Uber Eats、謎の“電飾バッグ集団”の正体とは?「配達員生活を楽しみたい」

日刊SPA!

 コロナ禍で一気に注目度が上がったUber Eats。コロナ失業の煽りで配達員が激増し、2020年は何かと話題になった。街にあふれかえる配達員たちの中でも、ひときわ目立つ集団がいる。その名は「Uber電飾部」。彼らの活動内容はただひとつ、「光って配達する」だけだ。

配達バッグ(通称ウバッグ)や自転車本体を電飾で飾り付け走る姿は、まるで動くイルミネーション、さながらデコトラのようでもある。彼らは何者で、なぜバッグを光らせようと思ったのか。謎に満ちたUber電飾部に突撃取材した。

◆LEDに電光ディスプレイ…電飾に命を燃やす男たち

「僕がUber Eatsを始めた頃はロゴ無しのウバッグが主流でした。ロゴ付きのバッグへ憧れを持っていた時に、Twitterで自転車のホイールを光らせている配達員を見かけたんです。無地のウバッグに光るロゴを取り付けたら、おもしろいし宣伝になるのでは? と思ったのがきっかけです」

そう語るのは、Uber電飾部のメンバーであるぽち男さん(Twitter:@UberYase_POCHIO)。配達員を始めたばかりの頃はUber Eatsの知名度が低く、「まずは街中でサービスを知ってもらおう」とバッグの電飾を始めたそうだ。

「京都では僕を含めて主に3人が電飾部として稼働しています。今は横浜、名古屋、大阪にもそれぞれ電飾ウバッグを使っている人がいて、2019年には『電飾部サミット』というオフ会も開催しました。最初に電飾バッグを始めたのは誰なのかも議論に上がって、『日本で初めて光り始めたのは京都の人だ』と結論が出ました」

電飾バッグの元祖と呼ばれている人物に取材を申し込んだものの、残念ながら返事は返ってこなかった。

◆制作費は1500円程度

電飾のデザインや作り方は人それぞれこだわりがあり、LEDバーや電光ディスプレイを通販サイトで購入し取り付けている配達員もいる。ぽち男さんの場合はLEDテープを使用しているそうだ。

「意外と驚かれるんですが、僕はかなり不器用なんです。ただ構想を練るのが好きなので、試しに作ってみたらそこそこの出来栄えになりました。電飾のために電動ドライバーやラミネーターも購入し、自分で考えながらオリジナルの電飾を作っています。今使っているバッグだと、制作費は1500円くらい。3~4時間ほどで完成しました」

電飾バッグで配達していると、信号待ちの時に車やバイクのドライバーからよく声をかけられるという。昨年から配達員へのチップ制度が導入されたUber Eats。電飾バッグのおかげでチップ率が上がった……なんてエピソードはあるのだろうか。

◆電飾バッグでチップは貰える?

ぽち男さんの影響で配達バッグのデコレーションを始めた配達員のアタさん(Twitter:@aqaclo)はこう語る。

「お店や注文者さんからのgood評価の推移をチェックしていた時期があったのですが、デコウバッグ(※デコレーションされた配達バッグ)を新調した時は、お店からのgood評価に大きく動きがありました。デコウバッグを使っているからチップがよく貰える、とは感じません。バッグを見て話しかけてくれた注文者さんからチップが入ると、『バッグのおかげだったのかな』と思うことはあります」

報酬には直接影響していない様子のUber電飾部の活動。

しかしコミュニケーションやUber Eatsの宣伝にはやはり効果絶大のようだ。

「お店や注文者さんは『可愛いですね』『作ったんですか?』など、明確に話しかける形で反応してくれます。それがきっかけで少しだけ会話したり、配達のことを色々聞かれたりしますね。街中での移動中や待機中は、グループ行動している人たちが『ねぇ、あれ光ってるよ!!』と反応してくれることが多いです。その時は笑顔で会釈しています。小さなお子さんには手を振ったりしていますよ。配達員と街の人はコミュニケーションの機会がほとんど無いので、とても楽しいです」

通行人から「写真撮ってもいいですか?」と声をかけられることも多く、快く応じているという。

夜に光ることから安全面でも役立ち、事故防止にも繋がっている。自分たちが目立つことで配達員の交通マナーや意識を高める目的もあるそうだ。

配達員生活を楽しむため、電飾以外でも工夫しているというアタさん。あれこれ試した末に、迅速かつ安全な配達がいちばんのサービスだと感じているらしい。

「置き配で商品の下にペーパーを敷いたり、配達開始時に注文者さんへメッセージを送ったりしていましたが、いらないサービスだなと感じたものは無くしていきました。あとは、『ありがとう』をたくさん伝えるように心がけています。お店で注文番号だけ伝えて、無言で商品を受け取っていく配達員を見かけることもあります。店員さんも人間なので、そんな態度では気持ちよくないはずです。感謝されて嫌がる人はあまりいないので、『ありがとう』を挟み込めるところにはどんどんぶち込んでいます」

◆急増するギグワーカー。ベテラン配達員たちはどう動く?

Uber Eatsや出前館といった既存のサービスに加え、2020年には「DiDi food」「menu」など新規のフードデリバリーサービスが登場。他サービスとの配達員掛け持ちを許可している企業もあり、コロナ不況も相まって今年はますますギグワーカー(※インターネット上のサービスを介して単発の仕事を請け負う労働者)が増えると予想される。

既にエリアによっては注文者より配達員が多くなっている状況下で、Uber電飾部の彼らに今後の展望を語ってもらった。

「コロナ禍で配達員も増えているので、これからUber Eatsで稼げるか分かりませんが……心にゆとりを持って、交通ルールをしっかり守った走りをすれば、Uber Eatsの好感度も上がって注文が増え、報酬に還元されるのでは? と考えています」(ぽち男さん)

「Uber以外のギグワークも増える流れにありますし、コロナの影響でギグワーカーが増える流れも続くと思います。私は今、ほぼ専業で配達員をやっていますが……今後いつまで続けるか、副業としてやり続けるかなど、よく考えてギグワークとうまく付き合っていきたいです。まず自分が楽しみ、そして周りに楽しんでもらうことでモチベーションを維持しつつ、ピカピカ目立って安全に無事故で配達したいです」(アタさん)

Uber Eats全体のサービス向上を目指し、今日も光り続けるUber電飾部たち。彼らの活動をきっかけに交通マナーの悪い配達員が減るのを願うばかりだ。<取材・文/倉本菜生>

【倉本菜生】

福岡県出身。フリーライター。龍谷大学大学院在籍中。キャバ嬢・ホステスとして11年勤務。コスプレやポールダンスなど、サブカル・アングラ文化にも精通。Twitter:@0ElectricSheep0

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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