コスプレイヤーが収入減で悲鳴。コミケ中止で大打撃、過激路線に走る人も

日刊SPA!

5月のコミケは開催できるのか? クールジャパンの一翼を担うオタク文化の祭典が危機に瀕している。なかでも不安を募らせているのが、イベント自粛で活動と糧を得る場を奪われたコスプレイヤーたち。“緊急事態”にあるレイヤー業界を追った。

◆貧困コスプレイヤーの悲鳴

コロナが日本のサブカルチャーをも侵食している。それも、「クールジャパン」の柱として世界に広がるカルチャーを……。日本の漫画やアニメ、ゲームへのほとばしる熱量から花開いたコスプレだ。

「昨年以降、私の周りでは半ばレイヤーを引退する人が増えてます」

こう話すのは10年近くも活動を続けている女性レイヤーだ。

「コロナでコミケなどのイベントが軒並み中止になったので用意していた写真集のROMは売れないし、撮影会も減少。ファンと盛り上がれるBARイベントも減ってレイヤーとしての収入は半減しました。17LIVEやPocochaなどのライブ配信の投げ銭で稼ぐ人も増えましたが、毎日何時間も配信して体を壊してしまったレイヤーや疲れ果ててレイヤー活動をやめたコもいます」

◆収入減を補うべく過激な路線に転換するレイヤーも

女子大生レイヤーの笹野ゆりさんも「コロナでレイヤーとしての収入は激減した」と話す。

「コロナ前はコンカフェ(コンセプトカフェ)で深夜バイトしていたのに、緊急事態宣言で働けなくなりました。コスプレイベントは昨年1回しか参加できず、ROMの売り上げはわずか。

『支援金送ろうか?』って言ってくれるファンのおかげで何とか活動を続けられた感じです。BARイベントを開いてライブ配信したら、直接会えないのにファンが1万円以上するシャンパンを入れてくれるんです。“遠隔シャンパン”のおかげで助かったというレイヤーさんは多い」

収入減を補うべく過激な路線に転換するレイヤーも増えたという。

「セクシーな写真やエロに振り切った動画を『ファンティア』などのファンサイトで売る人が着実に増えましたね。SNSで『デート個撮OK』と発信するレイヤーも増えた。デート気分で食事したり個別の撮影も可能という意味です。初対面の人はリスクがありますけど、個撮なら1時間で1万円以上の収入になることもある」

◆肉体関係アリの個撮が増加

もはや、パパ活では?と思ってしまうが、さらに踏み込んだ関係もある。声優として活動した経験のある女性レイヤーは「“大人(肉体関係)アリ”の個撮をやるコが確実に増えている」というのだ。

「コロナの影響で10万円は月収が減って、金欠でまともな食事ができない状況のなかで裏アカに男性からDMが届いたのが最初でした」

そう話すのは、レイヤー歴13年のあおいさん(仮名)。レイヤー専門事務所に所属するプロレイヤーだが、コロナで仕事が激減して生活苦に。

そこで、あおいさんはアニメ好きコスプレ女子の裏アカを作成。プロの顔を隠し、趣味レイヤーとして直接男性ファンからの高額オファーを受け付ける窓口として利用し始めたという。

「裏アカでは撮影者も一緒に写真に写り込むことを条件に、個撮募集を行いました。本人が写り込んだ写真ならSNSに流出される心配もないかなと。

その条件で応募してきたのが、40代後半のアニメオタクの方。私が裏アカに投稿していたキャラの推しで、『赤いピンヒールで踏んでほしい』とせがまれました。

ラブホでの撮影を希望されたので、大人の関係を覚悟したうえで一回5万~6万円の金額を提示したら即OK。それから定期的に会って、“大人アリ”の個撮をやるようになりました」

◆「SNSにアップするモノで一線を越えたかどうかわかる」

食事デートの後、ホテルに移動し、大人の関係を結んでから撮影会に移行するのがパターンだとか。

「通常のパパ活の目的は“大人アリ”だと思いますが、私のパパの目的はあくまで撮影。あれはオマケなんです。だから、撮影のほうに時間を割く。私がヘッドカメラをつけてパパをピンヒールで1時間以上、踏み続けたこともあります。それで、数時間で5万円稼げるのはありがたい」

このように、コロナで生活が苦しくなり一線を越えたコは多いという。レイヤー業界に詳しいライターのソムタム田井氏が話す。

「職業柄、自己顕示欲の強いコも多いので、SNSにアップするモノで一線を越えたかどうかわかるんです。ヌード写真や過激な動画を個人サイトなどで売るようになったコも多い。撮影会やROMの即売会が激減し、過激化せざるを得なくなった側面が、コロナ禍のレイヤー界にあるのです」

◆一方で今なお大金を稼ぎ続けるレイヤーも

だが、その一方で今なお大金を稼ぎ続けるレイヤーもいるという。別の業界関係者が話す。

「昨年、ワールドコスプレというSNSが主催したオンラインコンテストでは5000万円超の投げ銭が飛び交い、トップのレイヤーは数百万円を手にしたといわれています。

このほか、ファンティアでのエロコンテンツの販売で毎月100万円以上稼いでいるレイヤーもいるんです。レイヤー界は二極化しつつあると言っていいでしょう」

貧困レイヤーの悲鳴はさらに大きくなりそうだ……。

◆手売りじゃないと売れない女性以上に苦しい男性レイヤー

実は、より苦しい状況にあるのが男性レイヤーだ。レイヤー歴10年超のベテラン、西妻さんは「男性のほうが、地下アイドル的」と話す。

「一部女性レイヤーの作品は、かわいかったり、エッチだったりすると男性ファンがオンラインでも購入してくれますが、男性レイヤーを追いかける女性ファンはもっとリアルな交流を求めている。だから、手売りイベントがないと作品が売れないんです」

西妻さんは1回目の緊急事態宣言直前の’20年4月に脱サラ・独立した苦労人。イベントがすべて飛び、4か月近くほぼ無収入の状況が続いたという。

「その間にTikTokでバズらせる方法を研究したり、ライブ配信を続けた結果、昨年10月に有名なコンテストでグランプリを取ることができたんです。それからはモデルの仕事などで安定的に月30万円近くの収入が得られるようになったのですが……」

またも緊急事態宣言で暗転。イベントは飛び、自主制作の写真集が売れ残っているとか……。

◆波紋広げるコスプレの著作権ルール化

アニメやゲームなどのコスプレは著作権侵害にあたるのか。現状では非営利目的であれば問題ないが、報酬を得た場合は法に抵触する可能性があるなど基準が曖昧だ。

これに対して政府が何かしらのルール整備に乗り出す可能性があると発言したことが、業界内で大きな波紋を広げている。ソムタム田井氏は、「個人的にルール化には賛成です」と語る。

「今はイベントや撮影会のほかにもオンライン販売など、レイヤーが稼ぐ手段は増えています。そのなかで、キャラクターのイメージを大きく損なうような過激な表現のコンテンツは罰則の対象になりえるでしょう。ですが、レイヤーが一括りにされて、健全な活動をしているコたちまで阻害しないようにしてもらいたいですね」

◆最も重要なのは版元やメーカーのガイドライン

今回の議論がレイヤー中心な点にも疑問があるという。

「まず政府はコスプレイヤーとの意見交換の場を設けましたが、最も重要なのは版元やメーカーのガイドラインで、今は企業ごとに意見がバラバラになっている。これを政府が直接やると、世に出るものはすべてチェックされて許可待ちに時間もかかる。そうではなく、業界に精通した調査委員会のような団体を立ち上げたほうが効率よくルールが制定できると思います」

クールジャパン文化を海外に進出させる後押しが目的なら、まず国内の風通しをよくすべきだろう。

【笹野ゆりさん】

レイヤー歴3年の女子大生。現在、5月のコミケに向けて新たな写真集のROMを準備中という。@hina_szizsz

【あおいさん(仮名)】

レイヤー歴13年にもなる美容師。コロナの影響でレイヤー収入が激減し、コスプレ・パパ活を開始……

【西妻さん】

Cosplayer Of The Year2021チェリー部門グランプリ。コロナ後に専業に。自らイベントも企画。@nazuma00

<取材・文/吉岡 俊 池垣 完>

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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