重い心臓病を患った愛猫あいるにできた“緩和ケア”は「共に生き抜くこと」

女子SPA!

【○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.38】

もう治療する術がないとき、飼い主は愛猫とどう向き合えばいいのか――。あちゅ420さん(@23zs51KvWu4POja)と愛猫あいるくんの日常は、そんな難しい問いに解決のヒントを与えてくれます。

あいるくんは先天性心疾患のため天国へ旅立ちましたが、そのニャン生はさまざまな人の胸に刻まれています。

◆保護猫カフェから迎えた愛猫に「先天性心疾患」が発覚

数十年ほど前から付き合いがある保護猫カフェで、人慣れしていないグループに属していたあいるくん。

その姿を見たあちゅ420さんは運命的なものを感じ、おうちに迎えることに。

しかし、後に健康診断を受けた際、心臓の状態が悪いことが判明。すぐに専門病院で精密検査を受けると、「右室二腔症」であることが発覚しました。

これは右心室の内部に異常な筋肉の塊があり、血液の通路を妨げてしまうという病気。診断後、しばらくは無症状でしたが、半年ほどすると「乳び胸」に。胸にリンパ液が流れ、苦しそうに呼吸し始めたため、病院でリンパ液を抜いてもらうようになりました。

「朝と夕に利尿剤と血管を広げる薬を服用。心臓の奇形をもとに戻す手術も考えましたが、成功率が極めて低いことや成功してもしばらくは薬づけの日々になってしまうことを聞き、断念しました」

病は徐々に身体を蝕んでいき、2020年11月には急変。「肺水腫」となり、ICUに入院。4日後、退院するも1週間も経たないうちに肺炎を引き起こし、ICUに再入院。そして、2度目の退院時、主治医から「これ以上良くなることはない」と言われたため、辛かったり痛かったりする治療はもうやめて、緩和ケアしようと決意しました。

◆共に生き抜くことも「ターミナルケア」になる

ターミナルケアをするにあたり、あちゅさん420さんは病院で紹介された酸素ハウスの業者から酸素室をレンタル。

最初、あいるくんがマスクを怖がったため、飼い主さんは内側に包帯を止めるテープを数か所貼り、大好きなおやつを擦りつけたそう。「酸素室にはあまり入りたがらなかったので、寝ているときに酸素チューブにマスクをつけたものを、そっと口元に置いていました。」

薬は朝夕、3種類服用。希望を抱きつつ、医療グレードのマヌカハニーやオーガニックヨモギパウダー、動物用のCBDオイル(ターキーティル入り)などもあげていました。

また、おうちでは2匹のきょうだい猫と触れ合える時間を重視。

歳の差はありますが、きょうだい猫たちはあいるくんと同じ母猫から生まれた弟と妹。2匹にとって、あいるくんは面倒見のいいお兄ちゃんでした。

「この子たちには実のパパと育てのパパがおり、ツバメの親子のようにママとパパ、育てのパパたちが交互でお世話をしていたそうです。あいるは弟のサーベルと特に仲良しでした」

病気があっても、なるべく他の子たちと変わらない生活や食事をさせてあげたい――。そんな思いからあちゅ420さんは、もともと好き嫌いが激しいあいるくんが食欲不振となったときには、香りや旨味が強いおやつを少しだけごはんの前にあげ、食欲を出してもらうことも。

「大変なことはもちろんありましたが、病気が見つかって私とあいるの距離はすごく縮まりました。愛猫たちに少しでも長く、元気で生きてほしいという願いは、自分の生きる力にもなっていました」

◆あっというまに旅立ってしまった、あいるくん

たくさんの愛情を受けたあいるくんは2020年12月5日、天国へ。

「2週間前から酸素マスクが手放せず、呼吸が苦そうでしたが、その日は呼吸困難となり、息ができないことでパニックになったようでした」

苦しそうなときにはいつも酸素マスクと顔の間にタオルをかけ、安静にさせていたため、このときも同じようにし、名前を呼びながら前脚をさすることに。しかし、あいるくんは顔や体を痙攣させ、あっという間に旅立ってしまいました。

「ずっと、もう頑張らなくてもいい、たくさん頑張ってくれてありがとうという気持ちと、まだそばにいたい、離れたくないという気持ちがあったので複雑でしたが、最期は辛いことや苦しいことから、やっと解放されてよかったのかもしれないと思えました」

唯一の心残りは、初めて抱っこできたのが亡くなった後だったということ。

「あいるにとって抱っこは病院で嫌な検査をされることと結びついていたので、生前はできなくて……」

◆ペットロスの苦しみを癒した「不思議な出来事」

愛猫を亡くした苦しみは、どれだけ時が経っても癒えにくいもの。しかし、あちゅ420さんは自宅で不思議な経験をし、少しずつ前を向けるようになりました。

あいるくんが亡くなって、1週間後のこと。なぜか、いつも外を見ていた場所に黒い毛の塊が落ちていたり、オイルヒーターの前に大好きだったネズミのおもちゃが落ちていたりしました。

「まだ私の傍にいてくれている…。そう思い、少しずつ寂しさから解放されていきました。きっとまた生まれ変わって、私のもとに帰ってくると信じ、前に進んでいこうと思えるようになってきたんです」

その後、あちゅ420さんは繁殖現場から引退したノルウェージャンフォレストキャットのむーちゃんを家族に迎え、新しい命とも真剣に向き合っています。

「精一杯生きていたあいるを見て、私も力強く生きないといけないと思った。これから先もずっと、あの子はかけがえのない宝物。短い生涯ではあったけれど、私のところに来てくれてありがとうの気持ちでいっぱいです」

なお、自身の経験を通し、さまざまな事情から緩和ケアを行っている飼い主さんに対して、その子が大好きなことや好奇心が刺激されそうなものを見つけてあげてほしいとアドバイス。

「充実した毎日を過ごせると飼い主側も思いやりの気持ちが持て、愛猫と幸せを共有できる。ただ、辛いときや泣きたいときには思い切り泣いてもいいと思います」

大好きでたまらない愛猫に飼い主がしてあげられる、最良のターミナルケア。それは、“最期まで共に生き抜くこと”なのかもしれません。

<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>

【古川諭香】

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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