具体性を剥ぎ取られて抽象化された新しいトーキョーのランドスケープ。鳥居洋介 写真展『scéne』

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[caption id="attachment_102409" align="alignnone" width="650"] HyperFocal: 0[/caption]鳥居洋介 , TOKYO#004 , 2020

COVID-19は、ありとあらゆるものを変えた。例えば写真家といった、ものを作る人たちは、その制作手法を含め、作品自体を捉え直すことになった。鳥居洋介は、バンドのBO NINGENに密着した処女作『BO』を始め、人物のポートレート写真をメインに撮ってきた写真 家だ。だからこそ、人を被写体にしづらくなったコロナ禍において、何を撮るのかということについて思惟したことは想像に難くない。展示されている写真を撮影したきっかけは、コンタクトレンズを外してみたことだという。目の悪い写真家が裸眼で見た、東京の街並み。映るのは、ぼんやりと不鮮明な都市の風景だ。そのとき、あまり好きじゃなかったという東京が、そんなに悪くもないな ...くらいの印象に変わったそうだ。東京には、良くも悪くも強いイメージがついて回る。例えば、多くの人々の欲望が投影され、スクラップアンドビルドを繰り返す東京というイメージ。例えば、交通網が巨大かつ複雑に発達し、場所から場所へとスピーディに移動できる東京というイメージ。そのイメージは、逃れられない先入観と言ってもいいだろう。ここにある写真は、鳥居のカメラによって、具体性を剥ぎ取られて抽象化された先入観なしの新しいトーキョーだ。それは、異邦人...いわば外部の視点を借りて見る、東京のようなものかもしれない。先入観なしで、事象を見ることはとても難しい。でも、そこに抗わずして、本当の意味で物事を“見る”ことはできない。意味や場所性から解放された、このランドスケープ写真を前にして、あなたは何を見て、何を感じるだろうか。

[caption id="attachment_102410" align="alignnone" width="650"]

HyperFocal: 0[/caption]鳥居洋介 , TOKYO#006 , 2020

鳥居洋介「Scéne」会場 : 441 住所 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-12-1 マハール表参道ビル1F 会期 2021年1月15日(金)~23日(土) 営業時間 12:00 ~19:00 (23日のみ12:00 ~18:00) レセプションパーティー 1月15日(金)18:00~21:00 入場料 無料

鳥居洋介 Yosuke Torii1979年、愛知生まれ。東京在住。国内外問わず数多くのアーティストの ポートレート撮影を中心に幅広い媒体で活躍。 2016年、ロンドンを拠点に活動する日本人4人組サイケデリックロックバンド「BO NINGEN」のUKでの日常生活やツアーに密着しまとめあげた写真集「BO」を発表。www.yosuketorii.com

当記事はNeoLの提供記事です。

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