パチンコ屋が最もいらない“客”とは。パチプロの存在をどう考える?

日刊SPA!

◆パチンコ屋にとって客とは一体なんなのか?

「客」という言葉を広辞苑で調べると、「商売で料金を払う側の人」と記されている。一般的にはその意味でなんの疑問もない。しかし、ことパチンコ業界においてはどうだろうか。

金を払い、玉やメダルを借りて遊戯する。ここまでは広辞苑に書かれた「客」であることはわかる。だが、場合によっては大当たりして大量の出玉を得ることができるのもパチンコである。そして、その客は景品に交換して、店側に払った金以上の対価を持って帰ることもできる。まぁ、大半の人は買ったり負けたり、いや、むしろ負けることの方が多いわけで、往々にしてパチンコ客も「客」であることに間違いはない。

一般客と違い、パチンコで金を稼ぐパチプロと呼ばれる人々がいる。負け続けている人はプロとは呼べないわけで、パチンコ店からすれば彼らは果たして「客」なのだろうか。

最近では、パチンコ屋の特定日を狙い、パチンコ台を特殊な打ち方で金をむしり取っていくパチプロもおり、業界が縮小し続ける現在も存在する。個人で動いているプロもいれば、SNSで人を集めて集団打ちする、いわゆる“軍団”を取り仕切っているプロも多い。彼らは決して「商売で料金を払う側の人」ではない。むしろ逆……、いや逆とも言えない、立場が不透明な存在だ。果たしてそんな彼らはパチンコ屋にとって「客」と言えるのだろうか……。

こうしたパチンコ界が抱える疑問や問題点や現状について、業界の重鎮である大崎一万発、ヒロシ・ヤングが鋭く斬り込んだ『パチンコ崩壊論』から引用しつつ、パチンコにおける「客」という存在について、改めて考えてみたい。

◆パチンコ屋と客ではお互いの求めるモノが違う

ヤング氏はパチンコは客に対して何を提供しているかについて、こう言及する。

「パチンコにおける客を突き詰めると、『パチンコ屋とは何を売る商売なのか?』となる。その点で、店と客の間に大きな乖離があると思うんだよ。パチンコ屋の売り物って……『遊技の楽しさ』だったり『ドキドキやワクワクの体験』。すなわち、店で過ごす時間を売ってる。だから『時間消費型レジャー』なのであって、台に座ったら代金を置いていくべき、これが『正しい客=消費者』としての在り方なんだよね」

この意見に対して、大崎氏は間髪入れず鋭く突っ込みを入れる。

「ワハハ、ウリは出玉じゃないんかーい(笑)。散々出ます出します勝たせますってあおっておいて、ドキドキの時間を過ごしたからハイお代を頂戴しますでは納得できないよな」

そう、パチンコにおける客と店とでは、それぞれに“売っているモノ”に対してまるで異なる考えを持っているのだ。パチンコ屋はそもそも何を売っているのか……。当たり前だが、パチンコを打つ者は「売っているものを買っている感覚」はないのである。

◆パチプロは「客」なのか?

ヤング氏は「パチンコ客は店内で過ごす時間を買っている」と分析する。いわばパチンコが時間消費型レジャーと言われる由縁である。それにより、巨大産業のビジネスモデルが成り立っていることとなる。では、一方的に赤字を与える“パチプロ”の存在はどう考えているのだろうか。ヤング氏は必要悪的存在としてパチプロがいることを、こんな言い回しで語る。

「今はなんでもいいから稼働がほしいってパチンコ屋も珍しくない。だからたとえ金を落とさない客でも、いないよりはマシって考え方の店長も結構いるよ。枯れ木も山の賑わいの「枯れ木」扱いで」

大崎氏はパチプロが来ることで、一般客も注目するため、もはや彼らが店に与える損失は広告宣伝費だという。

「店にしてみたら、たとえプロだとわかっていても、サクラ的にうまく使いたいって意識もあるよね。特定日だったり、特定機種だったり、そこに集まる軍団を広告塔として使うことで、本来はありがたくない客ではあるけど、広告宣伝費として見ればアリかなって感じで」

◆パチンコが好きじゃないパチンコ客

両氏によると、一般客にとって迷惑でしかない軍団も、賑わいを作り出すために利用している店もあるようだ。ただひとつ疑問に思ってしまうのは、「軍団を牛耳っているリーダーや、ひとりで立ち回るパチプロは、パチンコのことを好きなのか?」ということだ。

軍団の打ち子に関してはパチンコ好きの可能性もあるが、例えば抽選クジを引くだけに集められた”引き子”は、間違いなく金目当てでしかない。パチプロや軍団の親や雇われた打ち子・引き子は、パチンコが好きなのではなく、楽な金稼ぎが好きなだけではないだろうか。この点について、2人の会話を抜粋しよう。

大崎 楽しく打ってお金を儲けたいという思想と、儲かるなら特にパチンコである必要はないという思想には決定的な違いがある。だからプロたちがパチンコ好きでやってる分には文句ないけど、好きでもないのに金だけ持っていかれるのはどうかな、とか思っちゃうんだよね。

ヤング 上手い下手の二極化のみならず、好きか金か? の二極化も進行してる。さらには、好きでもないのに金だけ持っていく打ち手を「客」と呼ぶのはどうなの?って話だろ、これ。

大崎 うん。ハッキリ言うけど、心情的には「客」と呼びたくはないよね。

店側が利用している側面を考えると、パチプロも客といえば客である。しかし、パチンコ業界を愛する両氏は「客と呼びたくない客」と語った。この本をパチプロはどんな気持ちで読むのだろうか。

<取材・文/セールス森田>

―[パチンコ崩壊論]―

【セールス森田】

平成生まれのパチンコライター。CS放送のパチンコ番組などに出演する際は、信頼度のパーセンテージを他の事柄に例えるネタを披露している。現在はweb媒体を中心に活動中

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