綾瀬はるか、女優デビューから20年 大河ドラマ後は「女優業を辞めると思っていた」

クランクイン!

 大ヒットドラマを映画化した劇場版『奥様は、取り扱い注意』(公開中)で、綾瀬はるかがキレキレのアクションを披露している。周囲を一瞬で癒やしてしまう柔らかな笑顔の持ち主である一方、アクション演技にも定評があり、そのギャップも魅力的な彼女。20年に及ぶキャリアを着実に積み上げ、シリアスからコメディーまで演じられる女優として絶大な人気を集めている。「“演じるということは、苦しいものだな”と感じることも多かった。大河ドラマを務め上げたら、辞めるのかなと思っていた」と告白する彼女が、葛藤しながらも立ち上がるワケ。朗らかさの裏に潜む、ストイックな女優魂を語った。

■屈強な大男とのバトルは「すばしっこさがポイント」

元特殊工作員という過去を持つ専業主婦の菜美(綾瀬)が、次々とトラブルを解決していくドラマを映画化した本作。公安のエリートでありながら、そのことを隠して菜美と結婚する勇輝を西島秀俊が演じている。

劇場版の舞台は、勇輝が菜美に拳銃を突きつける衝撃のシーンで幕を閉じたドラマ最終回から、半年後。記憶喪失になった菜美が、ロシアと結託した国家レベルの陰謀に巻き込まれていく。繊細な感情表現にも挑んだが、その中でも大きな見どころとなるのが、綾瀬本人によるアクションシーン。菜美と屈強なロシア諜報員とのガチンコバトルは、その迫力に目を奪われること必至だ。

綾瀬は「クランクインの3ヵ月くらい前から、お稽古をした」そうで、「ドラマ版で菜美が戦う敵は“街の悪者”といった感じだったのですが、今回は背も高くて、腕も太くて、殴られたら吹っ飛んで行ってしまうような感じの敵。強敵です」とにっこり。「お稽古をしていても“力が強すぎて、何もできない”と実感することもあって。力では勝てないので、すばしっこく動くことにポイントを置いて、寝技をかけたり、足をひっかけたりと、女性でも大男に勝てるような実践的なアクションを心がけていました」と語る。

「昔からおてんばで活発な子どもで、運動も大好き。若い頃から、“アクションをやってみたい”という思いも強かったです」ともともと体を動かすことは得意だったという。

NHK大河ファンタジー『精霊の守り人』で見せた、ハードなアクションも印象深い。綾瀬は「ブレずにアクションが決められたり、相手役の方とタイミングが合ったりすると、やっぱり気持ちいいですね!」と爽快感も味わいつつ、「『精霊の守り人』のときも思ったんですが、少しでもタイミングがずれると怪我をすることもあるし、怖いなと思うこともあります。やればやるほど、“こうすると危険だな”と感じることも増えるので、アクションは大変なものでもありますね。年齢を重ねるごとに、無邪気にできるものではないなと痛感しています」と苦労もつきもののようだ。

■理想の夫像は?「ありのままを受け入れてくれたらうれしい」

そういった意味でも、本シリーズでタッグを組む西島は「心強い相手」だという。綾瀬は西島を「お兄ちゃん」、西島は綾瀬を「はる坊」と呼び合う関係なのだとか。劇場版では、菜美と勇輝が共闘する場面もあり、彼らの絶妙なコンビネーションを堪能できる。息ぴったりの理由とは?

「(NHK大河ドラマの)『八重の桜』で兄妹役として、ご一緒させていただいたのが大きいですね。いろいろと相談に乗ってもらったりしながら、1年間を乗り切ってきたというのがあって。お兄ちゃんに対してはものすごく安心感があるし、なんでも言いやすいということもあって。アクションシーンは、“こうしたら危ない” “もっとこうしよう”と話し合いながら作っていきました。まるで部活動のような時間(笑)。お兄ちゃんもこれまでアクションをやられてきているので、そういった意味でも信頼関係があって、お互いを信じてやれば、自然と息が合うような感じがありました」と本作の“最強夫婦”は、2人の信頼関係の賜物(たまもの)だ。

お互いを思い、愛し合う菜美と勇輝。夫婦の絆で危機に立ち向かう彼らだが、綾瀬にとって、理想の夫像とはどんなものだろうか。

すると「優しい人がいいですね」とほほ笑み、「劇中には、勇輝が“ありのままの君でいい”と菜美に語りかけるセリフが出てくるんですが、お互いにありのままを受け入れ合えたら、ものすごくいいですよね。私、お仕事が忙しくなってきたりすると、帰ってきて椅子に座って、じっとして動かなくなってしまうときがあるんです(笑) それでも“いいよ、いいよ。座ってな。これはやっておくから”と言ってくれる人だと、すごくいいなと思います」と目尻を下げていた。

■大河ドラマ後は「女優業を辞めると思っていた」 和みオーラの裏にある忍耐力

今年、女優デビューから20周年を迎えた綾瀬。先日最終回を迎えたドラマ『天国と地獄』(TBS系)では、共演の高橋一生と見事な“入れ替わり演技”を披露するなど、八面六臂(ろっぴ)の活躍を見せている。これまでの道のりにおいて、転機と感じる作品は『八重の桜』だと話す。

緊張やプレッシャーと戦いながら演じることは「苦しかったり、大変だなと感じることも多かった」といい、「女優業について、“ずっとやっているものだ”とあまり思っていなかったんです。大河ドラマを務め上げたら、辞めるのかなと思っていました。そこがゴールなのかなって。だから今の状況は、予想外の展開です」と吐露。「でも大河ドラマの撮影が終わって、2週間後には新しい映画の撮影が始まって。“大河ドラマはゴールではなく、通過点だったんだ”と気付いたんです。まだまだ挑戦することも、自分が成長していかなくてはいけないことも、たくさんあるんだなと思いました」。さらに「私はいつも、“応えたい”という思いで、前に進んでいるところがあって。その思いも、絶えないんだなと感じました」と原動力を明かす。

苦しくとも立ち上がるのは、「演じた役柄を通して、自分自身も“優しく、誠実な人でありたい”と思うこともあるし、“感動しました”という声をいただくこともあって。そうやって人の心を動かすことのできる仕事は、とても尊いものだなと感じています。現場でスタッフ、キャストの方々と“同じ目標に向かっていく”という時間がとても好きで。一緒に頑張っている方々がいると、その思いに応えたい、応えなきゃと感じますし、できる限りのことを精一杯やりたいと思う」と、“誰かのために”という献身力と、ひとりではないという心強さを感じているからだ。

「“目標を設定すると、一直線に向かっていく”。そういった忍耐力はある方だと思います」と和みオーラの中に、ストイックな女優魂を持っている。掲げる目標は、「すべてのことを前向きに捉えられる人って、とても強い人なんだなと思います。私はまだそんなふうになれないので心の訓練が必要ですが、そういう人になれたらいいな。うちは、母と祖母がすごくポジティブで。私が悩んで電話しても、前向きなことばかり言ってくれるんです。すごいなと思います」と身近にお手本がいる様子。インタビュー当日も彼女のトークや振る舞いに、周囲は笑顔でいっぱい。仕事にも人にも全力で向き合うからこそ、綾瀬はるかは輝き続けている。(取材・文:成田おり枝 写真:ヨシダヤスシ)

当記事はクランクイン!の提供記事です。

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