磯村勇斗、「どうしても出たかった」運命的な作品との出会い<『ヤクザと家族 The Family』公開記念インタビュー>

 

俳優の磯村勇斗さんが、1月29日(金)より全国公開される映画『ヤクザと家族 The Family』に出演しています。

『ヤクザと家族 The Family』は、第43回日本アカデミー賞主要3冠に輝いた『新聞記者』の制作スタッフが再集結した作品。

父親を覚せい剤で失い、その日暮らしの生活を送っていた山本賢治(綾野剛)が、柴咲組組長・柴咲博(舘ひろし)の危機を救ったことから、ヤクザの世界へ足を踏み入れる物語。現代ヤクザの実像を3つの時代の流れと共に描いています。磯村さんは、幼い頃から山本に憧れ、慕う翼を演じました。

 

めるもでは、磯村さんにインタビューを実施、作品に懸ける思いを聞いてまいりました!

 

 

――『ヤクザと家族 The Family』の出演が決まったときは、どのような気持ちでしたか?

磯村勇斗:ものすごく喜びました。最初、自分が翼役の候補に上がっていると聞いて、それをふまえて、藤井監督と面談をしたんです。藤井監督にお会いする前、台本を読んで、翼は柴咲組やケン兄が残すものをつなげていく、大事な役どころだなと思っていました。高い壁がある難しい役だけど、すごくやりたいという気持ちだったので、熱意をそのまま監督にぶつけました。結果、翼役に選んでもらったので、ものすごくうれしかったです。

 

――台本に、かなり魅せられたんですね。

磯村勇斗:全盛期から衰退していくヤクザのストーリーが主軸にありながら、家族にフォーカスをあてた作品だったので、ヤクザ映画なのにものすごく温かくて、ヤクザもひとりの人間だと感じたのが魅力でした。それに、翼という役は、自分にとってやるべき役だ、という使命感や運命的なものを感じたんです。

 

――運命的に理由を足すなら、どういうところでしょうか?

磯村勇斗:ロケ場所が自分の地元であることも大きかったです。静岡の沼津、富士とピンポイントで撮るロケ地はなかなかないので、すごく運命を感じました。あと自分が成長できるというか……何か自分を崩せる、崩してもらえる作品に出会いたいと思っていた時期だったので、まさにこの作品だ、と思いました。藤井さんと綾野さんのタッグ(という魅力)で、骨太な映画を一度経験したいという思いがあったので。

 

――磯村さんの新たな魅力が開花した翼役ですが、現場に入る前、資料など役作りで参考にしたものはありますか?

磯村勇斗:翼は半グレ集団の一員なので、半グレについてはいろいろ調べました。事前にいただいた資料を読んだり、半グレの人たちの人生などを調べたり。ですが、現場では綾野さんが作る空気感や、藤井さんの現場で作りだす空気感をただただ感じていました。

 

――翼はどんな人間だと受け止めていたんですか?

磯村勇斗:翼は今生きている場所をすごく大事にしていて、そこでしか生きていけない儚さもある中で、強く生きている人。横のつながりの仲間たちも大事にしていますし、心はすごく繊細でクレバーだなと思いました。ケン兄(綾野扮する)とか柴咲組が自分に対していろいろ愛をくれたことへの感謝も持っている、けど、ヤクザをいいと思っているわけでもなく、否定するにもできないような関係値で。複雑な思いをたくさん抱えながら、ヤクザや町の変化など、いろいろな時代を見てきたんですよね。

 

――磯村さんのファースト・カットでは、肉体美があらわになっています。内面以外に、トレーニングなどもされて臨んだ?

磯村勇斗:そうですね。自分の人生で初めて、減量しながら、増やしながら、すごく無茶な体作りをしていました。あのシーンで、ちゃんと体を見せておけば、翼のキャラクターが見えると思ったので、説得力を出すためにも体作りはしましたね。監督からも、「こんなイメージで作ってほしい」と事前に画像を見せられていたので、しっかり取り組みました。監督からOKの体にはなったので、よかったです。

 

――名だたる俳優陣が出演されているのも本作の魅力です。共演した皆さんからの刺激なども、ありましたか?

磯村勇斗:刺激、たくさんありました。特にケン兄の綾野さんとは同じシーンが多かったので、綾野さんの主演としての立ち居振る舞いをずっと感じていました。ケン兄として存在してくれている姿勢は、やっぱりすごく魅力的でした。役について、シーンについて、剛さんと話し合うとかはなくて、剛さんが芝居のテイストを変えてきたら、自分はしっかりついていこうという思いで臨んでいたんです。その変化に合わせられるかが、ひとつの課題であり、楽しみでした。ふたりのシーン以外でも、剛さんから「翼としてはこう動いたらどうかな?」というアドバイスをもらったりしたことも。翼のこともすごく考えてくださっているんだなと思って、それがケン兄の姿に重なって、すごくいい関係値が築けたのかなと思いました。何かを教えてもらうより「感じ取ってくれ」というスタイルで、いろいろと受け取らせてもらった感じです。

基本シリアスなシーンばかりなので、「面白いエピソードがこんなにあるんです」というお話はあまりなくて……、特に加藤組の豊原(功補)さんなんて、ずっと怒っていましたから(笑)。オフのときは全然違いますけど、本番に入ると、本当に「どっちが先に目線を外すのか」みたいな空気感で、圧はすごく強かったです。一緒に気持ちを乗せていただいて、ずっとピリピリした空気の中で演じていました。

 

――本作は、スターサンズ、KADOKAWAの配給ではありますが、テイスト的に80年代の東映のヤクザ映画を想起するようでもあります。磯村さんは、もともと漢気質な作品は好きでしたか? もしくは、出演してみたいという気持ちはありましたか?

磯村勇斗:そうですね! 昭和の仁侠映画とか、すごく好きです。今の時代とはまったく違う描き方をしていますし、格好よさというか、渋さが今とは違いますよね。当時の菅原文太さん、松方弘樹さんのような感じに、僕はなれないだろうな……とは思いつつ。「本当にこういう人いるんじゃないか」というくらい説得力があるので、男としては憧れを抱くというか、「格好いいな、スターだなあ」と思いますね。だから、こうした現代の『ヤクザと家族 The Family』のような映画には出たいなと、ずっと思っていました。

 

――本作で舘さんは43年ぶりのヤクザ役だったそうです。スクリーンでご覧になって、受けた感銘はありますか?

磯村勇斗:舘さんは本当に華がありますよね。ヤクザ全盛期の頃はやさしさも色気もあって、人情あふれる組長で。衰退して年を取っていく頃は、お芝居ですけど、ものすごく哀しみを醸し出していて、すごく説得力がありました。最初の笑顔と最後の笑顔は、同じ人なのに全然違って……その演じ分けは、本当に素敵だなと思って観ていました。

 

――ところで、タイトルにかけて、最近の“家族”エピソードを何かひとつ、教えてもらえますか?

磯村勇斗:自分が監督した『機械仕掛けの君』(※アクターズ・ショート・フィルム)の現場に兄も参加してもらいました。兄もこっちの裏方仕事をしているので、ちょっと現場を見てもらおうかな、と。仕事の現場では初でしたけど、いずれはふたりで何かを作りたいな、と思っていますね。気を遣わないでいいですし、相談もすぐできるから、いいなあと思います。

 

――素敵ですね。本日聞かせていただいたお話は、「めるも」という趣味女子メディアで掲載されます。最後に、磯村さんの最近の趣味もお願いします。

磯村勇斗:趣味、趣味……。変わらず、サウナしかないかもしれない……。

 

――役作りで、いろいろやったりしますよね。それきっかけで趣味へと開眼、とかはないですか?

磯村勇斗:サウナくらいしか、ないかな? 役でやる準備だと「習得しなくてはいけない」という思いで始めるので、楽しくはないんですよ(笑)。もがき苦しみながら短期間でやるので、ハマらない(笑)。ちょっと置いておきたくなっちゃうんです。自分のペースで好きな時間に好きにやるほうが、趣味になるのかなと思います。なので、新しい趣味、募集中です。(取材・文:赤山恭子、写真:齊藤幸子/スタイリスト:齋藤良介、ヘアメイク:佐藤友勝)

 

 

映画『ヤクザと家族 The Family』は、2021年1月29日(金)より全国ロードショー。

キャスト:綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗 ほか
監督・脚本:藤井道人
公式サイト:yakuzatokazoku.com
(C)2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

WRITER

  • 赤山恭子
  •        

  • エンタメ雑誌編集部に勤務後、ハリウッド映画の版権を買い付け日本国内で販売するディストリビューターを経て、フリーの映画/エンタメライターに。現在は、監督・俳優のインタビューを中心に、現場取材、映画紹介コーナーほかも担当。相手の心に寄り添い、時に突っ込みながら深めてゆくインタビューが持ち味。

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