話題のSNS「クラブハウス」、アメリカでの意外に熱くない反応

女子SPA!

 1月末頃から突如として話題となり、連日連夜テレビやネットでその楽しみ方などが紹介されているアメリカ発の音声SNS「クラブハウス(Clubhouse)」、通称「クラハ」。

まだ誕生から1年弱の若いSNSですが、音声だけで気軽にみんなと繋がることができることから、世界中で大人気に。

その半面、アプリ規約に反して録音された音声のネット流出が多発し、閉じられたルーム(部屋)内で差別的な言葉が飛び交っているなど、批判的な意見も出始めています。

そんな賛否両論の新SNSは、アメリカではどのくらいの規模感で流行っているのか? どう思われているのか? 探ってみました。

◆アメリカ人でもまだ知らない人が

Clubhouseは、アメリカでもこれからが注目されている新興SNS。今回調べてみて、まだまだ一般には知られていないサービスであることが分かりました。

同アプリ運営会社のAlpha Explorationは、正確にどのくらいのユーザー数が存在しているのかは発表していないようですが、今年2月1日時点でアプリのダウンロード数は世界で約350万。『ザ・カンバセーション The Conversation』によると、実際のユーザー数は200万人ほどだったといいます。

完全招待制を取っているClubhouseは、アプリをダウンロードしても誰かに招待してもらうまではユーザー登録ができないため、ダウンロード数がそのままユーザー数とイコールというわけではありません。

月間アクティブユーザー数が20億を超えるフェイスブックや10億以上のTIKTOKにはまだまだ遠く及ばない、小規模なSNSと言えるでしょう。

2月上旬にアメリカの友人たちに聞いてみたところ、「何それ?聞いたこともない」とその存在自体知らない人が大半で、「聞いたことあるけどまだ始めていない(始める気もない)」「ポッドキャストやオーディオブックで十分」といった声が返ってくるばかり。

関連性の薄い企業で働いている友人や主婦だけでなく、IT企業でデベロッパーの仕事をしているアメリカ人の友人や、某有名大学で教授をしている中東系の友人、また、ネット系トレンドにうるさいアメリカの現役男子大学生、ゲーム実況ユーチューバーとして小銭を稼ぐ男子高校生にも話を聞いてみましたが……。

筆者が期待していた「大ブームだよ!」「私もハマってる!」という答えは、最後まで得られませんでした。

◆カリスマCEO参戦でアプリダウンロード数が倍増!

それもそのはずで、テック系専門誌ではない米メディアが一般ユーザー向けに「Clubhouse基礎講座(2月10日・The Washington Post)」「なぜClubhouseが話題なのか?(2月16日・Rolling Stones)」「親として知っておくべきClubhouseのこと(2月18日・Today)」といった特集記事を掲載し始めたのは、今年に入ってから。それも、2月から一気に増えています。

『ニューヨークタイムス The New York Times』によると、Clubhouseが米国内で創立されたのは2020年3月のこと(アプリのローンチは4月)。シリコンバレーのベンチャーキャピタルが1億ドル(約1000億円)の投資をした同5月時点では、数千人しかユーザーがいなかったといいます。

そこからユーザー数を少しずつ伸ばし、昨年末には60万人に到達。とはいえ、当時のユーザーは、運営会社がパイロット版ルームのホストに選んだ「客を呼んでくることのできる」インフルエンサーやスターたちと、その関係者がほとんどだったとか。

ところが、今年に入るとヨーロッパやアジア圏で一気に一般化。1月だけでアプリダウンロード数は400万回を超え、イタリアで2月第1週目に最もダウンロードされたiOSアプリに輝きました。

さらに、ユーザーからの関心を集め、メディア報道に拍車をかけたのは、テスラやスペースXのCEOイーロン・マスクや、フェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグの参加です。

マスク氏は1月30日にツイッターのプロダクト開発担当者、スリアム・クリシュナンから招待されてユーザー登録。さっそくルームを立ち上げてYouTube動画と同時配信したところ、アプリダウンロード数が急増し、欧米メディアが取り上げる数がグンと増えました。

現在同様の音声アプリを開発中というザッカーバーグ氏は、今年2月5日にユーザー登録。2月11日にルームに登場しています。

『テッククランチ Tech Crunch』よると、世界におけるClubhouseのアプリダウンロード数は前述した2月1日の350万から、数週間後の2月16日には800万に跳ね上がりました。クラハ熱は、世界中同時に高まっているようです。

◆ディスカッション好きなアメリカ人にぴったり

では、Clubhouseはアメリカでどのように受け入れられているのでしょうか?

『フォーブス Forbes』によると、アメリカでは「Z世代のラジオ」「初のAirPods用SNS」「コミュニティ版ZOOM」などと例えられているようです。また、ホスト、モデレーター、オーディエンスで構成されるClubhouseのルームは、「ヴァーチャル・パネルディスカッション」のようだとも言われています。

小さい頃からディスカッション形式の授業などで鍛えられてきたアメリカ人には、もともと議論好きな人が多く、テレビの観覧番組やラジオ番組でも、フォーラムやセミナーでも、参加型を好む傾向が強い印象です。

90年代にはリスナー参加型のネットラジオ「Talk Radio」が流行りましたし、また「TED Talks」やSXSWなどカルチャー系イベントで行われるトークショーなどを見ても、ホストやパネラーがディスカッションし、そこに来場者が質問をぶつけていくタイプが受けています。

Clubhouseは、そんなディスカッション好きなアメリカ人の属性にぴったりハマったSNS。

同時に、パンデミック中で人との交流に飢えているリモートワーカーたちを中心に、見た目や誤字脱字に気を使わず、YouTubeのように編集作業をする必要もなく、思い立ったら今すぐに始められる「気軽さ」が受けたようだと、多くのメディアが分析しています。

◆起業家などのビジネスの人脈作りにも

まだまだ成長中のプラットフォームのため、一概にどの層に人気があるとは言い難いのですが、AmobeeJapanの調査(※)によると、アメリカ国内での同アプリに関心のある層は、他のSNSと違って33~44歳の少し高めの年齢層に受けているとか。収入的には年収1000万以上、特に2000万以上の層に関心を集めているといいます。

利用者には起業家や政治家など、何かしら肩書の付く人が目立ち、人脈作りの場として利用してみたいと関心を寄せているビジネスパーソンも多いよう。『バッスル Bustle』をはじめ大勢の人々が、「LinkedIn(世界で7億人以上が利用するビジネス系SNS)みたいだ」と指摘しているのもうなづけます。

現在はIOSアプリのみに対応していますが、近日中にアンドロイド版もリリースされるとのこと。Clubhouseが本格的に流行るかどうかは、まだ未知数のようです。

Source:

「The Conversation」「The New York Times」「The New York Times」「Tech Crunch」

「Forbes」「Bastle」

※【分析要項】

・ソリューション:ブランド・インテリジェンス

・分析対象国:アメリカ

・分析対象期間::2020年4月13日ー2021年2月9日(特に明記ない場合)

・分析内容:『Clubhouse (クラブハウス)』に関するトピックの分析

・分析実施機関:Amobee Japan(アモビージャパン)

<文/橘エコ>

【橘エコ】

アメリカ在住のアラフォー。 出版社勤務を経て、2004年に渡米。ゴシップ情報やアメリカ現地の様子を定点観測してはその実情を発信中。

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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