志尊淳、山田裕貴、陳内将の芝居に圧倒される! Dステ12th『TRUMP』は絶望と悲劇にもがき苦しむ若手俳優が見られる最高の舞台です

 

こんにちは、こんばんは、おはようございます。

舞台観劇に人生を捧げているライターのSachi.です。

わたしにとって舞台は衣食住!

え?どういう意味かって?

つまり生きていく上で欠かせない必需品なのです。

しかも、最近はdTVなどの動画配信サービスやDVDなど、ご自宅でも気軽に舞台が見れちゃうんですよ!

この連載では、身近で視聴可能な舞台作品をおすすめしていきます!

一人の吸血種を軸に展開する悲劇と絶望のストーリー


「Dステ」がすごいです

 

連載第五回目にご紹介するのはDステ12th『TRUMP』。

Dステとは、ワタナベエンターテインメント所属の男性若手俳優で構成されたユニット「D-BOYS」のメンバーにより上演される舞台のことです。

Dステの第12回公演である今作は、脚本・演出家の末満健一さんがライフワークとして公演を行っている『TRUMPシリーズ』の同名作品をD-BOYSの弟分「D2」メンバーによって上演したもの。
(※現在D2はD-BOYSと合体)

今作は、西井幸人さん主演のTRUTHバージョンと三津谷亮さん主演REVERSEバージョンの二つのバージョンが存在。
対の立場となる配役を二人一組で交互に演じる「リバースキャスト」というシステムで上演しています。
今回は、陳内将さんの圧倒的な表現力が感じられるTRUTHバージョンをご紹介します。

 

 

あらすじ

物語の舞台は、「クラン」という名の教育機関。
そこには繭期(まゆき)という人間の思春期にあたる時期を迎え、精神的に不安定になっている吸血種・ヴァンプたちが収容されている。

 

収容された少年のうちの一人、ソフィはヴァンプと人間の混血の「ダンピール」。
純血のヴァンプを良しとする完全階級社会で、ソフィは周囲から忌み嫌われていた。
しかし、上級貴族の一つ・デリコ家のウルだけはなぜかソフィに親しく接している。
そしてある日ウルは、永遠の命をもち、全てのヴァンプの祖先といわれている「TRUMP」の存在に惹かれていることをソフィに明かすのだった。

一方、クランの問題児・アレンは、今日もクランを脱走して人間の里におりていた。
お目付け役のティーチャー・クラウスがしかりつけてもまるで意味はなし。
あげくの果てには「星を捕まえにいく」と訳の分からないことをいって、クランの屋根にのぼりだす始末。
クラウスは奔放なアレンに振り回されつつも、その自由で純粋な姿に次第に好感を抱いていくようになる。

たった一言ですべてがひっくり返される。

今作は『TRUMPシリーズ』の一作とご紹介しましたが、それはあくまでも世界観や登場人物に共通性があるというもの。
劇中に世界観の説明や、登場する用語の説明があり、物語も今作のみで完結するように出来ています。

今作はクランで起きたある出来事と、永遠の命をもつ全てのヴァンプの祖先といわれている「TRUMP」が物語の根幹。

ソフィとウル、そしてアレンとクラウスの話はクランで起きた全く無関係の出来事として物語は進行します。しかし、ソフィ自身も知らない自らの血縁の話、100年以上前に起きたクランの火災のことなどが徐々に明かされ、ソフィとウル、アレンとクラウスの関係性が明かされていきます……。
他にも一見無関係に思われる出来事や人間関係が実は伏線が張られており、徐々に一つに繋がっていく展開には快感すら覚えます。

そして、この物語をよりおもしろくしているのが「アレン」の存在。
アレンのお目付け役であるクラウスは劇中のほとんどの時間、アレンを探しているんです。周囲からは「逃げるならリードでもつないでおけばいい」などアレンが問題児とはいえ、人に対する扱いにしては少し違和感を感じるセリフが発せられます。
しかし物語の終盤、たった一言でその違和感がすべて解決するどころか、物語そのものがひっくり返されてしまうのです……。

ネタバレしてしまうので、多くは語れませんが、徹底的に作りこまれ、一切の隙を感じさせない完璧な脚本は本当に圧巻です……!

ティーチャー・クラウスという存在。

今作で目を引かれたのは、ティーチャー・クラウス役を演じる陳内将さん。
陳内さんはDステの他、MANKAI STAGE『A3!』シリーズなどの2.5次元舞台をはじめとした数多くの舞台作品に出演。
また今作以降の『TRUMPシリーズ』にも何度かティーチャー・クラウスとして出演しています。

ティーチャー・クラウスは、ふわっとしたやわらかい雰囲気の持ち主で、大きな丸眼鏡をかけ、髪はつねにボサボサといった姿をしています。
周囲に対して不注意なことが多く、よく物にぶつかっては派手にころんでいる……という愛されキャラになってもおかしくない存在。
しかし、彼にはごく一部にしか知られていない「重大な秘密」があったのです。

私はこの作品で初めて陳内さんを拝見したのですが、ティーチャー・クラウスという異質な存在への入り込み具合がすごかったんです。
穏やかなキャラクターからあるタイミングで一気に豹変(ひょうへん)し、圧倒的な狂気をにじませる姿に鳥肌が立ちました。

ティーチャー・クラウスのあまりにも強烈なインパクトのせいで、その後他作品で陳内さんを拝見した時に「陳内将さんって陳内将さんだよな……?」と訳の分からない疑問が出るほど。

見るものを惹きつける圧倒的な求心力と集中力、そして演技力で作りこまれている陳内さんの演技は必見です。

志尊淳、山田裕貴などの実力派俳優が多数出演……!

今作には、『列車戦隊トッキュウジャー』や『きみはペット』などに出演していた志尊淳さんや『HiGH&LOW』シリーズで一躍人気に火がついた山田裕貴さんも出演しています。

志尊淳:完全なる悪役、アンジェリコ。

志尊さんが演じたのは階級社会の頂点、フラ家の後継者・アンジェリコ。
自身の血筋に絶対的な自信をもち、常に上から目線で高圧的。クランの教師たちが父の部下であることから、教師たちですら自分よりも格下にみています。
また、デリコ家の後継者・ラファエロに異常なほどの執着心を抱いていました。

アンジェリコは志尊さんのかわいらしいキラキラとした笑顔と人をなごませるようなイメージとは真逆の役。
「ラファエロに屈辱(くつじょく)をあたえてやりたい」というだけのために「禁忌」を破って周囲の人々を傷つけ、ラファエロの弟であるウルを殺そうとします。
ドラマや映画でもなかなかみることがない、突き抜けた悪役を演じる志尊さんの貴重な姿は一見の価値ありです。

 

山田裕貴:純粋で自分の信じる道をひた進む男、アレン。

山田さんが演じたのは物語のキーパーソンの一人・アレン。
あらすじでも触れましたが、アレンは不思議な行動をとる問題児です。
しかし、アレンが人間の里へおりているのは、クランに退屈している以外にもある理由が存在します。

どこまでもピュアなアレンを演じる山田さんの透明感たるや……。
山田さんは、他作品で一癖も二癖もある役を演じている姿が目立ちますが、このアレンに限ってはまっすぐでどこまでも純粋なキャラクターを演じている姿を見ることができ、非常におすすめです。

実は地獄のほんの入口だったりする。

Dステ12th『TRUMP』は、ただの若手俳優舞台と思ってはいけません。
正確には「絶望と悲劇に塗れる若手俳優が見られる舞台」です。
そのため、若手俳優たちの苦しむ姿が見たい方にはおすすめ……という冗談はさておき、非常に濃厚で、残酷で美しいヴァンパイア・ファンタジーなので、そういったものが好きな方にはぜひ見ていただきたい……!

また、シリーズ作品の中でもギャグパートが多めなので比較的とっつきやすいのですが、その分、後半の取り返しのつかない悲惨な展開が引き立っているともいえます。

そして、今作は『TRUMPシリーズ』のほんの入口にしか過ぎません。
他のシリーズ作品では、今作と同じ世界線の過去の話や、遠い未来の話が描かれており、今作に関連するエピソードや人物も登場します。

それらを見た上で今作を再度視聴すると初見時はスルーしていたことや、役そのものに対しての感情、その役がおかれている環境の見方が大きく変わります。

たとえば、今作で完全な悪役だった「アンジェリコ」に関するある事実が他のシリーズ作品で判明するのですが、それを観ると今作のアンジェリコに抱く感情が大きく変わります。

このように『TRUMPシリーズ』は一度見た作品も他のシリーズ作品を視聴することにより、別の角度からまた違った「地獄」を味わうことができる貴重なシリーズです。
まずはDステ12th『TRUMP』でシリーズに一歩、足を踏みいれてみてはいかがでしょうか。

 

「Dステ12th『TRUMP』Blu-ray」はこちら!

 

トランプシリーズのサウンドトラックはこちら!

■キャスト(敬称略)

ソフィ・アンダーソン:西井幸人
ウル・デリコ:三津谷亮
ティーチャー・クラウス:陳内将
アレン・ストラウフ:山田裕貴

ラファエロ・デリコ:阿久津愼太郎
アンジェリコ・フラ:志尊淳

ティーチャー・グスタフ:山口賢貴
ティーチャー・ミケランジェロ:近江陽一郎
ガ・バンリ:土屋シオン
ピエトロ・ロンド:池岡亮介

ジョルジュ:荒井敦史
モロー:根岸拓哉/白又敦/大久保祥太郎

ダリ・デリコ:上鶴徹/前山剛久

WRITER

  • Sachi.
  •        

  • 舞台観劇に人生を捧げる平成一桁生まれのフリーライター。生息地は都内各所の劇場。博品館劇場と明治座は心の実家です。

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