人気マンガの編集者・佐渡島庸平さんが『マンガ沼』を語る

テレビドガッチ

「宇宙兄弟」「ドラゴン桜」「働きマン」などのヒット作を世に送り出してきた編集者・佐渡島庸平さんが今、お笑い芸人の才能に注目している。

マンガ通で知られる麒麟・川島明さんと、かまいたち・山内健司さんが司会を務めるバラエティー『マンガ沼』(読売テレビ毎週日曜1:28~1:58、日本テレビ毎週金曜1:59~2:29放送中)にて行われているコーナー「芸人4コママンガ王選手権」で審査員を担当。ヒットを仕掛けてきた編集者の立場から、芸人たちのマンガにコメントをしているのだが、どれも力作ぞろいで可能性を感じるという。

マンガ家・作家のエージェント会社コルクの代表である佐渡島さんに、コンテンツを面白くするイマドキの“才能”について聞いてみた。

【企画 : 森脇征大 / 取材・文 : 鈴木しげき】

――『マンガ沼』で芸人さんのマンガが上手いし面白いです。編集者として、この現象はどう見てますか?

佐渡島 : プロと、そうじゃない人たちの境目がなくなっていると感じます。今までは複数の仕事をするのが物理的に、時間的に難しかったんですけど、それがどんどんできる時代になってきましたよね。

芸人さんって面白いことに対して真摯に向き合っている人たちなので、やっぱり、その方たちの中で絵が描けたら、それはもうマンガ家さんと同じ土俵に上がってきていると言ってよいでしょう。コントを考える時って、頭の中にはマンガみたいに絵コンテがあって、それを展開させているでしょうから、芸人さんたちのマンガが面白いのはある種、自然なことかなと思います。

今後は、芸人でマンガ家、マンガ家で芸人、そういった垣根のない人も増えるでしょうね。

――すでに芸人さんの中には芥川賞を獲ったり、マンガで手塚賞を獲ったりと実績のある方もいますが、編集者として、目をつけているお笑いさんはいますか?

佐渡島 : お会いした方でいうと、インパルスの板倉さん。小説を発表されていますが、すごい才能のある方だと思います。ネタを考える人ってアイデアが豊富ですよね。

あとは、NON STYLEの井上さん。LINEマンガの仕事をいっしょにしたことがあるんですけど、マンガに対しての提案力がものすごくありました。「もっとこうしたら面白くなるんじゃないですか」といった提案ですね。井上さんは、コンビのネタづくりに関しては相方さんに任せてるそうですが、そのぶんネタに対してフィードバックする能力が長けていると感じましたね。

――佐渡島さんは編集者として「今や才能はこちらから見つけに行くべき」と考えているそうですね。

佐渡島 : それはもう昔からです。出版社にいた頃は自分で探すことと、雑誌の新人賞があって、そこから才能に出会っていく感じでした。今は自分で探すのはもちろん、『マンガ沼』のような番組が新人賞のような役割をしていて、そういった出会いの場を自分でつくっていますね。そこで、面白い人がいたら、「よかったら僕がやってるマンガ学校に通いませんか?」と声をかけさせてもらったり。
――佐渡島さんはいろんなメディアに登場していますが、『マンガ沼』のようなストレートなバラエティーは初めて?

佐渡島 : 初めです。番組の演出上、ジャージを着て出ているんですが、最初スタッフの方から「ジャージをつくりたいのでサイズを教えてください」と言われた時は、「おれ、どんな番組に出るんだろう……?」と不安になりました(笑)。ただ、郷に入れば郷に従えで、始まったらマンガへの愛があふれる番組なのでそれが伝わるのなら何でもやっていきたいですね。

――司会の麒麟・川島さん、かまいたち山内さんについてはどんな印象を?

佐渡島 : お二人ともやさしいなと。僕の場合は編集者として番組に出ているので、投稿されたマンガに対して、「もっとこうしたら面白くなる!」と話しだすんですけど、お二人は「まず基準を超えていて面白いね」とか、やさしさがある。そのうえで、しっかりいじる(笑)。いじったうえで、しっかりやさしい。うまいなぁと感心しますね。

――ところで、佐渡島さんが担当した「働きマン」「ドラゴン桜」はドラマ化されていますが、マンガを最初に企画する際にドラマ化の可能性はどれくらい意識してるんですか?

佐渡島 : つくる時は、そのマンガ家にとってどういうネタが一番いいんだろうということを最優先していますので、実写化することは想定していませんね。ただ、できあがったものが実写化するのがよいとなれば、プロモーションのためにやらせていただくという考え方です。あくまでも、マンガを面白くするためにはどうすればよいか、それが基準です。

――担当した原作マンガのドラマ自体は、どうご覧になってますか?

佐渡島 : 『マンガ沼』で一番の主役は誰なのかと言ったら、川島さんと山内さんだと思うんです。二人がマンガという題材を通して、面白さをつくりだす。マンガの実写ドラマの場合も、一番の魅力は主演俳優だと思っているので、そこを際立たせるために原作があるという捉え方をしています。もちろん、原作を読んでいただける時には、原作が一番面白いと思っていただきたいですが。

――テレビアニメについてどう考えていますか? 「宇宙兄弟」などがアニメ化されていますが。

佐渡島 : アニメに関しては、実写より原作に近いので、どうやって原作のマインドをそのまま動画にしていくのか。そこに挑戦してほしいという気持ちはあります。

役者が輝くのか、それとも原作のマインドか、そこに違いはありますね。アニメに関しては、マンガのことを過不足なく再現してほしいというのはあります。

――もはやメディアもボーダレス。そんな中、クリエーターのエージェント会社の代表として、どんな才能を追いかけたいですか?

佐渡島 : 面白いことを考え続けていて、常識に縛られていない人。それでいて、アウトプットを安定的に出す人。毎週とか毎日とか。多作であることは今の時代とても大事だと思います。四コママンガなら毎日出すくらいのアウトプットが重要です。

コントや漫才をつくる才能って、マンガに近いですから、今後は芸人さんからストーリー性のあるコンテンツが誕生する可能性も大いにあると思いますよ。

……そう語ってたくれた佐渡島さん。『マンガ沼』から新たな才能が発掘され、私たちを楽しませてくれる新しいエンタメが誕生しそうな予感だ。注目を!
<佐渡島庸平 プロフィール>
株式会社コルク 代表取締役社長/編集者。1979年生まれ。東京大学文学部を卒業後、2002年に講談社に入社。「宇宙兄弟」(小山宙哉)「ドラゴン桜」(三田紀房)、「働きマン」(安野モヨコ)などのヒット作を編集。ネット時代に合わせた作家・作品・読者のカタチをつくるため12年に講談社を退社し、株式会社コルクを創業。従来のビジネスモデルが崩壊している中、コミュニティに可能性を感じ、「コルクラボ」というオンラインサロンを主宰している。

当記事はテレビドガッチの提供記事です。

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