コウテイ九条が丸刈りで挑んだ初演技、齊藤工「キャラを乗り越えるエネルギーがある」<映画『ゾッキ』対談インタビュー>

 

竹中直人さん×山田孝之さん×齊藤工さんが監督を務め、孤高の天才漫画家・大橋裕之さんの幻の原作を実写映画化した映画『ゾッキ』が、4月2日(金)より公開します!

『ゾッキ』とは、“寄せ集め”という古本市場で使われる特殊用語だそうですが、本作では寄せ集められた小さな話の数々が、やがてまさかの感動フィナーレに突進していくというステキな作品になっています。

その公開を記念して齊藤工監督と、高校生の伴くんを演じた九条ジョーさん(コウテイ)のツーショットインタビューをお届けします。

 

 

ーー複数の物語があるなかで、“伴くん”のエピソードが一番面白かったです!

九条ジョー:いやうれしい! めっちゃ言われますよ!

齊藤工:それぞれに言われているかもしれない(笑)。

九条ジョー:そうか! 調子に乗っちゃいそう。あぶな!

齊藤工:地獄見るんですよ(笑)。

九条ジョー:学びました(笑)。

 

ーー嘘じゃないですよ(笑)。撮影中は、どういう演出だったのですか?

九条ジョー:それが何も言われないんですよね。僕はほしいのに(笑)。好きにやってくれたらええから、みたいな。「カット、OK!」で、すぐ次に行くので、これでいいのか、答えがわからない感じでした。山田孝之さんも現場にいらしたので、喫煙所で相談をしたんですけど、「やりたいようにやったらいいですよ」と。これ、誰も教えてくれへんと(笑)。すっごい怖かったですけど、牧田役の森優作さんの佇まい、優しさを横で見ていて、ちょっとずつ誘発されて、どんどん僕自身を伴にしてもらえた感じはあります。

 

ーー芸人さんの中にはズバ抜けて演技が上手い方が多くいて、たとえば千鳥の大悟さん、とろサーモンの村田秀亮さん、井下好井の好井まさおさん、もちろん九条さんも。挙げたらキリがないですが、このことについてはどう思いますか?

齊藤工:上手い下手の基準は置いておいて、その答えを僕もつねづね探していて、そのことに言及したいと思っていた時期がありました。以前『演芸パレード』という番組で伊東四朗さん、今田耕司さんとMCとして番組に出させてもらっていた時に関わらせてほしいと申し出て、バイきんぐさん、ニッチェさんとコントを作ったんです。その番組だけじゃなく、劇場にも出ました。おっしゃるように、僕も探りたかったんです。

九条ジョー:すごいこと言ってますよ。有料じゃないと聞けないですよ!

齊藤工:で、僕なりの解釈ですけど、小さい劇場に出た時にお笑い芸人さんは笑い待ちするというか、状況によって間を変えるわけです。練習どおりにやっているだけではダメで、お客さんのリアクションで変えながら作っていく。瞬間、瞬間のジャッジが重要だなってことに気づいたんです。そのジャッジによる優先順位で、自分を捨てられるかどうかも重要で、芸人さんは捨てられるんですよね。俳優の場合、ある程度想定して動いていて、そういう動きはしないんです。でも、芸人さんは身を捨てるじゃないけれど、自分がどうありたい、ありたくないを超えて、身を粉にする選択も取る。この違いなのではないかと、なんとなく思いました。

 

九条ジョー:だからこそ齊藤さんは、芸人さんにリスペクトを持たれているなとこちらも感じるんですよね。自分を捨てるという意味だと、番組や劇場が面白くなれば自分を切り捨てることができる先輩をたくさん僕は見てきたので、自分も同じような動きをしたいんです。それって芸人ならではの動きなので齊藤さんには稀有に見えるのかもしれないですし、それを体現するために自分で劇場に出るとかアタマがおかしい方なので(笑)。覆面でR-1(グランプリ)出るとか、別にしなくていいことなんですよ(笑)。

齊藤工:1回戦で落ちましたけど(笑)。

九条ジョー:その探究心で僕らのことをわかっているなと思うんですよ。

齊藤工:絶対に誰でも受かると言われ続けた1回戦で落ちました。

九条ジョー:覆面やからですよ! かぶってるとむずいですよ(笑)。かきわけたら根は工さんも芸人さんだと思います。僕も今、ボイスメモ録っておけばよかった。すごいわ! うれしい!

 

ーー坊主役の時にカツラでしのぐ方も少なくないなか、九条さんは丸刈りですからね。ある意味自分を捨てる例のひとつで。

齊藤工:そうなんですよ。

九条ジョー:平気で捨てられます。

齊藤工:衣装合わせの日に断髪式をしたんです。

九条ジョー:直接刈っていただきました! 真ん中からいかれたんで、すごかったです(笑)。野球部やったのに坊主にはしたことなくて、初めての坊主が『ゾッキ』。鏡見たら「伴、おるやん!」ってすごくしっくりきましたし、だから僕、選ばれているんやって思いました。

 

齊藤工:しかも九条さんの、今に比べて芸人としての噴火前の感じって、この作品にとってはめちゃくちゃラッキーだった思っています。

 

九条ジョー:(コウテイが)なんでもない時に声をかけていただいたんですよね。転んだら怖いですよ、普通。映画に知らん芸人連れてきて、三人も監督がいて。意味わからん、大阪の誰やねん?となるでしょう(笑)。それがほんまにかっこよかった。

齊藤工:もちろんその時からコウテイのファンの方はたくさんいましたよ(笑)。でも、おふたり(竹中・山田)も「伴くんぽいね」って肯定的でした。その後、いろいろなバラエティに出させてもらった時、芸人さんたちに「九条とやったんですよね?」と。それこそ第7世代の芸人さんたちが僕に「わかってますね!」という感じで言ってきた。芸人さんの中でコウテイさんは圧倒的なんだなって思いました。

九条ジョー:うれしいです!

齊藤工:ほかの芸人さんを通じて知るコウテイ、九条ジョーみたいな存在は、改めてすごいなって感じているところです。

九条ジョー:齊藤さんも服見てもらえればわかりますけど、結束バンドを服につけてきて、日本にあんまりいないですよ(笑)。バラエティなどに出ている時もスタンスが芸人っぽいっていうか、俳優の顔の奥に“斎藤工”という確たるものがある方だなというのは思います。本当に素敵な方と仕事が出来たなと思っています。

 

ーーところで、おふたりの趣味についても教えてもらってよいですか?

九条ジョー:気になる! 齊藤さんの趣味!

齊藤工:コロナ禍で細菌や微生物の研究をしてですね……。

九条ジョー:なんやそれ!

齊藤工:調べると、体の9割が菌であることがわかったんです。除菌、除菌と言うけれど、そもそも人間は菌でできているわけです。なので9割の菌を良くするために、食生活が関係する。発酵食品はその最たるもので、体内の菌や微生物が活性化するそうです。だから納豆や味噌など昔の日本の食事は、もうたどり着いていた。韓国でいうとキムチですね。

九条ジョー:すごい(笑)。

齊藤工:だからあくまで個人の見解ですけど、そういう食生活圏の感染率が低い理由も、なんとなく見えてきた感じはするんですよね。

 

ーー奥が深い……。九条さんは何かハマっているのものは?

九条ジョー:僕は釣りが好きで、大阪に住んでいて海が近いので、大阪湾に行ってよく釣りをしています。いろいろな季節の魚が釣れるんです。この季節だとタチウオを釣って家でさばいて食べています。楽しいですよ。

 

ーー新たにやってみたいことは?

九条ジョー:服も好きなので、自分のアパレルブランドのプロデュースをしたいなと思っています!

 

ーー最後になりますが、今回の『ゾッキ』、森さんと九条さんのコンビネーションは最高だったと思います!

齊藤工:実はキャスティングは難航していたんですよ。ゾッキA・BのAの1話目だから、注目度も高いじゃないですか。しかも僕は、肝心の伴くんと牧田の、牧田は原作者の大橋先生そのものだと思っていて、ふたりの関係は重要なんです。いろいろな案があるなか、見つからないまま、たまたま番宣で『ネタパレ』という番組に出た時にコウテイさんが出られていて、もう抜群でした。めちゃくちゃ面白かった。空間を完全に支配していたんです。これは劇場を支配する力とイコールで、特に今回の伴くんは圧倒的なキャラクターなので、それを乗り超えるエネルギーが九条さんにはありました。

 

九条ジョー:いやもう、本気で取り組みましたよ。ただ、なじめないものではなく、伴くんは僕の中にある人間性のキャラクターだったので、それはすごく選ばれている理由が腑に落ちたんですね。原作を読んだ時に、伴に対してなんとなく自分ぽいところがあるなと。それがあったのでうれしかったし、楽しみながら挑めたなあという感じはあります。(取材・文:takashi.tokita_tokyo、写真:iwa)

 

 

映画『ゾッキ』は2021年4月2日(金)より全国公開(3月26日より愛知県先行公開)。

キャスト:吉岡里帆、鈴木福、森優作、九条ジョー(コウテイ)、竹原ピストル/ 松田龍平 ほか
監督:竹中直人、山田孝之、齊藤工
公式サイト:zokki.jp
(C)2021「ゾッキ」製作委員会

WRITER

  • takashi.tokita_tokyo
  •        

  • 「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。映画とディズニー(主にパーク関連)をメインによく取材しているが、パリとクルーズが未体験なことはナイショです。また、ディズニー好きが集まって、あることないことを語り尽くす無害なポッドキャスト「田組fm」が、SpotifyやApple Podcastなどで配信中。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ