子供部屋はあるのに? 軽視できない親の「縄張り」、どう作る?【公認心理師が解説】

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家族のパーソナルスペースを尊重するための考え方や行動の5つのヒントをご紹介します。

ウィズコロナ期にこそ必要! 家族それぞれの「パーソナルスペース」

長引くウィズコロナの影響で、家の中で過ごす時間が増えた方が多いと思います。内閣府の調査によると、2020年12月時点の全国のテレワーク実施率は21.5%で前年同月の約2倍であり、東京都23区にいたっては、2020年12月時点のテレワーク実施率は4割を超えています。また複数の民間調査でも、コロナ前に比べて家で過ごす時間が増えたと回答する人の割合が7割以上という結果が見られます。

愛する家族との時間が増えることはとても幸せなことですが、距離が近すぎると不快に感じることも増えてしまうものです。

人が他者との距離を保つためにとる個人的な空間を「パーソナルスペース」といい、自分の心身の安心や安全を保つために必要な空間とされています。パーソナルスペースは、いわば目に見えない自分の“なわばり”のこと。家族であってもこの空間にむやみに立ち入られると、心のバランスを保てずストレスを感じてしまうものです。

ウィズコロナ期には、同居家族と過ごす時間が長くなるため、家庭内での個々のパーソナルスペースを守りきれなくなりがちです。すると、家族と一緒にいられて幸せを感じるのに、家で過ごすとイライラが募る。大切な家族なのに、家族のことをうとましく思えてしまう――。このような矛盾した気持ちを抱えがちになってしまうかもしれません。

小さな子どもを持つ親にも「パーソナルスペース」は大切!

幼い子どものいる家庭では、とくに親のパーソナルスペースは軽視されがちです。そもそも幼い子どもの成長に、家族との愛着関係は欠かせないものであり、親子がたくさんふれあうことで、子どもは心身ともに成長していくことができます。ウィズコロナ期には子どももストレスを抱えがちになるため、いつもよりたくさんのスキンシップとコミュニケーションが必要になるでしょう。

しかし、リモートワークが始まると、親にとっては家の中で業務に打ち込める時間も空間も必要です。仕事中に不意に会話やふれあいを求められたりすると、集中力が途切れてパフォーマンスが下がってしまいます。せめて数時間だけでもパーソナルスペースを確保して仕事に集中したいのに、それができない苛立ちや葛藤で、ストレスがたまりがちになってしまうかもしれません。

また、子どもが中学、高校生ともなると、子ども自身のパーソナルスペースを確保することも重要になってきます。しかし、住宅事情によってはきょうだいや親と部屋を共有しなければならないこともあり、家で過ごす時間が長引くことでストレスがたまり、そのイライラを家族にぶつけてしまうこともあるかもしれません。

家の中に「パーソナルスペース」をつくるには? 5つのヒント

このように、ウィズコロナの時期には家の中で過ごす時間が増えるからこそ、家族はお互いのパーソナルスペースを理解し、ストレスを募らせないようにすることが必要になります。そのためにお勧めしたいのが、次の5つのポイントです。

◆ 1. 快適なパーソナルスペースは個々に異なる。決めつけや押しつけをしない
快適なパーソナルスペースは年齢や性別によっても異なり、何より個人差も大きいものです。したがって、「家族を愛しているなら、いつでも一緒にいたいと思うはず」「子どものためなら、自分のことなど後回しにすべき」などと決めつけず、家族一人ひとりがどの程度の空間を必要と思うのか、よく話し合ってパーソナルスペースをつくっていきましょう。

部屋数に限りがある場合、パーテーションで目隠しをすることで、パーソナルスペースを確保するとよいでしょう。

◆ 2. 時間のメリハリでパーソナルスペースをつくる
物理的にパーソナルスペースを設けにくい場合、「時間」を区切ることで、パーソナルスペースを確保するとよいでしょう。1日ごとの大まかな家族のスケジュールを共有し、家族間で「ふれあいの時間」や「パーソナルな時間」を決めてみてはどうでしょう。

子どもが幼い場合、夫婦が子どもとふれあう時間は交代制にし、一方が仕事中には一方が子どもを公園に連れて行くなどして、家の中でパーソナルスペースを確保できる時間をつくるとよいでしょう。

◆ 3. 「机」や「ドレッサー」で夫婦のなわばりづくり
夫婦が長く円満に暮らしていくには、お互いのパーソナルスペースを持つことも必要です。夫婦の寝室にも、それぞれのパーソナルスペースがあると、安心できます。たとえば、お父さんの「机」とお母さんの「ドレッサー」。こうしたものを拠点にして、公平になわばりづくりをしていくとよいかと思います。

家の中にパーソナルスペースをもちにくい場合、外でレンタルするのもよいでしょう。つまり、コワーキングスペースやレンタルルームを上手に活用して、パーソナルスペースを確保するのも一案です。

◆ 4. リビングのお父さんのなわばりは、「おやじ専用椅子」
家の中でお父さんの存在感が薄く、リビングとダイニングは母と子が占領し、父親が居心地の悪い状況になっている……こんな家庭もあるかもしれません。

リビングでのお父さんのパーソナルスペースの確保には、「おやじ専用椅子」がおすすめです。ぜひ、お父さんが自分自身でこだわりの椅子を選び、リビングに(遠慮せずに)置きましょう。椅子があるだけで、母と子はお父さんのことを自然に考えられるようになるでしょう。

◆ 5. リビング・ダイニングでは「ソシオフーガル」な位置関係を
家族がくつろぐ空間で長時間過ごす際には、視線の合いにくい位置で座るのがおすすめです。この視線の合わない位置関係を「ソシオフーガル」といいます。リビング、ダイニングでは背中合わせに座ったり、目線が反対に向くような位置に座ってみる。すると、一緒にいてもお互いの存在が邪魔にならず、一緒にいてもパーソナルスペースを確保することができます。

――ウィズコロナ期に家の中でストレスをためずに過ごすには、家族がお互いのパーソナルスペースを尊重しあっていくことが大切です。家は、家族それぞれが羽を休めるための憩いの場所です。誰かががまんして憂うつになったり、家族の存在を疎んじてイライラを募らせたりしないように、みんなで話し合いながら、お互いにとって快適なパーソナルスペースを確保できるようにしていきましょう。

◆ 大美賀 直子プロフィール
公認心理師、精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持つメンタルケア・コンサルタント。ストレスマネジメントやメンタルケアに関する著書・監修多数。カウンセラー、コラムニスト、セミナー講師として活動しながら、現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法について幅広く情報発信を行っている。
(文:大美賀 直子(公認心理師))

当記事はAll Aboutの提供記事です。

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