【徹底検証】『鬼滅の刃』と『ONE PIECE』はナゼ国民的マンガになったのか?

まいじつ



『ONE PIECE』1巻(尾田栄一郎/集英社)

少年マンガでありながら、幅広い世代の読者を夢中にさせている『ONE PIECE』と『鬼滅の刃』。いずれも『週刊少年ジャンプ』を代表する作品として人気を競い合っており、両者の関係性はさながら主人公とライバルのようだ。2作品はいかにして「国民的マンガ」の地位を築いていったのかを検証していこう。

尾田栄一郎の手がける「ONE PIECE」は、1997年に連載がスタートした作品。最近ではついに1000話の大台を突破し、ますます大きな盛り上がりを見せている。とはいえ当たり前だが、同作も連載が始まった当初から国民的マンガだったわけではない。

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そもそも、何をもって国民的マンガと認定するのかという問題もあるだろう。コミックスの発行部数や知名度など、さまざまな指標があると思うが、本稿では「お茶の間で話題にしても自然に受け入れられる」ことをその条件としたい。

尾田は「ONE PIECE」が初の連載作品であり、デビュー時は22歳という若さの新人作家だった。それにも関わらず、急速に知名度が向上していったのは、「ゴールデンタイムでのTVアニメ化」というメディア展開が大きく影響している。

アニメ「ONE PIECE」は現在、日曜の朝9時30分からフジテレビ系で放送中。しかし1999年にアニメが始まった当初は、『ドラゴンボール』などの作品でお馴染みだった水曜日の夜19時枠で放送されていた。その後、放送枠が移動となったが、2001年から2006年まで日曜日のゴールデンタイムで人気を博すことに。

また、フジテレビでのアニメ化によって、同局御用達の芸能人たちとコラボが行われたのも知名度アップにつながっている。ご存知の通りタレント・矢口真里は大のワンピースファンを公言しており、2009年には『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ系)のメンバーと共にアニメのオープニング曲を担当したことも。しかし、この時点では芸能人の擦り寄りと見なされ、ファンの間で激しい反発が巻き起こっていた。

お茶の間の空気を左右する上で、もっとも大きな転機となったのは、やはり芸能界の大御所・明石家さんまと木村拓哉の存在だろう。この2人も長年にわたって「ONE PIECE」を応援してきたファンとして有名。オタク・サブカル的な趣味にあまり触れないイメージがあるが、「ONE PIECE」については例外なのか、世間話のような感覚で頻繫に推しトークを行ってきた。ここにきて、ようやく作品が市民権を獲得した、ということになるかもしれない。

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「鬼滅の刃」はなぜ「ONE PIECE」に追いついたのか


「鬼滅の刃」もブレイクのきっかけはTVアニメ化。しかし絵柄がいわゆる萌え系とかけ離れており、一般受けする内容だったことも人気の理由だと言えるだろう。

作品の原型は、作者・吾峠呼世晴がジャンプの新人賞に投稿した『過狩り狩り』という短編だった。こちらはどこか日本画のようなタッチとなっており、『ねじ式』などで知られるつげ義春やアングラマンガ雑誌『ガロ』の影響を感じさせる。そこからジャンプマンガとしてブラッシュアップしていく中で、他に類をみない和風ファンタジーの作風へと変化していったようだ。

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2019年4月に放送が始まったTVアニメ版は、制作会社の力によってさらに間口が広い作品に。制作を手掛けたのは、『Fate/stay night』シリーズや『活撃 刀剣乱舞』といったヒット作で知られるufotable。美麗な作画で知られ、女性人気の高い作品も数々生み出してきた。

その後、公開された『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は、ご存じの通り、歴代興行収入ランキングで1位を獲得するという偉業を達成。日本マンガのコアな魅力を核に秘めつつ、メジャー作品として洗練されていった同作が広く受け入れられたのは、当然のことだろう。

とはいえ売上という観点だけでは、「国民的マンガ」論は語れない。お茶の間に浸透していった背景を考えてみると、SNSの存在が大きかったのではないかと思われる。

アニメ版の大ヒットによって、椿鬼奴をはじめとした芸能人たちが、鬼滅ファンを公言するようになったのは周知の事実。とくに『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開された後は、多くの芸能人たちがSNSで作品に言及したり、キャラクターのコスプレ画像などを披露してきた。

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アニメが大ヒットを記録し、芸能人を始めとする人々を魅了するのも、すべては原作の力があってこそ。もし別の機会があれば、物語の中に「国民的マンガ」の神髄を探ってみる…という検証を行ってみてもいいかもしれない。

文=大上賢一
写真=まいじつエンタ

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