三石琴乃「昔の自分のモノマネはしたくない」 常にピュアな気持ちで臨むセーラームーン/月野うさぎ役

 「声優として今も仕事ができているのは、この作品とセーラームーン/月野うさぎという役に出会えたからです」。1990年代に社会現象を巻き起こした「美少女戦士セーラームーン」への思いについてそう言葉にするのは、声優の三石琴乃だ。数々の作品を声で彩る彼女が「美少女戦士セーラームーン」から得たものとは。1月8日から公開される劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》の見どころと併せて、語ってもらった。

原作でも人気の高いエピソードである4期「デッド・ムーン編」が展開される本作。前編では、「自分は一人前の戦士になれたのか」と悩みながらも、エリオスを助けたいと強く思うちびうさの姿、また、スーパーセーラーマーキュリー、スーパーセーラーマーズ、スーパーセーラージュピター、スーパーセーラーヴィーナス、4人のセーラー戦士が新たな敵と対峙し、苦難を乗り越え成長する様をメインに描く。

■「うさぎちゃんはママになってもおばあちゃんになっても“うさぎちゃん”」

本作の映像を見た三石が印象に残っているシーンとして挙げたのは、「4人のセーラー戦士たちの葛藤と成長」、そして、「ちびうさとエリオスの恋」。2人の恋については特に、「生意気だったちびうさが、頬を赤らめて乙女の表情をしているところが見どころです!」と、語気を強める。また、本作に登場する少々癖の強い敵“アマゾン・トリオ”については、「(演じる3人が)ツボを心得られていて、楽しそうに演じていらっしゃるのが印象的でした」と絶賛。セーラー戦士たちと対峙する“アマゾネス・カルテット”の芝居についても、「小生意気な感じがかわいかった。活きが良くて最高でしたね!」と太鼓判を押した。

自身が演じる月野うさぎについては、「ちびうさちゃんと体が入れ替わってしまうシーンで、小さい姿でもうさぎがまもちゃん(地場衛)としっかり会話するんです。そこがかわいいシーンですよね」と見どころを挙げる。数々の戦いを経て、セーラー戦士として強くなったうさぎ。今作では高校に進学しており、年齢的にもステップアップしている。しかしながら、演じるうえでは「あまり大人っぽくならないこと」を大前提にしているという。その理由を「恐らくうさぎちゃんはママになってもおばあちゃんになっても、時代が令和になっても、きっと“うさぎちゃん”で、それが彼女の魅力だから」と、笑顔で語った。

■「美少女戦士セーラームーン」で経験した「自分のセリフに、キャラクターの口パクが合わせてくれている」感覚

「美少女戦士セーラームーン」が最初にテレビアニメ化されたのは1992年。三石にとってはテレビアニメシリーズ初主演作であったことから、「プレッシャーは相当なものだった」と当時を振り返る。だからこそ、学んだことも多い。「周りの人から教えてもらいながら、助けてもらいながら一話、一話作り上げていきました」と、当時の心境を吐露。「声優はアニメーションの口パクに合わせて上手にセリフを入れていくのが仕事。ただ、「美少女戦士セーラームーン」の現場では、私のセリフに、キャラクターの口パクが合わせてくれているような、不思議な感覚を味わいました」と体験談を語る。続けて、「集中してのめり込めば、ブレスの位置やカットが変わるタイミングを自然と把握できる。声優業の面白さを再発見しました」と、技術面以外での気づきもあったことを、感慨深げに話した。

本作に繋がる、原作準拠のエピソードが描かれたアニメ「美少女戦士セーラームーンCrystal」の放送がスタートしたのは、2014年。10年以上の時を経て、再びうさぎをレギュラーで演じることになった三石だが、過去シリーズの芝居を参考にすることはないとのこと。「(昔の映像を観ることは)楽器で例えると、音のピッチを合わせる作業に近いかもしれませんが、昔の自分のモノマネはしたくないので。ピュアな気持ちで臨みました」と理由を語るその口調からは、芝居に対する熱い思いとプライドを感じた。

■新型コロナウイルスの影響でアフレコに役者が集まれないもどかしさも

そんな三石だからこそ、新型コロナウイルスの影響により、なかなかキャストが一堂に集まってアフレコできない現状に、もどかしさを感じている。まずは「役者が集まって、お互いのセリフを聞きながらアフレコすれば、その場で生まれるニュアンスがある。そのほうが断然、作品もいいものになると思います」と、率直な気持ちを吐露。続けて、「先輩の芝居が見られないのが辛いという話を後輩から聞いています。少人数のアフレコだと発見が少なくなるので、特にこれから色々と学んでいく新人さんたちが大変ですね……」と現状を憂い、「2021年はみんなが日の光を浴びられるよう、明るい年になったらいいな」という願いも言葉にした。

インタビューの最後に、本作のテーマにも通ずる「夢」について聞くと、こう返ってきた。

「おばあちゃんになるまで、元気でこの仕事が続けられればいいなと思っています。そういう意味では、まだ夢の途中ですね」。

原点を忘れずに、でも過去の自分の芝居に引っ張られないように。そして集中して演じ、芝居を楽しむ。そんなピュアな気持ちを持つ声優・三石琴乃の芝居が、セーラームーン/月野うさぎというキャラクターの魅力をさらに引き出していることは疑う余地がないだろう。(取材・文:M.TOKU 写真:松林満美)

劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」《前編》は1月8日全国公開。

当記事はクランクイン!の提供記事です。

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