ビートルズも感激!「世界が尊敬する日本人100人」に選ばれた美術家の墨アート

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2021年3月1日に107歳で亡くなられた美術家、篠田桃紅(とうこう)さんの画業をたどる展覧会が、4月3日から横浜のそごう美術館ではじまります。篠田さんは、欧米のアートシーンで高く評価され、2005年にはニューズウィーク誌の「世界が尊敬する日本人100人」に選出。芸術分野だけでなく、エッセイの執筆も精力的に行うなど幅広い活動をされた方です。彼女の美しい水墨抽象画と、バイタリティあふれる人生をご紹介します。
■ 墨と寄り添い100年…

【女子的アートナビ】vol. 198

『篠田桃紅展 とどめ得ぬもの 墨のいろ 心のかたち』では、墨と100年寄り添った美術家、篠田桃紅さんの初期から近年までの作品を展示。書からはじまり、次第に文字の形にとらわれなくなって抽象化していく様子を、約80点の作品と資料で見ることができます。

篠田さんは1913年、中国・大連生まれ。満州で生まれたため、満州子(ますこ)と名付けられます。父の転勤に伴い2歳で日本に帰国。5歳から父の手ほどきで書を学び始めます。

漢詩や和歌などの教養も身につけ、19歳のころには与謝野晶子門下の歌人から短歌の指導を受け、雑誌に自作の歌も寄稿。1935年、22歳で書を教え始めて独立します。

27歳のときに初個展で書作品を発表。既存の枠にとらわれない作品は「根無し草」と評されますが、独自の創造の世界を求めて突き進んでいきます。

■ アメリカで熱烈歓迎!

戦後、日本の前衛書を紹介する海外の展覧会に出品を重ねていき、1956年、43歳のときに書家の経歴を捨てて単身渡米。ニューヨークを拠点に活動をはじめます。

1950年代、ニューヨークのアートシーンでは、ジャクソン・ポロックなどの抽象表現主義が流行。書の枠を超え、墨の美しさそのものを見てほしいと思っていた篠田さんの書は、新しい「絵画作品」として熱烈に歓迎され、高い評価を受けます。

欧米各地で作品を発表しながら、2年間のアメリカ滞在を終えて帰国。1970年代に入ると、作風が優美になり、日本の伝統に裏付けられた美意識が作品にあらわれはじめます。

ちなみに、1966年に来日したザ・ビートルズが、宿泊したホテルに飾られていた篠田さんの作品を見て感激し、作品を書いた筆と同じものを購入したという逸話も残されています。

また、名文家として知られる篠田さんは、1979年に随筆集『墨いろ』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。100歳を過ぎてからも、多くのエッセイを執筆されていました。

2000年代に入ると、金や銀を背景に使った作品が多くなり、画面はやわらかく変化。余分なものがすべてそぎ落とされていきます。最後まで表現世界の追求を続けられていたそうです。

■ 作家のメッセージ

篠田さんは、本展の開催を楽しみにされていたそうです。今回の展示では、作家の希望により、作品名や制作年などの情報が書かれた作品キャプションのない会場構成になっているとのこと。「墨と水によって偶然生み出される美しい線や形に注目してほしい」とお考えだったようです。

展覧会は4月3日からスタート。会場を訪れたら、ぜひ文字の意味や形にとらわれず、自由に想像しながら作品鑑賞を楽しんでみてください。

当記事はananwebの提供記事です。

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