Uber Eats配達員、岡山名物の「カキオコ」に舌鼓

日刊SPA!

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

僕は普段、日雇い派遣などの仕事で稼ぎつつ、時間を見つけてはタイなどの東南アジアを中心に旅してきた。この状況では海外旅行には行けそうにないが、日本国内ならば比較的自由に動けるようになってきている。旅がしたい。でも、社会の底辺で生きる僕にはお金がない。そこで「Uber Eats」の配達で稼ぎながら国内を自転車で旅するという方法をとることにしたのである。

◆倉敷美観地区を観光

旅に出て72日目、僕は岡山市から倉敷に向かった。その距離はわずか約19キロだったので、自転車でのんびりと走って2時間弱で到着した。宿は倉敷美観地区に位置する「ホステルクオーレ倉敷」というところを予約していた。が、チェックインの時間にはまだ早すぎたので、先に荷物だけを預けて美観地区を観光することにした。

深緑色の水を湛える掘割りに沿って柳が植えられていた。その周囲を取り囲むようにして軒を連ねる瓦屋根の屋敷はその真っ白な壁で空の水色との鮮やかなコントラストを成している。ときおりびゅうッと吹き付ける冷たい風は柳の葉を揺らし、掘割りの水面にさざなみを立てた。

しばらくその通りを歩いていると、「倉敷デニムストリート」という暖簾の掛かった路地が目についたので入ってみることにした。その名のとおり、デニムの店が数軒並んでいる。ある一軒の軒先でデニムまんという青い色の中華まんが売っていたので、試しに1個買って食べてみた。が、生地が青いだけで、味はふつうの肉まんだった。

そのあとは手作り感溢れるお化け屋敷に入ったり、高台にある阿智神社から倉敷の街並みを眺めたりとたっぷりと観光を楽しんでからゲストハウスに戻った。

◆Uber Eats配達員をひとりも見かけない

73日目。ウーバーの配達を開始。が、ここで懸念事項がひとつ。ウーバーの配達アプリで倉敷エリアの売上予測が出てこないのである。倉敷に来てからまだ一度もウーバーの配達員を見かけていないということもあり、ここは本当にウーバーの配達エリアなのかと不安になってくる。

とりあえず倉敷駅のほうに向かって自転車を走らせた。すると、昼近くになってようやく最初の配達リクエストが入る。その後もパラパラとリクエストは入り、なんとか他のエリアと同じくらいに稼ぐことができた。

◆牡蠣のお好み焼きに舌鼓を打つ

74日目。倉敷には3泊だけの滞在なのでこの日が倉敷滞在最終日である。倉敷は牡蠣のお好み焼き(通称カキオコ)が美味しいと聞いていたので、最後に食べておこうと思った。配達の合間に一軒のお好み焼き屋に入った。

「今ではカキオコという呼び方が一般的になってるけど、うちの店では牡蠣玉焼って呼んでるのよ」

店のおばちゃんがそんなうんちくを語りながらカウンターの鉄板で慣れた手つきで焼いてくれる。丸くした生地の上に牡蠣をいくつも並べ、その上からさらに生地を被せる。そして焼き上がったカキオコはふわトロの生地とプリプリの牡蠣が絶妙にマッチしていた。

「美味しいです!」

「あなたはどこから来たの?」

「東京からです」

「あら、やだ。怖い。……ふふッ、冗談よ」

話しやすいおばちゃんだったので、カキオコを食べ終わったあともしばらく世間話に興じた。僕が東京から自転車で旅していることなども話した。

「倉敷はとてもいいところよ。東京からこっちに移住したらいいのに」

「それも悪くないですねえ……」

◆配達を再開

店を出て配達を再開した。寒さはさらに厳しくなっていた。自転車で適当に走っていると、しばらくして配達リクエストが入る。手袋を外し、寒さでじんじんと痺れる指先で配達アプリの画面をタップした。

【72日目】

<支出>

食費:2435円

お化け屋敷:300円

宿泊費3泊分:6910円

合計:9645円

<収入>

0円

残金:2万3038円

【73日目】

<支出>

食費:1129円

洗濯:400円

合計:1529円

<収入>

4982円

残金:2万6491円

【74日目】

<支出>

食費:1252円

<収入>

4761円

残金:3万円

<取材・文/小林ていじ>

―[40代日雇い男「Uber Eats」自転車出稼ぎ旅【東京発沖縄行】]―

【小林ていじ】

バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeで「ていじの世界散歩」を検索。

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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