あのダイアナ妃も購入!…日本人芸術家の美しすぎる木版画

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精神科医のフロイトやイギリスのダイアナ妃に愛された日本人芸術家、吉田博の展覧会が上野の東京都美術館で開かれています。美しすぎる木版画で世界を魅了した吉田とは、どんな人だったのでしょう? 彼の作品とその生涯をご紹介!
■ どんな展覧会?

【女子的アートナビ】vol. 194

『没後70年 吉田博展』では、明治から昭和にかけて活躍した吉田博(1876-1950)の初期から晩年までの木版画を中心に、水彩画や油彩画、さらに版木や写生帖も展示。前期・後期あわせて200点近い作品を見ることができます。

若いころから海外に出て西洋の芸術に触れた吉田は、独自の表現と技法を確立。本展では、彼の手がけた木版画の全容が紹介されています。

■ 明治期にアメリカへ…

吉田は旧久留米藩士の家で次男として生を受け、15歳のときに画才を認められて図画教師の養子になります。17歳で京都の画塾に入門、さらに上京して日本初の美術団体・明治美術会の会員になります。

1899年、23歳のときに画家仲間と渡米。デトロイト美術館で開いた水彩画の素描作品展で評価されたのを機に、アメリカ各地で展覧会を開いて作品を売り、成功を手にします。

その後、パリ、ロンドン、ドイツ、スイス、イタリアなどを巡ってからアメリカに戻り、1901年に帰国。おもに風景画を描き、洋画家として日本国内でも高い評価を受けました。

展覧会のプロローグでは、若いころに描かれた油彩画や水彩画などを見ることができます。

■ 木版画の世界へ!

1923年、47歳のときに吉田は再び渡米。現地で作品を売りますが、そのとき好評だったのが水彩画や油彩画ではなく木版画でした。帰国後、吉田は本格的に版画制作の世界に入っていきます。

上の写真は、自ら版元となり監修した『米国シリーズ』の作品《エル・キャピタン》。このシリーズでは、ヨセミテ渓谷やグランドキャニオン、ナイヤガラなどの景勝地が美しい色彩で表現されています。

■ ダイアナ妃やノラ・ジョーンズも購入!

1926年になると、吉田は精力的に木版画を制作。西洋の写実的な表現と日本の伝統的な版画技法を融合させ、代表作となるシリーズ『日本アルプス十二題』と『瀬戸内海集』を生み出します。

『瀬戸内海集』シリーズの《光る海》はダイアナ妃の所蔵する作品のひとつ。日没に近い時間帯に海面がキラキラと光る様子が美しく表現されています。

ダイアナ妃は1986年に来日した際、自分のクレジットカードで吉田の作品《猿澤池》を購入。《光る海》と二点並べてケンジントン宮殿の執務室に飾っていたそうです。

彼の作品は、精神科医のフロイトが書斎に飾っていたり、歌手のノラ・ジョーンズも収集していたりと、海外にファンが多いことでも知られています。

「日本といえば浮世絵版画」のイメージが強かった欧米で、吉田は新たな日本芸術の世界を切り拓きました。

ところで、浮世絵版画と吉田の木版画の違いはどこにあるのでしょう?

まずは描き方。陰影のないフラットな浮世絵と比べると、吉田の作品は写実的です。しかも、対象となるモチーフをじっくりと観察し、例えば水の流れや水面に輝く光までも細かく描写。その原画を、浮世絵版画の3倍以上も手をかけ、何度も摺りを重ねて美しい版画に仕上げているのです。

さらに、同じ版木を使いながら摺色を替え、時刻や光の変化を表現。こうして、浮世絵版画とは異なるオリジナルの木版画を生み出しました。

■ 世界中の風景を楽しめる!

吉田は若いころから晩年まで、旅を続けながら写生をして風景を描き続けた芸術家です。また、戦時中は従軍画家として派遣されており、中国の風景を描いた作品なども残っています。

終戦後の逸話もユニーク。もともと吉田の作品はアメリカで人気があったこともあり、戦後は米軍将校たちが彼の版画工房を訪れるなどアメリカ人との交流が盛んだったそうです。そして1950年、都内の自宅にて73歳で他界しました。

会場には欧米だけでなく、アジア各地やインド、そして日本国内の風景を描いた版画作品も数多く展示されています。

吉田の美しい木版画を見ながら旅の気分を味わってみてはいかがでしょうか。展覧会は3月28日まで。
写真、文・田代わこ
■ Information

会期: ~3月28日(日)※会期中、一部展示替えあり休室日:月曜日開室時間:9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)会場:東京都美術館 企画展示室観覧料:一般¥1,600、大学生・専門学校生:¥1,300、高校生:¥800、65歳以上:¥1,000

問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)※本記事の写真は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影しています。

当記事はananwebの提供記事です。

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