<インタビュー前半>オーストラリアの新星ラッパー、マスクド・ウルフが語るヒップホップ人生の始まり

Billboard JAPAN



オーストラリア・シドニー出身のラッパー、マスクド・ウルフの最新インタビューが届いた。2018年12月にデビュー・シングル「スピード・レーサー」を発表、今年1月にリリースした「アストロノーツ・イン・ジ・オーシャン」は、このメンタルヘルスの時代に多くの人々から共感を得たことでヒット、Shazamグローバルチャートで1位を記録し、最新の米ビルボード・チャート“HOT 100”では17位にまで上昇している。今回は、エミネムや50セントなどをよく聴いていたというハリー・マイケルがラップを始め、マスクド・ウルフとしてデビューすることになったきっかけや、普段の楽曲制作におけるこだわりなどを語ったインタビュー前半をお届けする。

――最初に、ヒップホップ・カルチャーと出会ったきっかけを教えてください。

13歳から15歳くらいのとき。アメリカのヒップホップ作品をたくさん聴いていて、G-ユニットやカニエ・ウエストが大好きだったな。特にカニエ・ウエストが大好きで、彼こそがヒップホップへの大きな入り口だった。

――カニエ・ウエストの音楽を聴いたとき、どんなインパクトがありましたか?

彼がプロデューサーでもあるということを知ったとき、「何でもできちゃう人なんだ!」と驚いたし、俺にとって大きなインスピレーションになった。「ゴールド・ディガー」が出たときはみんな夢中になって聴いていたね。「ジーザス・ウォークス」も至るところでかかっていた。あと、同じく大ヒットしていたドレイクやエミネムにも影響を受けた。彼らがヒットしていくうちに、俺のヒップホップ人生も始まった、という感じだ。

――ラッパーになろうと思ったきっかけは?

最初はラップしようだなんて思っていなかったんだ。「ラッパーになろう」と決めたわけでもなかったし、自分がラップを始めたときは誰にも言っていなかった。「こんなふうに思っているんだ」ということを友人にも打ち明けなかった。ただ書くことが好きで、自分の気持ちを吐き出したり、本当はどんな感情なのか、ということをリリックというよりポエムのような形で表現したりしていた。もしかしたらそれがラッパーとしてのスタートだったのかも。

――初めてレコーディングしたときのことを覚えていますか?

とても若かったし、そのときはオートチューンを多用していたね(笑)。ただ楽しいからやってみたという感じで。そのときは17歳とか18歳くらいで、ラップすることをだんだん真剣に考え始めたときでもあった。

――当時、周りにラップや音楽制作を行っている友達などはいましたか?

いや、周りに音楽をやっているような友達は誰もいなかったんだ。それはけっこう厳しかったな。特に知り合いのラッパーやシンガーもいなくて、ヒップホップを聴いて音楽的なことやクリエイティブなことを分かり合えるのは俺とプロデューサーの二人くらいだった。

――作曲やラップのスキルはどのように磨いていったのでしょうか?

とにかく他のアーティストがどんなことをやっているのかを“聴いて”いたな。音楽そのものを聴くというよりも、彼らがどんなふうにサウンドを構築しているかとか、どのようにフロウに変化を持たせているかなどを耳から習得するようにしていた。1年やそこらでマスターできるものではなく、聴いたものを実際に自分のサウンドに落とし込むまでに5年から8年くらいかかったけど。

――普段はどのように楽曲を作っているのでしょうか?

まずはビートだな。心を掴まれるようなビートを聴いたら1秒で分かる。毎週、300~500曲分のビートをチェックしていて、「これだ」と思ったものを選んで曲にしている。ビートを選ぶ直感には自信があって、失敗したことはない。曲にしようと決めたビートを聴くと、その曲のストーリーラインが浮かんできて、楽曲の“道順”みたいなものが分かってくる。歌詞はまずコーラスから書くんだ。コーラスからストーリーを膨らませていく。まずはキャッチーなコーラスを考えて、それからヴァースを書いて、ストーリーを形にしていくんだ。

――曲を書く際に気をつけていることはありますか?

音楽を聴くのは大好きだけど、他のアーティストに影響されすぎるのも嫌で、自分以外のアーティストの曲はあまりディープに聴かないようにしているかな。あと、他の人があまり話題にしたがらないようなトピックをリリックに書くようにしている。

――オーストラリアのヒップホップ・シーンはどのような感じですか?

ここ1年くらいでとても大きく躍進している。たくさんのアーティストが海外からも注目されるようになったんだ。これまでオーストラリアのヒップホップが国を越えて認められることはとても難しかった。なぜなら、海外基準に達したサウンドがあまりなかったから。UKドリルのようなサウンドがオーストラリアにも入ってきたし、ザ・キッド・ラロイの成功もある。彼はジュース・ワールドやポスト・マローンみたいな魅力を持ったアーティストだよね。俺はもっとジョイナー・ルーカスみたいなタイプのMCなんだ。アグレッシブなラップと、ドレイクのような雰囲気が合わさったような……伝わるかな? 他にもいろんなタイプのアーティストがいるから、もっと頭角を表していくと思う。

――マスクド・ウルフというMCネームの由来を教えてください。

普段は本当の自分を隠していて、他人には自分の情熱が分からないようにしているけれど、一度スタジオに入ると仮面の下の本当の自分、“ウルフ”な自分が出てくる、というのが由来なんだ。

――名前から察するに、とてもミステリアスで怖い方なのではと思っていました。

実際は大きなテディベアみたいなタイプの人間だよ(笑)。

Interview by 渡辺志保

当記事はBillboard JAPANの提供記事です。

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