新型コロナウイルス感染症・インフルエンザ・風邪の“違い”と見分け方【医師が解説】

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新型コロナウイルス感染症の拡大……症状から判断することは可能?

ウイルスは増殖過程で変異を起こすことがあります。新型コロナウイルスも昨年12月にイギリス、南アフリカで変異ウイルスが確認され、感染力が強くなっていると報告されました。新型コロナウイルスの流行は今なお拡大しております。今、発熱や咳症状が起こった場合、既存の風邪やインフルエンザの症状と、どう見分ければよいのでしょうか?

新型コロナ・インフルエンザ・風邪、それぞれの主な症状と特徴

新型コロナウイルスとインフルエンザ、風邪、それぞれの特徴を解説します。

◆ 新型コロナウイルス感染症の主な症状・特徴
新型コロナウイルスは、風邪の原因にもなる多くのコロナウイルスとは異なり、重症の肺炎を起こしやすく、死に至ることもあるウイルスです。症状がひどくなると、息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(全身倦怠感)、高熱等を起こします。

しかし軽症の場合は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱などの風邪症状に似た症状のみのことも多いようです。特徴としてよく味覚障害、嗅覚障害が挙げられますが、頻度としては多くはないようです。また、これらの症状は同じように出るわけでなく、いずれかの症状が出たり出なかったりすることもあり、無症状者も多くいると考えられています。

◆ インフルエンザの主な症状・特徴
インフルエンザは普通の風邪とは異なり、突然高熱が出るなど症状の起こり方が急激であることが多いです。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、高熱、全身倦怠感、筋肉痛があります。高齢者の場合は肺炎を合併するリスク、幼児から学童ではインフルエンザ脳症を起こすケースがあります。

◆ よくある風邪の主な症状・特徴
よくある風邪の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱などです。発熱期間や発熱の程度はインフルエンザより軽いとされています。

新型コロナ・インフルエンザ・風邪の違い……症状のみでの見分け方はない

上記の通り、新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスも風邪を引き起こす多くのウイルスも、気道に感染するため、その症状は似ています。特に初期症状だけで見分けることは難しいでしょう。

新型コロナウイルスにより嗅覚障害、味覚障害が起こることが報告されていますが、これらの症状がインフルエンザで起こることもあります。ただ、インフルエンザで嗅覚障害、味覚障害が見られることが多いのは高熱時ですが、新型コロナウイルスの場合は軽症例でこれらの症状が見られるようです。

新型コロナウイルスが嗅覚神経に何らかの炎症などを起こしている可能性が考えられています。欧米では味覚障害、嗅覚障害は新型コロナウイルスの初期・軽症の症状の一つとして考えられていますが、欧米人と比較すると日本人には少ないという報告もあるため、症状だけで、新型コロナかインフルエンザか風邪かを見極めるのはやはりかなり難しいといえるでしょう。

突然の高熱・咳などの呼吸器症状……今、疑うべきは新型コロナ

インフルエンザは風邪よりもひどいことが多く、新型コロナウイルスに似た症状が起こりますが、今期はインフルエンザの患者数が非常に少ないです。

厚生労働省によると、2019年の16週間のインフルエンザの総患者数は、全国で32万8125人(2019年9月2日・第36週から12月22日・第51週)でしたが、今期は同期間の総患者数は、全国でわずか453人でした(2020年8月31日・第36週から12月20日・第51週)。32万人強が500人以下になったわけですから、非常に少ないことが判ります。

そのため、この時期に高熱、咳などのインフルエンザのときに経験したような呼吸器症状があれば、今期はインフルエンザよりも新型コロナウイルス感染症が疑われると考えた方がよいでしょう。

急な発熱や咳症状が出たら……新型コロナを疑い感染させない対策を

特に成人の場合、今期のようにインフルエンザの流行が少ない状況で急な発熱や咳症状があれば、新型コロナウイルスが疑われます。もちろん、ある程度の割合で、風邪もあるでしょう。例年も冬の高熱がすべてインフルエンザではなかったのですから、急な発熱や咳症状が、すべて新型コロナウイルスとは言い切れません。

そして新型コロナウイルスは80%が軽症です。糖尿病などの基礎疾患がなく、呼吸困難、高熱でない場合は、自然に治癒する可能性があります。また、10才未満の子どもでは、新型コロナウイルス感染者も少なく、クラスター発生も少ない状況です。子どもの発熱や咳症状は風邪の方を疑います。

とは言え、現在は全国的に新型コロナウイルスが急速に感染拡大している時期です。症状だけで自己判断することは不可能ですので、無症状者、軽症者が多いことを念頭に、人にうつさない行動をしっかり工夫して過ごすようにしましょう。

◆ 清益 功浩プロフィール
小児科医・アレルギー専門医。京都大学医学部卒業後、日本赤十字社和歌山医療センター、京都医療センターなどを経て、大阪府済生会中津病院にて小児科診療に従事。論文発表・学会報告多数。診察室に留まらず多くの方に正確な医療情報を届けたいと、インターネットやテレビ、書籍などでも数多くの情報発信を行っている。
(文:清益 功浩(医師))

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