『アーヤと魔女』求められたのはラフでやんちゃなサウンドトラック

歌手のシェリナ・ムナフさん、作品の感想、そして宮崎吾朗監督との仕事について語る、『アーヤと魔女』武部聡志さんインタビュー後編。ロックサウンドとジブリアニメの融合はいかなるものか、期待は高まるばかりだ。

――歌のボーカルは、インドネシアのシンガーソングライター・俳優のシェリナ・ムナフさんが務めていらっしゃいますね。

武部 そうです。日本まで来ていただいての録音だったのですが、日本語も達者な気さくで素晴らしい方でした。

――吾朗監督と武部さんのお二人で、彼女にディレクションしたそうですが。

武部 はい。僕は歌入れの時の音楽的な部分、吾朗監督は「歌詞をもっとわかるように発音してほしい」「こういう表情で歌ってほしい」みたいな、キャラクターやストーリーに寄ったディレクションをしていました。

――吾朗監督のディレクションは、どちらかというと演技指導みたいですね。

武部 そうですね、歌も演技のひとつだ、という感じで。確かに声優さんに指示するのと同じような感覚でディレクションしていたと思います。

――ボーカリストとしてのシェリナさんはいかがでしたか。

武部 こちらが要求することを短時間でぱっとすぐに表現できる、音楽的な勘がいい人だなっていうのが第一印象でしたね。発音を直す部分もありましたが、日本語でちゃんと歌ってくれて、ピッチも素晴らしくよかった。

――さて、できあがった作品をご覧になっての感想は……。

武部 最初に抱いたアーヤのイメージは、もっとずる賢くて、大人をだまくらかして魔法を教えてもらう、こまっしゃくれた感じだったんですが、本編を見ると本当にアーヤが可愛くて。あと、作画の方だったり声優さんだったりの力がすごく大きいと思うのですが、それぞれのキャラクター像が人間味あふれる、いいバランスに仕上がっていたと思います。

――吾朗監督とは約10年のお付き合いになると思いますが、一緒に作品を作るパートナーとしてどのような印象を持たれていますか。

武部 『コクリコ坂から』の時からそうなんですが、僕の作る音楽はフィルムスコアリング(映像に合わせて作曲すること)ではないんです。他のいわゆる劇伴作家の方は、その辺りをもっと綿密に作っていくんでしょうが、おそらく僕の曲は思いついたアイディアをどんどん形にしていく、ある意味ラフな作りになっていると思うんです。

それなのに、吾朗監督はよく付き合ってくださっているな、という感じもあります(笑)。もしかしたら、映像にぴったりフィットする音楽ではなく、ちょっと違和感や物足りなさがある部分を楽しんでいただいているのかもしれませんね。

――自分のフィルムにはそういう音楽が欲しいと考えている?

武部 ええ、久石譲さんのような綺麗なオーケストレーションではなく、もっとやんちゃな部分が欲しかったのではないかと思います。

(C)2020 NHK, NEP, Studio Ghibli

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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