「ジャパニーズウイスキーの定義」が4月1日から明確に。今ごろなぜ?

日刊SPA!

―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―

2021年2月16日、日本洋酒酒造組合は「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準の制定について」という発表を行いました。待ち望まれてきたジャパニーズウイスキーの表示に関する基準が、自主基準とは言え明確になったのはうれしいところです。今回は、この基準について紹介します。

◆けっこう雑だったこれまでの国産ウイスキーの定義

近年、ジャパニーズウイスキーが世界中で高い評価を受けるようになりました。日本で本格的なウイスキーが作られてから100年。ニッカやサントリーのウイスキーが各種コンテストで最優秀賞を獲得し、後を追うようにいくつものウイスキーの蒸留所が誕生しました。それに比例して、ジャパニーズウイスキーの価格も高騰しました。

これまで、日本では海外から輸入したウイスキーを混ぜても、国産として表記できました。食品であれば、もっとも多く使っている原料をわかるように書かなければならないのですが、ウイスキーであれば比率を隠すこともできます。

さらに、酒税法では海外のウイスキーどころか、醸造用アルコールやウォッカを混ぜてもよかったのです。例えば、ある日本の酒造メーカーが出している安価な価格帯のウイスキーには、原材料にモルト、グレーンそしてブレンド用アルコールと明記されています。

安価なお酒もありがたいのですが、国産の原材料にこだわり、世界トップクラスの品質を誇るジャパニーズウイスキーとは異なるものだということははっきりさせておかなければいけません。そうでなければ、海外の人が勘違いして飲み、ジャパニーズウイスキーのクオリティは低い、と勘違いされては先人達の努力が無駄になってしまいます。さらには、日本のウイスキーを使っていなかったり、日本の酒税法上ウイスキーとは呼べないお酒を、ジャパニーズウイスキーとして販売しているケースもありました。これは市場に混乱を招きます。

◆スコッチやバーボンにも基準がある

世界を見ても、スコッチウイスキーもバーボンウイスキーもワインも明確に基準が設けられており、基準を満たさなければスコッチやバーボンを名乗れないのです。

日本ワインは2015年に「果実酒等の製法品質表示基準」という国税庁告示第18号が交付され、2018年に施行されました。日本ワインと名乗るには、国産ブドウのみを原料として日本で醸造されなければならないのです。

◆ついに決まったジャパニーズウイスキーの定義

では、待ちに待ったウイスキーの新基準の内容ですが、まずジャパニーズウイスキーの原材料は麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ります。そして、麦芽は必ず使用しなければなりません。糖化、発酵、蒸留といった製造は日本国内の蒸留所で行う必要があります。蒸留した時のアルコール度数は95度未満とします。

貯蔵は700リットル以下の木樽に詰めて、3年以上日本国内において貯蔵しなければなりません。瓶詰めも日本国内で行い、その際のアルコール度数は40度以上必要です。その他として、色調の微調整のためのカラメルの使用は認める、とされています。

ジャパニーズウイスキーは、「ジャパニーズ」と「ウイスキー」を続けて書く必要があり、間に何か別の単語を入れることはできません。さらに、紛らわしい表示も禁止します。日本を想起させる人名や国旗、元号、都市名、山岳名などもNGです。

この基準は2021年4月1日から施行されます。いきなり言われてもメーカーは困るので、すでに販売していた商品は基準をクリアしていなくても、ジャパニーズウイスキーおよび準じる名称を表示していても、2024年3月31日まではOKとしています。

ちなみに、この4月1日は「ジャパニーズウイスキーの日」に制定されました。ウイスキー文化研究所が2月に発表したもので、日本初の本格国産ウイスキー「サントリー白札」が1929年4月1日に発売された日にちなんでいます。

筆者としては大賛成の内容ですが、ぐだぐだの状態からいきなり厳しい基準にしたな、と感じました。アルコール度数も税額が安い37度未満を含ませようとしなかったのは拍手喝采です。スコッチと同じ3年熟成も、暖かい日本ではちょっと厳しいのですが、クオリティは上がるのでウェルカムではあります。もちろん、この内容であれば、世界に胸を張ってジャパニーズウイスキーと言えるのでうれしいことには間違いありません。

◆ジャパニーズウイスキーの基準を満たしている商品は?

さて、気になるのが現在発売されている商品のうち、何がジャパニーズウイスキーなのか、ということでしょう。アサヒビールのウェブサイトでは、製品ごとに「日本洋酒酒造組合の定めるジャパニーズウイスキーの表示基準に合致した商品です」や「当商品には、一部輸入原酒を使用しています」と表示しており、流石です。「余市」「宮城峡」「竹鶴」「ニッカ カフェグレーン」などがジャパニーズウイスキーの基準をクリアしており、一安心です。ぜひ、ほかのメーカーもアサヒビールのようにわかりやすく明記して欲しいところです。

海外にまでジャパニーズウイスキーの定義が浸透するには何年もかかるかもしれません。それでもウイスキーラバーが待ちに待ったジャパニーズウイスキーの基準は大歓迎です。

国産ウイスキーの価格は値上がり傾向にありますが、応援がてら、次の家飲みの1本はジャパニーズウイスキーにしてみてはいかがでしょうか。<文/柳谷智宣>

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【柳谷智宣】

お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「Wi杯」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる

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