HKT48“劇はじ” 劇団「ごりらぐみ」インタビュー、みんなのやる気がアンロックされた5ヶ月間

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今年、結成10周年を迎えるアイドルグループ・HKT48が挑む一大オンライン演劇企画「HKT48、劇団はじめます。」(通称:「#劇はじ」)がいよいよ20日に開幕(5日間・計20公演。28日が千穐楽)

メンバーたちは二つの劇団に分かれ、俳優として演じるのはモチロン、企画・プロデュース・脚本・演出・衣装・美術・音響・映像・配信・広報の全てを務め、舞台を一から作り上げる。まさにHKT48史始まって以来の壮大な挑戦だ。10月半ばの企画立上げから約5ヶ月に渡り、メンバーは活動と並行して本番に向け多忙な制作の日々を過ごしてきた。

いよいよ上演となる「#劇はじ」に迫るべく、各劇団に特別インタビューを実施。

後半はSFチックな物語が展開される『不本意アンロック』を上演する劇団「ごりらぐみ」からプロデューサーの武田智加、脚本の豊永阿紀、そして主演俳優の堺萌香の4期生トリオが登場。各セクションの製作舞台裏から、配役にまつわる意外なエピソードまで深堀り。現在上演中の芝居の副読書として読んでいただけると幸いだ。



―『不本意アンロック』、いよいよ上演ですね。今のお気持ちはいかがです?

武田智加

本番間際なのにまだまだ変更が続いていて、「もう本番なの!? もっと時間が欲しい!」っていう日々でした(苦笑)。けど、これだけ大勢の人が一つの目標に向かって、みんなで色んなことを固めていったり、それこそ全員が、これまでやったことがないことに挑戦し続けていて。そこでメンバーってこんなに色んなことができるんだ!という驚きを、毎日のように浴びています。楽しい!とは違いますが、スゴイ!という気持ちです。

―脚本を担当された豊永さんは、通し稽古をご覧になり、自分の作品世界が役者部と演出部によって構築される瞬間を見た時、どう思いました?

豊永阿紀

演出の下野(由貴)さんと電話で話した時「本当にスゴイことになっている!」ってはしゃぐぐらいの出来です。私の頭の中から出てきた『不本意アンロック』という物語とキャラクターが、みんなの手に渡って自分では絶対に思いつかなかった方向へと転がりながらすごい形に変化していって。これが脚本の醍醐味であり、チームで一つの作品を作り上げる醍醐味だろうなぁって。

―俳優部としてはいかがでした?

堺萌香

初めて経験することばかりなので、毎日必死でした(笑)。とにかく下野さんも含めたみんなで気づいたことがあれば「これはどうしましょう?」と提案していって。この前、下野さんから「おいもちゃん(堺のあだ名)、色々と話してくれるから助かる!」と言ってもらえたのが、すごく嬉しかったですね。

武田

まだ配信部分で、各セクションが足並みを揃えて一つにまとめた時に、「想像していたのと違うなぁ」ってことがまだあって。きっと本番当日になっても「こうすればよかった」という部分が見えて、色々変更している気がしています(苦笑)。



今頃になって「コッチの方が良かったかも!?」という迷いがジワジワと全員に出てきて、みんなで毎日ドキドキしっぱなしです。何か細かい部分が一つでも変わると、そのたびに一から頭の中を整理しないといけないので、「大丈夫かな?」と思う毎日です(笑)。けど、大変な中でも一歩ずつ前に進んでいるので、良いものになっているという自信はあります。

―バタバタしながらも、本番は良いものになると信じていると。

武田

みんながみんなキャパを超えるような仕事量を抱えながらも、全力で臨んでいて。こんなことを言うと変ですが、頼もしさしかありません。

セリフの一つひとつから“豊永阿紀”が滲み出る脚本

―豊永さんは企画段階で「ZOOMを使って社会科見学する未来人と現代人の交流」という『不本意アンロック』のベースとなるテーマを出していましたが、この案はずっと温めてきたものなんですか?

豊永

いえ。プロジェクト始動の時に、みんなで様々なワークショップを受けて、どんな役職を希望するか決める時間があったんです。プロデューサー・脚本志望には「作りたい作品の大まかな企画を出してください」という課題が出されて。その時に、パッと思いついたものだったんです。私は常々……不思議な人間だと思わないで欲しいのですが、宇宙人は未来人が正体という都市伝説にすごく興味があって、この話はオンライン演劇向きだ!と思いつき、スッとそこから『不本意アンロック』の土台になる物語のイメージが湧いてきたんですよ。

―同期のお二人は脚本を読みどんな感想を抱きました?



阿紀だ~!!って思った。文章の一つひとつから豊永阿紀が溢れていて。

武田

私も同じことを言おうと思った!! 最初に全部を通しで読んだ時、全セリフが阿紀ちゃんの声で再生されて「あれ!?何人も登場人物がいるはずなのに、色んなパターンの阿紀ちゃん浮かぶ」状態になっちゃって。



阿紀の一人芝居で成立しちゃうぐらいだった(笑)。

豊永

(笑)。確かに各キャラクターには、私の中にある特化した部分が反映されているとは思います。やはり、全く自分から離れたものを書く技術がまだないんですよね。

―こうして自分の脳内をつまびらかにするのはどうです?

豊永

いやぁ~、文章を読むのも書くのも好きではありつつ、私の発想自体は面白いと思ったことがなくて。あと、ネガティヴな展開になると、自分の魅せたくないネガティヴな部分も全部出さなければ書けないわけです。二人が言ったように私が出過ぎているのが正直怖いんですよ。見た方に「こんなヤツ、いるかよ」と思われても、「ゴメンなさい!私としてはそうなんだよぉ~……」としか言えません(苦笑)。みなさんの感想をもらうまでは、千穐楽を終えても安心して眠れる日々が来ないと思っています。

武田

本番が始まってOK!なわけじゃないからね。

豊永

そうそう。しかも私は本番期間中、何もできずに見守るしかないのがもどかしいんだよね。演技や演出、美術に衣装、音響、みんなに信頼がおけるから舞台自体には全然不安も何もなくて。ただ話の内容を否定されたら……泣いちゃいます(笑)。

おいもちゃんだったから主役の扉を全開にできた

―今作の配役はどのように決まったのでしょう?



それが私はわからないんですよ。配役はみんな「この役がいい!」と立候補したわけじゃなくて。

武田

脚本作りの時から阿紀ちゃんと相談して、キャラクターはアテ書きにしないようにしようと決めたんです。一応私も阿紀ちゃんも、一緒にプロデュースする(地頭江)音々、演出の下野さんも、個人的なイメージはありつつも実際に演じてみなければそのイメージが合っているかどうなるかわからないから、一度全員に全ての役を演じてもらい、その演技を見てから決めようとなったんです。

豊永

一応3パターンぐらいあって。誰がピッタリ!というよりは、この子はこの役も合うけど、コッチの方が合っていたよね!っていう状態で。

武田

まるで、パズルを組み替えていくみたいに決めていって、今の配役に決まりました。全員「この役以外ないね」っていうぐらい合っていましたね。

―俳優部のみなさんは、お二人から見ていかがでした。

豊永

ごりらぐみの俳優陣は、「このメンバーです」と決まった瞬間にガッツポーズするぐらい好きな演技をするメンバーたちで。じーなちゃん(神志那結衣)以外のみんなとは舞台『仁義なき戦い』で共演していて、みんな演技に真っ直ぐ向き合ってくれる人たちだと実感していたので、不安は全然ありませんでした。

武田

うん。安心して任せられたよね。

―堺さんとしては、主役の後藤佳を演じていて「自分にピッタリ」と思う瞬間はありました?



佳は基本ネガティヴな性格をしているのですが、共感できる部分が多くて。役が決まる前に最初のプロットを読んだ時、佳のセリフ一つひとつがグサッ!と胸に刺さって、気が付いたら涙がこぼれたんですよ。

武田&豊永

えぇっ!?



何を演じるかはわからないけれど、この役をやってみたいなと思って。佳に決まった時は本当に嬉しかったですね。

―佳を演じるべくして、決まったというような流れですね。看板俳優・堺萌香はお二人から見てどうです?

武田

いやぁ~、もうスゴイですよ!

豊永

イモ(堺)にして本当に良かった。イモがさっき言った今作の“豊永阿紀”感って、きっと「仄暗さ」や「低温度感」だと私は思っていて(笑)。普段からイモとは真剣に話すことがあって、きっと私の持つ“低い”部分を理解してくれている部分も大きいと思いますが、それ以上に堺萌香という人間の人生経験や考えも反映させてくれたことで、佳というキャラにすごく深みが出たと思うんです。



メッチャ褒めてくれる(照笑)。

武田

佳は優しいゆえに不器用で、複雑な内面を持ったキャラなのですが、おいもちゃんが佳というキャラの全扉を開いた!と言っていいぐらいに、実在する人間かのように演じていて。元々のおいもちゃんの内向きで優しい性格も相まって、佳がすごく魅力的になりましたね。



(照笑)。けど、ザ・主役です!という感じではないキャラだよね。

豊永

うん。基本ずっと相手の言葉を加味してからの受け身の芝居だもんね。けど、受け身の芝居こそ難しいって言うじゃない。じーなちゃん、(秋吉)優花さんのような演技経験豊富な方が相手ということで、イモはプレッシャーだったと思うんです。けど、それも跳ねのけるぐらい、イモの演技は他の誰にもできないことをしていて。だから……心配するな!思う存分、千穐楽まで突っ走ってみんなを引っ張って‼っていう気持ちです。

一同

(笑)。

―アハハ!ここまで褒められるとは、相当期待されていますね。



いやぁ~、最初は期待に応えようとするあまり考えすぎて、佳という役の幅を狭めていた部分があったんですよ。もう、どうしようもなくなり、一度大爆発しかけたこともあって(苦笑)。そうしたら演出の下野さんから「練習期間はどれだけ間違えてもいいよ。もっとおいもちゃんらしく自由にやって」と言われて、肩の荷が下りたんです。今まで自分の中で「佳とはこういう人物だ」決めつけすぎていて、それ以上のことができなくなっていたんです。下野さんと話してからは、自分のキャパがグン!と増えた気がして。今は自分のことのよう自然体で演じられています。

『不本意アンロック』は武田智加のために書かれた本?

―俳優部、演出部をとりまとめる、企画部の存在は大きかったと思います。お二人から見た武田さんの手腕はいかがでした?



大きかったねぇ、存在。

豊永

うん。普段から決まっていない状態を嫌う二人なので、進行にかんしては安心しきっていました。ただ、もかも音々も雑用まで全部自分たちでやったりと自分たちで全部背負うから、この半年間ずっと心配で。



たぶん、ごりらぐみ全員が二人のことを心配していると思う。

豊永

つらい時はつらいと言えるので、一応安心しています。ただ、俳優部と演出部の橋渡しのために常にフル稼働しているから、千穐楽を迎えた後、燃え尽き症候群にならないか不安で。雑用ならなんでもやるから、いつでも言ってね。

武田

ありがと~!!!



智加は、これをキッカケに存在が一回りも二回りも大きくなったよね。元々4期の中でも特にシッカリした子ですけど、プロデューサーをはじめてからは、よりドン!と構える姿を見せるようになって、本当に心強くてジーンときました。あまり無理してほしくないんですけど、周りから「そんなに頑張らなくていいよ」って言われるのがイヤなタイプと知っているから、ずっと心の中で「ガンバレ!」って祈っていました。

武田

本当にありがとうね。なんか色々と見破られていた(笑)。

豊永

良い意味で不器用な頑張り屋さんという点で言うと、佳に一番近いのはもかなんだよね。



そうそう(笑)。

武田

これね、私も思った。阿紀ちゃんとは普段から自分の心の内を話すので、正直言うと佳のセリフを読んだ時「これ、私に向けて書いている?」って思うぐらい、突かれる部分が多くて。読みながら「あぁ~!!」って言っていた。

豊永

無意識で「もかに届け!」って思いながら書いていたのかも(笑)。

「#劇はじ」が堺萌香のやる気をアンロック!

―この5ヶ月間、舞台制作に携わり続けたことで、みなさんとしては何が成長したと思います?

豊永

自分たちで物事を考えて、本番を成功させるという明確な目標のために行動することで、色んな判断や考えの材料が増えた気がします。

武田

うん。特に公演への向き合い方が変わったと思う。舞台の準備期間中も「博多なないろ公演」をやっていたのですが、私が所属するチームパープルには「劇団ミュン密」プロデューサーの馬場(彩)ちゃんがいて、馬場ちゃんと一緒にセットリストを決める時に、曲の構成や魅せ方まで深く考えるようになったんですよ。舞台作りの経験が、アイドルの現場作りに派生していて、すごく自分に大きなものをもたらしてくれています。



私としては積極的になれたと思います。これまでは言われたことをやるだけで、自分の意見があっても相手のことを考えて「自分はいいや」と引っ込めていたんですね。けど、それでは逆に良いものはできないと「#劇はじ」を通じて学んで、先輩・後輩の間柄を超えて色々と意見を言えるようになりました。これは私だけでなく、各セクションのみんなもそうだったと思います。この空気感を持ったままHKT48の活動に入れたら、今まで以上に良いグループになるんじゃないかなって思っています。

武田

28日の千穐楽を迎えた後、本当にどうなるのか楽しみです。

―この「#劇はじ」から、色々な世界が広がりそうですね。

豊永

そうですね。この経験をこの一回だけで終わらせるのはもったいないなと。個人的には、『不本意アンロック』は実際の舞台で再現してもいいし、映像だけで完結させても面白い作品になると思っていて。その可能性の広がりが「#劇はじ」の魅力なのかなって。

―もし今年、「#劇はじ」第二弾が開催されるとなったらどうです?

豊永

……千穐楽が終わった後に考えさせてください(笑)。

一同

(笑)

武田

ちょっとね、想像以上に大変だもんね(笑)

豊永

まだ成功体験になっていないので、首を縦に振れないのが正直なところです。ただ正直書きながら「次の作品は……」ってちょっと浮かんでいる自分がいるので、そんな自分に騙されないぞ!という気持ちをしばらくは持っていたいです(笑)。

武田

結構前向きだ(笑)。個人的には好奇心旺盛なので、もう一度同じようなことをやるのは首を傾げますが、映像化するよ!みたいな変化があったら、喜んでやっちゃうんだろうなぁ。おいもちゃんはどう?



私はなんだかんだで手を挙げると思う(笑)。輝ける場所が用意されているのに、手を挙げないのはなんかモヤモヤするんですよ。「自分、やる気あります!」という姿勢を見せたくて。モチロン楽しいと同等以上の大変さがあるのを実感する毎日でしたが、その大変さを軽く超えるものをもらったから、次もやるなら手を挙げます。

豊永

イモのやる気を完全にアンロックしちゃったね(笑)。

一同

(笑)。

Zoomインタビュー・文:田口俊輔

当記事はdwango.jp newsの提供記事です。

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