夫がサラリーマン20年未満で辞めたら、妻が最大1460万円損するリスクがある理由

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<女性が一生、お金に困らないためのレッスン vol.1>

ずっと独身かも。結婚しても離婚したり、夫が先に亡くなるかも。――女性にとって、ひとりになるのは、想定内のできごとです。あなたはその時、お金に困らずに生きていけますか?

貯金や老後のお金問題について著書多数の経済評論家・佐藤治彦さんが、シリーズでお届けします。

タイトルの「妻が最大1460万円損するリスクがある理由」は、記事の一番最後に明かされます、悪しからず。(以下、佐藤さんの寄稿)

◆夫が60歳までに亡くなる確率は7%

夫に社長や重役になってほしいとは思わなくても、40歳前後になると、夫の残りの社会人人生の行く末も見えてきます。夫が会社の愚痴を言うようになってませんか? 酒量が多くなってきてませんか?

危険なのは会社や役所に勤め始めて20年前後、年齢としては40歳前後。40代という大台を前に、転職するなら最後のチャンスと思ってしまうものだからです。独立するなら若いうちでないと、と思うのでしょう。

夫が独立や転職で仕事がうまくいくことも、そういかない場合もあります。また、病気や怪我で亡くなることだってあります。

ちなみに男性が60歳までに死ぬ確率は約7%です。女性は4%くらい。多くはないけれど、まったくないこともない(厚生労働省、令和元年簡易生命表より)。

◆夫の死後2000万円もらえる保険、掛け金はどのぐらい?

そのため、万が一の時のことを考えて死亡保険に入る人も少なくないですよね。

特に今は掛け捨て、ネットで申し込める死亡保険であれば、毎月の保険料もたいして高くないといわれます。

例えば45歳の男性が2000万円の補償が出る、20年間の定期保険に加入するとなると、毎月8500円程度の保険料です。40歳なら5500円。

45歳の人なら65歳まで、40歳なら60歳までの間に夫が亡くなることがあれば2000万円のお金が支払われる生命保険に入ると、40歳からなら132万円、45歳からなら204万円の保険料(掛け金、掛け捨て)を支払うことになります。万が一のことがなければ、掛け捨てなので、お金は戻ってきません。安いといっても、100万円とか200万円のお金は少ないお金じゃないですよね?

でもいざという時に、お金がないのも困りますね?

◆①遺族基礎年金:18歳未満の子がいるともらえる。妻+子1人で約100万円

皆さんは遺族年金という制度があるのをご存知ですか?

これは、厚生年金や国民年金に加入している人に、万が一のことがあった場合、支払われる公的な年金のことです。

わりと知られているのは遺族基礎年金です。これは、18歳未満の子どもを残して父親に万が一のことがあった場合、妻や子どもに出る年金のこと。妻と子ども1人の場合、年100万6600円のお金が国から支払われます(2020年度。金額は毎年少しづつ変わります)。

もし、8歳の子どもを残して万が一のことがあれば、その後10年間でおおよそ1000万円のお金が妻と子どもに支払われることになるのです。

しかし、制度はこれだけではないのです。

◆②遺族厚生年金:夫がサラリーマンだともらえる

遺族厚生年金と中高年の寡婦加算(かふかさん)という制度もあるからです。

遺族厚生年金はサラリーマンや公務員として厚生年金を納めながら働いている人が、妻を残して死んだ場合に出るお金です。

元会社員の場合はどうか? 実は、厚生年金と国民年金を合わせて25年以上加入していた場合にも、遺族厚生年金が出るのです。こちらは子どもがいるかどうかは問われません。支払われる金額は一律でなく、厚生年金をどれだけ長く、どれだけ掛け金を払ってきたかで変わります。子どもがいれば、前述の遺族基礎年金に加えて、この遺族厚生年金も加算されるのです。

◆③中高年の寡婦加算:子がいない・子が18歳以上でも、妻が最大1460万円もらえる

あまり知られていないのが中高年の寡婦加算です。

先に書いたように遺族基礎年金は18歳未満の子どもがいることが支払われる条件です。サラリーマンの妻で子どもがいる場合には、遺族基礎年金に加えて、遺族厚生年金も支払われるので、亡くなった後の生活の大きな支えになります。しかし、子どものいないサラリーマンの妻の場合には、遺族厚生年金はもらえても、遺族基礎年金はもらえません。妻がもらう年金は少額になってしまいます。

そこで、遺族厚生年金に加え、子どもがいない妻に中高年の寡婦加算が出ることがあります。条件は、妻が40歳から年金の出る65歳の間に、夫に万が一のことがあった場合。出る金額は65歳まで毎年58万5000円(金額は毎年変わります)支給されます。25年もらうとなると、1460万円にもなるので、決して少ない金額ではありませんね。

さらに夫が亡くなった時に18歳未満の子どもがいた場合。

子どもが18歳になって遺族基礎年金が出なくなった時に妻が40歳を超えていれば、遺族基礎年金の支給は終わっても、この中高年の寡婦加算が代わりに65歳まで支給されることになるのです。

◆「夫がサラリーマン20年」未満だと、中高年の寡婦加算がもらえない

民間の生命保険も大切ですが、国民年金を払っているのなら遺族基礎年金が、会社員や公務員として厚生年金も払っているのなら、加えて、遺族厚生年金や中高年の寡婦加算という制度で、国が万が一の後のお金の面倒を相当見てくれるというわけです。

「それなら生命保険に入らなくても大丈夫か」と判断したのなら、先に紹介した民間の生命保険会社払う掛け捨ての保険料の100万円や200万円を老後資金として貯めていくことも可能です。

ただし、この中高年の寡婦加算には、20年ルールという条件があることを忘れないでいただきたいのです。

遺族厚生年金は、厚生年金と国民年金を合わせて25年以上加入し払っていることが条件になりますが、中高年の寡婦加算は、「厚生年金に20年以上」加入しているという追加条件があるのです。

◆夫が、会社勤め18~19年で辞めそうになったら止めるべき!

ですから、会社勤めで厚生年金を18年とか19年も頑張って払ってきた人が、仕事を変えて国民年金を払う仕事(自営業やフリーランス)に変わろうとしている場合は要注意なのです。20年働いたあとであれば、万が一の時に、国から、妻が65歳になるまで中高年の寡婦加算が出る。最大1460万円です。その条件にあと少しでクリアだからです。

「辞めてもいいけど、サラリーマン生活を20年やってから!」にさせること、これを忘れないでくださいね。

ちなみに遺族年金は妻の年収が850万円以上の場合には支給されません。850万円あれば、夫の遺族年金が無くても十分生活できるというわけです。

<文/佐藤治彦>

【佐藤治彦】

経済評論家、ジャーナリスト。1961年、東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、東京大学社会情報研究所教育部修了。JPモルガン、チェースマンハッタン銀行ではデリバティブを担当。その後、企業コンサルタント、放送作家などを経て現職。著書に『年収300万~700万円 普通の人がケチらず貯まるお金の話』、『年収300万~700万円 普通の人が老後まで安心して暮らすためのお金の話』、『しあわせとお金の距離について』など多数 twitter:@SatoHaruhiko

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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