モヤモヤ解消『ハウルの動く城』が “難しい” と感じるワケ / 2週連続「金曜ロードショー」でジブリ作品放送!!



「金曜ロードSHOW!」改め「金曜ロードショー」にジブリ再び! 4月2日『ハウルの動く城』放送だ。

スタジオジブリの代表作といえば『風の谷のナウシカ』や『千と千尋の神隠し』といった少年少女の痛快な冒険活劇がまず浮かぶ。

一方『ハウルの動く城』は、ストーリー展開がやや複雑だったり、声優のキャスティングがちょっとした議論の的になったりと、いわば異色の存在。そんなハウルを読み解く「制作上の裏話」をご紹介!

ストーリー上のネタバレはないが、作品の評価にも言及するので、未視聴の方はブラウザバック推奨だ。

・「わからなくてもいい」ハウルの世界

『ハウルの動く城』の評価のひとつに、「難解」「意味がわからない」というものがある。呪い、契約、戦争といった物語独自の背景がありながら、それに対する説明がほとんどないため、「え、なにが起こったの?」と戸惑った人もいるのでは。

宮崎監督のスタンスに「謎解きをしない」というものがある。たとえば『紅の豚』では、いきなり豚の顔をした人間が登場することになんの説明もされないし、周囲の人も普通に受け入れている。

ハウルには『魔法使いハウルと火の悪魔』という原作小説があるが、巨大な城が動き回る、若い女性が老婆になる、暖炉にとらわれた火の悪魔など、原作のモチーフにすでに魅力があり、そこにくどくどした説明は不要と監督は考えた。

登場人物が世界の仕組みを口にすると、「潔くない」とセリフを変えるなど、そのスタイルは徹底していたという。

結果、いわゆる背景や設定についての説明がほとんど排除された。そのため公開後、作中で言及されない謎について、ファンのあいだで解釈や考察が盛んに行われることに。

物語をすっきりと説明できないことにモヤモヤする人が、想像以上に多かったことは宮崎監督にも誤算だったようだ。

それと同時に、難しいテーマを選んでしまったために単純な冒険活劇にはならず、「ややこしく」なった、とも。物語は基本的には呪いを解く方向に進んでいくのだが「老い=不幸」「若返り=問題解決」にはしたくない、と考えたのだそう。

『ハウルの動く城』は理屈ではなく、感性で味わう作品。城のビジュアルのおもしろさ、ソフィーの戸惑いと成長、ハウルのかもしだすロマンティックな空気、そういったものを「感じる」ことで楽しめる作品といえる。

・つじつまよりも大事なこと
「謎解きをしない」ことにもつながるが、宮崎監督の発想は、極端な細部から始まるという。登場人物の髪型、普段食べているもの、住んでいる場所、そういった細かいイメージから物語が広がり、「つじつまはあとで合わせる」というスタンスなのだそう。

しかも、建物などをデザインするときには資料写真を見ない。自身の記憶と想像、つまりイメージの力で作り上げるのだという。

そのため、どこかで見たような、それでいて世界のどこにもない独自のデザインが生まれる。

一方の高畑勲監督は徹底した調査を行い、リアリティを追求するタイプ。たとえば『おもひでぽろぽろ』では、専門家顔負けの紅花(べにばな)研究ノートが作られたという。

事実と違っても “らしく” 見せることが得意な宮崎監督とは正反対なのだとか。

『ハウルの動く城』でも外観のイメージが先にあったために、城の間取りはまったく考慮しておらず、あとから相当苦労したそう。何層もの部屋が連なっていそうな複雑な見た目に反して、内部は2階分しかないんだって!

・マスコミの評価

ところで、マスメディアからも出た「わかりにくい」「監督自身の老いではないか」といった評価に、宮崎監督はかなり腹が立ったり悩んだりしたそう。

我が道をいく、というイメージのある宮崎監督だが、実は「人の反応がものすごく気になる人間なんです」と自身を表現している。振り回されないために、映画祭などのイベントや賞レースもあえて遠ざけているのだという。

人を楽しませるために作品を作るので、楽しんでいない人を見ると「ひどく心が痛む」「臆病なんです」とも。

これは筆者の所感だが、アニメでも漫画でもゲームでも、「つまらないものを作ろう」と考えて仕事をするクリエーターはいない。自分がいいと思ったものが、ファンの求めたものと違った、ただそれだけなのである。

なのでファンは残念に思う権利こそあれ、「作品をおとしめた」などと作者を断罪したり、制作陣の人格を全否定するようなコメントが殺到する昨今の風潮には疑問しかない。

話を戻すが、『ハウルの動く城』は歴代のジブリ作品の中で興行収入第2位。結果的には大ヒットを記録した。第62回ベネチア国際映画祭では栄誉金獅子賞を受賞している。

同時に次回作の『崖の上のポニョ』は、CGを多用したハウルとは対照的に鉛筆画にこだわり、また主人公も5歳の少年と、ハウルの真逆をいくような作品になっている。宮崎監督の中でも、ひと言では表現できない後味を残したのが『ハウルの動く城』ではないかと思う。

・「金曜ロードショー」2週連続放送
余談だが、前作『千と千尋の神隠し』はプロモーション戦略が的中し、宮崎監督が「ヒットしたのは宣伝のせいか」と気にしたことから、ハウルは「宣伝をしない宣伝方針」で徹底した情報統制をしたのも有名なエピソード。

ファンの想像力でどんどん期待値が高まり、多くの人が映画館に足を運ぶこととなった。映画館で見た人も、そうでない人も、今一度まっさらな感性でテレビ放送を楽しもう。

それでは改めて、最後に確認! 日本テレビ「金曜ロードショー」にて4月2日『ハウルの動く城』、そして来週の4月9日には『ゲド戦記』と2週連続でスタジオジブリ作品をノーカット放送!!

本稿は宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサーの過去のインタビューや著作から構成している。『続・風の帰る場所』『折り返し点』『仕事道楽』などの書籍に詳しい。ご興味があればそちらもぜひ。

参考リンク:金曜ロードショー
イラスト・執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.

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