小さなセクハラ事件で植え付けられた「自分も悪い」という間違った感覚

女子SPA!

 恋愛ジャーナリストのおおしまりえです。

◆「女性は性的な目で見られて当たり前」と諦めていた

ここ数年で変わりつつある、性に対する考え方。その変化や女性の権利について、助産師のシオリーヌさんに3回に渡りお話を聞きました。

このテーマを扱うきっかけは、昭和生まれの私に根付く「性の常識」が古いのではないかという疑問からでした。きちんとした性教育を受け、自分の権利を知り、そして性的搾取やセクハラにはNOを発していい。そんな当たり前のことが当たり前ではなかったのです。

なぜ、「女性は性的な目で見られても仕方がない。我慢して穏便に対処するのが正しい」という誤った“常識”を持ってしまったのか。過去を振り返ると、幼少の頃のある事件が思い出されます。

◆子どもの頃のセクハラ事件を思い出す

事件なんて物騒な言い方をしましたが、私が小学校1~2年生の時に起きた小さなセクハラ事件のことです。

その日、自宅から徒歩数分の距離にあるピアノ教室に向かっていました。季節は冬で、数日前に降った雪が道端に少し残っているような、とても寒い日でした。教室は大通りから1本入った人気のない住宅街にありましたが、いつも歩いているし昼間ということもあり、その日も危険だと思わず1人でスタスタと向かっていました。

慣れ親しんだその道を1人で歩いていた時、20代中頃のお兄さんに声をかけられました。

「街中で出会った人や建物の撮影をしているから、きみの写真も撮らせて欲しい」

そんな風に説明され一瞬緊張したものの了承し、知らない人の家をバックに、直立不動でカメラにおさまりました。

何枚かシャッターを切った後、お兄さんは「ニコッと首をかしげてほしい」「体育座りになって」とポーズの指定をしてきました。次第に「体育座りした足を左右に開いて欲しい」と、さらに細かくポーズ指定をしてきたのです。

そのポーズを取ることで、私の足の隙間からは下着が見えしてしまいます。この時点でおかしさと恐怖でいっぱいなのですが、断ると相手の態度が変わる不安もあったため、「もう行かないとピアノに遅れる」などと言い、ヘラヘラしながら穏便にその場を後にしました。

今思えば変質者との遭遇であることが明らかですが、当時はその男性が悪い人なのか判断もできず、ただただ怖かったことを覚えています。

◆「気をつけていない自分が悪い」という呪い

教室から帰ってすぐに、今日起きた出来事を母親に報告しました。料理をしながら聞いていた母から返ってきた言葉は、「気をつけなさい」「知らない人と話しちゃダメって言ったでしょ」といったもので、私の気持ちに寄り添ってくれるものではありませんでした。

そもそも我が家は比較的、何かあると「自分でちゃんとしなさい」「しっかりしてないあなたが悪い」と叱られることが多く、当時も「私が悪かったんだ。次は気をつけなくちゃ」と、何の疑問も持たずに終わりました。

でも改めて考えると、変質者に遭遇した責任を小学校低学年に求めるのはナンセンスだし、警察に通報して地域巡回を強化してもらってもいい話です。そんな大ごとでなくとも、「習い事にはしばらく親がついて行く」などの助けがあっても良かったはずです。

その時の親を責める気持ちはありませんが、こうした些細な「自己責任論」の刷り込みが溜まっていった結果、女性の権利への誤った認知へとつながっていたのでは…と、今回の取材を通じて自分を振り返ったのでした。

◆性への疑問を見逃さないで

シオリーヌさんは、もし性への疑問を持ったなら、自分を勇気づけるコンテンツに触れることから始めて欲しいと話していました。

私はまだまだ「女性の権利を大きな声で主張していこう!」といった気持ちにはなれません。とはいえ、自分を殺して男性に合わせて恋愛や性行為に及んだ結果、苦しさを感じるのなら、それは心と体がおかしさを感じている証拠だと思います。自分のためにも、そのサインを見逃さないであげてください。

男女の関係性も性に対する考え方も、どんどん変わっていく時代です。どうかその流れに無理せず乗りながら、自分の中に居座る“呪い”を、自分で少しずつ解いていきたいものです。

<取材・文・イラスト/おおしまりえ>

【おおしまりえ】

水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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