仕事力アップ! ビジネスメールのいろは 第35回 あおるだけでは開封されない! ビジネスメールの「NG件名」3選


新型コロナウイルスの影響もあってか、メールの送受信数は増加傾向。それは、一般社団法人日本ビジネスメール協会が、2020年6月に発表した「ビジネスメール実態調査2020」の結果にも表れています。中でも1日の受信数の平均は、2019年の調査時に38.07だったものが、2020年では50.12と、3割以上も増加しています。

「仕事が山積みだ。優先順位を付けてこなしていこう」。目の前の仕事がたまっていたら、そう考える方も多いはず。仕事をふるいにかけて、いまやること、後回しにすることを分け、時には、やらないという選択さえすることも。

ビジネスメールも同じで、送ったメールが全て読まれるとは限りません。未読メールがたまってしまったら、優先順位を付けて「開封する」「開封しない」の仕分けをされる可能性があります。

せっかくメールを送っても、開封されなければ意味がありません。たくさんのメールの中でも見落とされることなく、優先順位を下げられることなく開封されるにはどうすべきか。そのカギを握るのは、メールの「件名」です。

私も日々100通を超えるメールを受信します。ところが、適切な件名に出会うのはごくわずか。大半のメールが不十分な件名で届きます。ここからは、ビジネスメールでありがちな三つのNG例を紹介します。それをもとに、ビジネスメールの「件名」が持つ本来の役割を考えてみましょう。
○NG件名(1)

【重要】販促会議の件

【重要】【至急】【緊急】など、メールを開封してほしいばかりに、こうした表現を多用するのは禁物です。物事に対する受け取り方は人それぞれ。自身が緊急と位置づけて送ったメールでも、相手が同じく緊急と捉えるとは限りません。自身の一方的な都合や価値観を押し付けていると受け取られる可能性すらあります。

そもそも、メールは緊急度の高い用件を伝えるには不向きなツール。緊急の用件であれば、メールだけで済ませずに電話をする、直接声を掛けるなどすべきです。
○NG件名(2)

〇〇様 お世話になります。契約更新について

自分事と認識してもらうために相手の名前を入れる、丁寧な印象を与えられると考え挨拶をする、こういった件名を目にすることもあります。件名はメールの用件を伝える欄です。相手に呼びかるところ、挨拶をするところではありません。

「井上です」のように名乗りを件名にするケースも見受けられますが、もちろん名乗るための欄でもありません。宛名、挨拶、名乗りはメール本文で丁寧に伝えましょう。
○NG件名(3)

★★★追加募集情報★★★

とにかく目立たせようと「★」や「!」を並べる。このような件名は、どうしても相手に軽い印象を抱かせます。ビジネスのやり取りとしてふさわしくありません。状況に適しているか、相手に悪い印象を与えないかを十分に考えましょう。

三つの件名とも、受信トレイをパッと見たときに目を引きます。しかし、見た目のインパクトが開封する動機にはなりません。これらのNG例には、開封につながらない致命的な弱点があります。それは具体性の欠如です。
○開封しなくても内容が分かるように

ビジネスメールの「件名」が持つ本来の役割。それは、受信者が以下の二つを同時に実現できることです。

・メールが送られた目的を瞬時に理解できる
・次に取るべき行動が具体的にイメージできる

件名は、開封しなくても内容が分かるくらい具体的に書くのが理想。見た目のインパクトなどなくても、具体的なキーワードの存在が、自身に向けられたメッセージであることを認識させます。誤解なく伝わるよう、日付や回数などを盛り込むこともポイントです。

それに加え、受信者にどうしてほしいのかを明確に伝えましょう。「相談」と書いてあれば、相手もそのつもりで読みます。「お知らせ」と書いてあれば、後で落ち着いたら読もうと考えるかもしれません。メールが送られた目的、次に取るべき行動が明確になれば、「重要だ」「急ぐ用件だ」というのは、受信者自身が判断できるのです。

多くの人が無意識に使用している、抽象度の高い件名。それが次の二つです。

~~の件

~~について

この二つに心当たりがあるならば、いますぐに件名の書き方を見直すべき。抽象度の高さに比例して、開封されないリスクは高まります。

三つのNG件名も、具体化させることで以下のように改善できます。
○OK件名(1)

4/15(木)販促会議 開催時間変更のご相談

○OK件名(2)

ウォーターサーバー レンタル契約更新のご案内

○OK件名(3)

第2回マーケティング勉強会 参加者追加募集のお知らせ

○あおる件名には削除のリスクも

NG件名の問題は他にも。具体性に乏しく、ただ目を引くだけの件名は、広告メールや迷惑メールと勘違いされてしまう恐れもあります。人は、怪しいメールは開封すべきではないと学習します。自身が送ったメールが、相手に一瞬でも「開封してはならない」と思われたら命取り。不要なメールと判断されたり、開封されないまま削除されたりといったことにもつながりかねません。

開封を促すことと、開封をあおることは違います。あおるだけの件名は、開封につながらないだけではなく、不信感や不快感を生む原因になることも。忙しい相手のことを思えばこそ、ひと目で目的や用件が分かるよう具体的な件名を書きましょう。

井上賢治 一般社団法人日本ビジネスメール協会認定講師。 1974年生まれ。宮城県出身。大学卒業後、大手製紙メーカーグループの印刷会社に勤務。入社3年目で営業成績1位を獲得。翌年にはその経験を生かし、印刷の新会社立ち上げに参画。新規開拓において数多くの実績を残し、出版物の制作や大手企業のセールスプロモーションを手がける。その後、移籍した会社では東京支社長、営業本部長を歴任。30名の部下を統括するかたわら、ウェブサイトを活用した印刷サービスの運営を行う。テレアポや飛び込み訪問による営業スタイルを確立していたが、さらなる受注拡大の実現、そして組織全体の営業力強化、人材育成など、幅広い業務を担うなかでビジネスメールの有用性を実感。1通のメールがコミュニケーションを円滑にし、業績向上にも結びつくとの想いから、認定講師としての活動を開始。営業経験、管理職経験を生かした実践的なビジネスメールの指導を得意とする。 この著者の記事一覧はこちら

日本ビジネスメール協会 日本で唯一のビジネスメール教育専門の団体。ビジネスメールに特化した講演・研修などの事業を10年以上前から行っており、メールに関する書籍を中心に32冊出版(内3冊は翻訳され台湾で出版)。メディアには1,500回以上登場し、ビジネスメールについて情報発信している。仕事におけるメールの利用状況と実態を調査した「ビジネスメール実態調査」を2007年から毎年行い、日本で唯一のビジネスメールに関する継続した調査として各メディアで紹介されている。ビジネスメールやビジネス文章、ビジネスマナーなどの集合研修(講師派遣)や講演(公開講座)を会場とオンラインで実施中。 日本ビジネスメール協会サイト この著者の記事一覧はこちら

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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