元TBS女子アナ・伊東楓。絵本作家への転身に安住紳一郎がかけた言葉

日刊SPA!

 バラエティ番組『中居くん決めて!』やラジオ番組『伊集院光とらじおと』などで存在感を放っていたTBSアナウンサーの伊東楓が2月いっぱいでTBSを退社し、絵本作家への転身を発表。3月19日には処女作となる絵詩集『唯一の月』(光文社)を発売し、今後は作家活動の一環としてドイツへの留学も決めているという。

世間的には華やかな女子アナの世界から一転、絵本作家になる道を選んだことに衝撃を受けた人も多いはず――。そこで彼女本人にTBSを退社した理由、絵本作家になろうと決めたきっかけ、発売されたばかりの絵詩集『唯一の月』に込めた思いを直撃した。

◆「できるだけ明るく」金髪ショートになって表情が一変

――フリーに転身されて数週間経ちましたが今の心境や実感は?

伊東楓(以下、伊東):私としては何か変わったという実感はないです。1年前に会社を辞めると決めて次の道へ行くと準備を進めていたので、辞めた瞬間に何か大きく変わったことはないです。ただ、髪色もそうですけど(笑)、周りの方に「表情が変わったね」と言われるようにはなりましたね。

――髪色がネットニュースなどで注目されていましたが、どうして金髪に?

伊東:昔からいつか金髪ショートにしたいとは思っていたんですよ。だけど、なかなかチャンスがなくて……。学生時代はミスコン(『ミス立教』)に出場したり、すぐに就活が始まって女子アナになってしまったので。フリーになって何をするのも自分次第という環境になったので、すぐに染めましたね。

――“金髪ショート”は誰か憧れの存在がいたりとか。

伊東:特にはいなくて。美容師さんには「できるだけ明るく!」とお願いしました(笑)。

◆絵に目覚めたのは中居正広の番組がきっかけ

――絵を描き始めたきっかけは?

伊東:小学校のころから絵を書くのは好きで、給食の牛乳パックに絵を載せてもらえるコンクールに応募していたんです。でもいつも優秀賞止まりですっごく悔しくて。高校時代もクラスTシャツのデザインをしたりしていました。それから絵を書くこととは遠ざかっていたんですけど、『中居くん決めて!』という番組で、ホワイトボードに即興でゲストの似顔絵を書く仕事を任されるようになったんです。

その役割をいただいてからかなり画力が必要だと思い、練習のために人物や動物のデッサンを始めたんです。そしたら、今度は色鉛筆画での模写にハマっていって。でも模写を極めていくうちに「写真と何が違うんだろう」と思うようになって、絵の中に自分を出したいと思って(絵詩集にある)最終的に水彩画にたどり着いたんです。自分の世界観を出せるのはコレだ、と。

――学生時代に似顔絵師の資格を取っていたんですよね?

伊東:母親に「絵が好きなら取っちゃば?」と勧められて、遊びの気持ちで取得していたんです。そのおかげで『中居君~』で似顔絵を任されて今に至るので、結果的に母親には感謝ですよね。

◆西尾由佳理に憧れて女子アナの世界へ

――話はいったんさかのぼりますが、アナウンサーになろうと思ったきっかけは?

伊東:小学校のころから「アナウンサーって素敵だな、カッコイイな」と思っていました。立教大学に進学を決めたのも、高校時代の担任の先生に「アナウンサーになるなら立教大学がいいよ」と言われてなので。

――憧れのアナウンサーはいたんですか?

伊東:元・日本テレビの西尾由佳理さんです。『ズームイン!!SUPER』を毎朝見ていて、爽やかで知的でキレイでカッコイイところに憧れて。こんな素敵な女性いるんだぁ~って!

――それからはアナウンサー目指して一直線、という感じだった。

伊東:いやいや。ミスコンに出させてもらったんですけど、表舞台に出ることが向いていないな、誰かと比較されるのってイヤだなって思ってしまって……。そのときに裏方さんの活動のほうに惹かれて一度は「広告代理店に行きたいな」と目標を変えたんですよ。

――そうなんですね。それでもアナウンサー試験を受験されたのは?

伊東:友人に「絶対アナウンサーは向いてるよ」と言われたからです。周りからは意志の強い女性に見られがちなんですけど、意外と人の意見も取り入れるタイプなんですよ(笑)。小学校から憧れていたのに、受験もしないで可能性を全否定するのは違うなと思い、受けてみようと決めました。

◆伊集院光からもらった“救いの言葉”

――印象に残っている番組はありますか。

伊東:やっぱり『中居君決めて!』ですかね。似顔絵もそうですけど、台本に書いていない発言がオンエアされたり、自分のはみ出した部分を出せたので。そこを中居さんが面白がってちゃんと振ってくれたのも本当にありがたかったです。

――伊集院光さんとのラジオ番組『伊集院光とらじおと』のアシスタントも大きかったのでは?

伊東:間違いないですね。伊集院さんはお会いしたときから私の型にはまっていないところを面白がってくれていて。でも、初回の本番中、イイ子にしていたら、「もっと迂闊な発言をしてほしい」とおっしゃってくれて。“していい”ではなくて“してほしい”という言葉に「自分が求められているんだ」とすごく勇気をもらえました。伊集院さんは絵詩集でもまえがきを書いてもらいましたけど、私にとって恩師です。

――ラジオで共演していた柴田理恵は同郷(富山)ですが、接点はあったんですか?

伊東:柴田さんは、私が富山出身と知って「あんた、どこの出身け?」と言いながらグッと距離を縮めてくれましたね(笑)。帰省したときにおススメの富山のおいしい店を教えてくれたり、退社して絵本作家になることもすごく応援してくれていて。すっかり“東京のお母さん”です(笑)。

――アナウンサーという仕事で得た収穫があるとすれば?

伊東:“人との出会い”です。アナウンサーになって良かったことは伊集院さんや坂上忍さん、中居さんといった本当に優しい人たちに出会えたことですね。どうやったら恩返しできるだろうと考えると泣きそうになるくらい、心から感謝しています。

◆「女子アナに向いていない……」安住アナがくれた金言

――TBSのアナウンサーの同僚や局員の方からは退社について何か言われましたか?

伊東:寂しかってくれる人も多かったですし、「お前は面白い人間だったな」って笑顔で送り出してくれる人ばかりで、TBSの社員でよかったなとは思いました。

――特に印象的な言葉をかけてくれた人は。

伊東:先輩アナウンサーの安住紳一郎さんは1年目からすごく友好的に接していただきました。きっかけは新人時代に「アナウンサーに向いていなくて苦しいです」と相談したときに「向いていないと悩むってことは、アナウンサーという職種と“真剣に向き合いたい”と思っている証拠だから」と言ってくださって。その言葉のおかげで、皆さんから見ると短いかもしれないですけど5年間アナウンサーをやり遂げられました。

◆女子アナを辞めたワケ

――退社を決意した経緯を改めて教えていただけますか。

伊東:辞めたいと思ったのは、ニュース原稿や台本を読む代弁者ではなく、自分で思ったことを自分なりに発信していくほうが向いていると思ったからです。その中で自分を知ってもらう一番の手段が絵を描くことだなと思って。アナウンサーじゃない本当の私を知ってもらうのはそれしかないと。

――女子アナといえば、一般的には華やかな世界と思うのですが。

伊東:一見すれば華やかな世界ですけど、皆さんと同じようにいろんな葛藤があったし、自分を探していたんです。

――このたび発売された絵詩集『唯一の月』には詩も添えられていますが、最初からこのスタイルでいくつもりだったんですか?

伊東:退社前からインスタグラムで絵は投稿していたんです。最初は絵だけだったんですが、詩も付けてみたくなって。そしたら周りからの反応も良くて、それが私のスタイルになっていった感じですね。

――絵と詩はどちらが先にインスピレーションされるんでしょうか?

伊東:詩が先です。詩のメッセージが間違った方向に捉えられないように絵を描いていく流れです。

――特に思い入れのある作品は。

伊東:全部です。見ている人に作品の魅力を委ねたいと思っています。個展(3月28日終了)でも「この絵は誰を描いているの?」「どういう心情の絵ですか?」とか聞かれるんですが、皆さんに自由に解釈してほしいので、解説はしないようにしています。

――個展の反響は?

伊東:想像以上に反響があって驚きました。34点の原画を飾ったのですが、すべて売れてしまって自分でもびっくりです。

◆留学先にドイツを選んだ理由

――これからドイツに留学をされるそうですが、ドイツを選んだ理由は?

伊東:単純に行ったことがなかったからです。絵の勉強をしたいというよりは視野や見識を広げたいという思いですね。最初は大学に留学して、そのあとはベルリンで一人暮らしをしようと思っています。コロナ禍なので出発時期も未定ですが、どれくらい滞在するかも決めていないです。

――ドイツでも絵は描き続けていく。

伊東:もちろんです。絵を描くことは苦ではないので一生描き続けていくと思います。

◆伊集院光、坂上忍から……

――絵本作家になるにあたってかけてもらった言葉で印象的なのは?

伊東:伊集院さんは「いいね! 人生、生きてさえいれば何とかなるから大丈夫だよ」と、手放しで喜んでくださいました。坂上さんは「俺ができなかったことをやろうとしているのがスゴいよ。困ったらいつでも助けてあげるよ」と言ってくださいましたね。

――ドイツ留学が終わってからは日本に戻ってくるんですか?

伊東:それもまだ白紙です(笑)。この先、どうなるか分からないというのが本音かな。

――今後の目標、やっていきたいことは?

伊東:この先、自分自身がどこにどう向かうか全く分かっていないですし、今は“私らしくいること”が目標ですね。おばあちゃんになっても「楽しそうに生きているね」って言われたいです。

【伊東楓】

’93年生まれ、富山県出身。TBSにアナウンサーとして入社。ニュース、バラエティ番組やラジオ番組などを担当。’21年2月いっぱいでTBSを退社。処女作となる絵詩集『唯一の月』(光文社)が絶賛発売中

取材・文/瀬戸大希 撮影:竹内洋平

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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