーム、頭蓋骨

NeoL

小杉大介《A False Weight》2019 年


潘逸舟《戻る場所》2011 年


マヤ・ワタナベ《Bullet》2021年Produced by Multiverso with the support of Mondrian Funds and the Museum of Contemporary Art Tokyo

MOTアニュアルは、若手アーティストの活動を通じて、国内の現代美術の潮流のひとつを紹介するグループ展として、1999年から開催されてきた。今回で17回目を迎える本展では、未だ収束を見ないパンデミックによって複数の社会問題が顕在化した世界で、国や地域を超えて共鳴する若手アーティストたちの同時代的な表現や問題意識を提示。本展で紹介される小杉大介、潘逸舟、マヤ・ワタナベは、映像を主なメディアとしながら、自らや他者の身体表現を取り入れた作品で、社会のシステムや規範と対峙する人々の葛藤や応答の身振りを描いてきた。ある風景の中の身体の現れや不在の意味を、その社会的背景や歴史的文脈を掘り下げながら批評的に考察する彼らの実践はまた、映像表現そのものの追求を通じて、私たちの生が根源的に関わる時間や空間に対する洞察を提示する。本展はそのような作品群を通して、現代を生きるひとりの主体としての私たちの主観性を形作るものは何かを問うと同時に、私たちは、映像であれ、社会であれ、自らであれ、何を見ているのかだけではなく、いかに見ているのかという問いを投げかける。

参加作家 : 小杉大介 / 潘逸舟 / マヤ・ワタナベ(各アーティストの新作を含めた映像、インスタレーションを展示)

MOT アニュアル 2021 海、リビングルーム、頭蓋骨会期 2021年7月17日(土)- 10月17日(日)休館日 月曜日(8月9日、9 月20日は開館)、8月10日、9月21日 開館時間 10:00-18:00(展示室入場は閉館の 30 分前まで)観覧料 一般 1,300 円 ほか 小学生以下無料会場 東京都現代美術館 企画展示室地下 2F主催 公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館助成 Office for Contemporary Art Norway電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)

展覧会のみどころ

国際的な活動で大きく期待される若手アーティスト3名を紹介今回日本で初めて紹介されるオスロ在住の小杉大介と、現在アムステルダムを拠点とするマヤ・ワタナベは、どちらも各国の国際展や映像祭などで取り上げられ、注目を集めている若手アーティスト。昨年の日産アートアワードでグランプリを受賞した潘逸舟も、今後のさらなる活躍が期待されている。本展では彼らの新作を含めた複数の作品を展示し、近年の活動の軌跡を提示する。

身体表現と映像表現を横断するアーティストたちの豊かな表現本展で取り上げられるアーティストは、映像表現と共に身体表現にも関わりながら、身体とその内的領域をいかに捉えるかという問題を掘り下げてきた。小杉大介は、普遍的な身体を規格とした建築の居住空間に相入れない身体の葛藤を、父と子という個人的な関係から静かに見つめた《A False Weight》(2019 年) を展示。また新作として、繰り返し再生されるトラウマの恐怖や痛みを身体がいかに再体験するかを、フラッシュバックを風景として辿りながら探る映像作品を発表する。潘逸舟は、幼少期に上海から移り住んだ青森で行ったパフォーマンスを記録し、二つの国家の間で揺れ動く主観性を詩的に描いてきた。本展では、これまでの映像作品と新作を合わせ、インスタレーションとして展示。マヤ・ワタナベは、現在も究明や裁判が続いている、自国ペルーの内戦の記憶の問題を探求してきた。彼女の近作から、過去と現在の間で宙づりになった風景を捉えた《Sceneries》(2016年)、身体に刻まれた抑圧の痕跡を照らし出す《Liminal》(2019 年)を、新作《Bullet》 (2021 年)と共に展示。

揺れ動く現代社会における生を見つめるアーティストたち現代のさまざまな生と向き合いながら、綿密な調査や人々との協働を通して制作された作品は、私たちが社会でいかに生き、生かされているのかを問うものでもある。世界的な公共衛生の危機により、個に対してより強化した公的な統制力、これまでにも増して顕在化した人々のつながりと分断、一層と拡大する不平等などの世界共通的な課題を、身体という最も根源的な場を通して考える視座を提示する。


小杉大介《A False Weight》2019 年

小杉大介|Daisuke Kosugi1984 年東京生まれ、オスロ在住。2014 年オスロ国立芸術大学卒業。社会を制御するシステムの中で揺れうごく主体の表 出に関心を寄せ、映像を中心に、パフォーマンス、テキスト、サウンド、オブジェなど幅広いメディアを用いて制作を行っている。小杉の家族や他のアーティストとの協働を通じて制作されたこれまでの映像作品は、フィクションとノン・フィクションを行き来しながら、個が経験する葛藤や不自由がもたらす身体的、精神的痛みの伝達(不)可能性を問う。これまで、ノルウェー各地の他に、ジュ・ド・ポーム国立美術館(フランス)、CAPCボルドー現代美術館(ボルドー、フランス)、アンパロ美術館(プエブラ、メキシコ)、光州ビエンナーレ(韓国)などで展示を行い、各国の映画祭で作品が 上映されている。また、ヨーロッパ各地でのレジデンスにも参加している。オスロのアーティスト・イニシアティブLouise Danyの共同設立者でもある。


潘逸舟《海で考える人》2021 年

潘逸舟|Ishu Han1987 年上海生まれ、東京在住。2012 年東京芸術大学美術研究科先端芸術表現大学院修了。映像、パフォーマンス、インスタレーション、写真などのメディアを用い、共同体や個が介在する同一性と他者性について考察してきた。作品の多くは、幼い頃に上海から青森に移り、日本で生活してきた潘自身の経験や視点がベースとなっている。誰もが見たことがあるような風景に浸透した「日常」にパフォーマティブな行為で切り込む映像や日用品を用いたインスタレーションは、共 同体の自明性を問い、私たちの行為や眼差しに内在するイデオロギーや規範を示唆する。これまで日本国内各地の他に、ボストン美術館(アメリカ)、ユダヤ博物館(アメリカ)、上海当代美術館(上海、中国)などで展示し、オーストラリア とアメリカでアーティスト・イン・レジデンスに参加。昨年、日産アートアワード2020グランプリ受賞。


マヤ・ワタナベ《Sceneries II》2016年 展示風景Image courtesy of Livia Benavides gallery

マヤ・ワタナベ|Maya Watanabe1983 年リマ生まれ、アムステルダム在住。現在ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジ博士課程在籍。ワタナベの映像 インスタレーション作品は、人間や他の生物の身体とその物質的変化を微視的かつ抽象的に捉え、生と死の一回性を洞察してきた。また、生を貫通する人間や自然の力を想起させる風景や光景を描きながら、人間の知覚や想像力、記憶の限界 を示唆する。近年はそのような手法を用いながら、1980-1990 年代に自国ペルーで続いた政治的混乱に光を当て、社会 と人々の内に未だ深く浸透している抑圧と暴力の発露を試みている。ワタナベはこれまで、国立21世紀美術館(イタリ ア)、パレ・デ・トーキョー(フランス)、リマ現代美術館(ペルー)、ハバナ・ビエンナーレ(キューバ)など数多くの 国や地域で展示を行い、演劇の舞台美術や視覚/音響の演出も手掛けている。2017 年には京都芸術センターでのアーティ スト・イン・レジデンスに参加し、2018 年にはハン・ネフキン財団賞を受賞。

当記事はNeoLの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ