『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』青木瞭インタビュー 新たな経験から生まれた演技アプローチ、未来への課題とは

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現在放送中の令和仮面ライダー第二弾となる特撮ドラマ『仮面ライダーセイバー』(テレビ朝日系)は、小説家・神山飛羽真(内藤秀一郎)ら“聖剣”で変身する仮面ライダーたちが、本の中の異世界“ワンダーワールド”に飛ばされた人々を救うため、戦う姿を描いた作品。12月18日(金)からは、『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』とともに『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』が全国の劇場で公開中だ。

主人公・神山飛羽真と、人知れず世界を守護してきた組織“ソードオブロゴス”に属する仮面ライダーたちが初めて6人揃って共闘する本作。若き仮面ライダーたちが、時に反目し、時に助け合いながら繰り広げるドラマも見どころのひとつだ。個性豊かなソードオブロゴスのメンバーの中でも“波乱”の中心となってきたのが、富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダである。演じた青木瞭(劇団4ドル50セント)は、ミュージカル・テニスの王子様3rdシーズンの手塚国光役から、いくつかのドラマ出演を経て、同役に抜擢。裏切り者の父親の存在や、みずからの“消失”の運命など、軽快な雰囲気の本作では異質とも言える重いドラマの中心を担う役柄を、青木はどう捉え、どう演じたのか。インタビューでじっくりと語ってくれた。

『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』 スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

“重い”役柄も「もっとシリアスになれば、もっといいシーンになる」

青木瞭 撮影=鈴木久美子
青木瞭 撮影=鈴木久美子

――撮影前、最初に脚本を読んだ際には、富加宮賢人/仮面ライダーエスパーダはどんな役柄だと思われましたか?

賢人はクールなんだろうな、ということは捉えられたんですが、そこに重いドラマが詰まっているとは最初は全くわかりませんでした。最初は、書いていただいた脚本の賢人を忠実に再現できるように、とは思っていました。5,6話あたりからだんだんと不穏な空気が漂ってきまして、そこから賢人の人となりがなんとなくわかってきて。重い運命を背負っているんだな、ということを理解できたのは、5話(第5章「我が友、雷の剣士につき。」)ですね。

――放送前の触れ込みで、「明るい雰囲気の作品」と聞いていたのですが、フタを開けてみると賢人まわりの話がやたら重いのでびっくりしました(笑)。周りの雰囲気とのギャップは感じませんでしたか?

ぼくは逆にこういった役が好きだったので、あまり気にはなりませんでした。自分だけダークな部分を抱えているのも面白いな、と。みんなが明るい雰囲気でやってくれる代わりに、ぼくがもっと落としこめばその差が出るので。もっとシリアスになれば、もっといいシーンになるんじゃないか? と思えたので、むしろやり易かったです。

――11話(第11章「乱れる雷、広がる暗雲。」)で電話(ガトライクフォン)が鳴って、シリアスな場に似つかわしくない着信音が流れるシーンがありますよね。あの状況で動じずに演じられていてすごいな、と思いまして(笑)。

あのシーンですね(笑)。賢人が並木道を歩いていると、電話がかかってくる。ぼくは、あの音が流れることは事前に知っていました。どこかのタイミングで「ガトリン!ガトリン!」という着信音を聞かせてもらっていましたので。ただ、あのシーンではポケットが意外に小さかったことのほうが大変でした。ぼくは手がすごく大きいので、なかなか抜けなくて……「カット」を3,4回出してしまいました。
青木瞭 撮影=鈴木久美子
青木瞭 撮影=鈴木久美子

――そんなことがあったんですね(笑)。賢人については、いくつかキーになる出来事が起こりますが、そういったポイントはどういうタイミングで知るんですか?

例えば、「父親が(現在の)仮面ライダーカリバーではない」と知ったのは、7,8話でアヴァロンにたどり着く頃です。演じて下さっている平山(浩行)さんを現場で見てからなんです。そこで初めて、「お父さんじゃなかったんだ」と。もちろん、台本を読んだときに情報としては知ってはいるんですけど、そこから現場に行って、平山さんにご挨拶させていただいて、一緒にお芝居をするときに初めて、「平山さんだったんだ!」となりました。

――最初からゴール地点がわかっているわけではないんですね。段階的に脚本を渡されるんですか?

そうですね。最初に渡されたのが1,2話ぶんで。1,2話(の撮影)が終わりそうになったら次の脚本をいただく、というようなことが多かったので、先に知っているということはまずなかったです。スタッフのみなさんも、わざと言わないようにしてくださっていたみたいです。展開は、直前に台本をいただいたときに知って、「こうなるんだ!」とびっくりするという感じです。

――それは、やりやすいんですか?

ぼくは、先に言われるよりもよかったです。もちろん、早めに言っていただけると自分で演技の構成も考えられると思うんですが、台本を見て、例えば、「このシーンを明後日撮影するから」と言われたほうが、急ピッチで「ここをやらなきゃ。いつもの感情を思い出して、台本を読み直して」と思えるので。工程が凝縮されるのがいいな、と思います。
青木瞭 撮影=鈴木久美子
青木瞭 撮影=鈴木久美子

――どうプランを立てて演じるんですか?

例えば、賢人が消失してしまうシーンを知ったのも、台本をいただいてからでした。TTFC(東映特撮ファンクラブ)に入っているので、配信されている1話から全部観直して、「この時はこういう感情で演じていた」というのを、一つひとつノートに箇条書きしていくんです。「ここではこういう感情だから、こういう仕草をやった。1,2話ではこういう仕草だった」というのを全部書き起こして、「これはやったことがないから、今度はこういう表情をやってみよう」と考えていくと、作りやすいと思いました。

――いつもそのやり方で演じているんですか?

今回はこういう(消失)シーンがあったからなので、初めてですね。自分の中ではこれがしっくりきたので、箇条書きという方法はわりとアリなのかな、と。

――賢人も含め、登場人物の多くが未熟というか、若いですよね。特に賢人は、周りに「デキる人」扱いされているんですが、実は一番モロい。そういうキャラクター性は意識されたのでしょうか?

そうですね。1,2話あたりではまだそういう部分を出さないんですが、3,4話あたりの尾上さんとのシーンが増えてくるあたりからでしょうか。賢人は周りの不安を煽りたくないから自分で責任を負って、本音を見せないようにするんです。でも、大人のメンツ……大秦寺や尾上さんにはバレているんだと思うんですね。「まだ子どもなので、頑張って隠しているんだな」と思われている。そういう関係性をわかりやすくするために、ちょっと作り笑いをしたり、不敵な笑みを浮かべたり、というのは意識しています。
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』より スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』より スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

――青木さんご自身は、役を離れて賢人という人物をどう見ます?

正直、第一印象としては“ヤバイ奴”に見えるところはあります(笑)。みんなには、「大丈夫。大丈夫」と言いながら、内心は大丈夫じゃない。ただ、それも賢人だから言える「大丈夫」なんです。賢人が本音を言えるのは、おそらくすべてが片付いてからだと思います。消失してしまうときに、「みんなと戦いたかった」「この世界を守ってくれ」といった言葉を残すんですが、それは、負けて消えてしまうことがわかっていて、ケリをつけたかったから出たんだと思うんです。「心配させたくない」と言っていた賢人が初めて本音を打ち明ける。最後らしくて、演じていて面白かったです。

――賢人の性格と、ご自身に共通点はありますか?

抱え込む部分はぼくにもありますけど、流石にここまでは(笑)。頑張ってクールを装ってしまうところは……ぼくも、ちょっとカッコつけてしまう時があります。そういうところは、共通しているかもしれないですね。

――賢人以外にも、色んなキャラクターが登場しますが、いち視聴者として好きなメンバーは誰ですか?

最初に好きだったのは、飛羽真です。なぜかと言うと、ぼくは人を否定しないことがすごく大事だと思っているからなんです。人はどうしても、「違う」と思ったことを否定しがちじゃないですか。飛羽真の場合は最初にまずは肯定して、その後の過程で考えを調整していく。これって、人間性が出来ていないとなかなかやれないことだと思います。ただ、その後に倫太郎、蓮、尾上さん、大秦寺と登場して、みんな個性があって。芽依ちゃんもすごいですし、一人として普通がいない。倫太郎も、最初は常識人かと思ったんですけど、なかなかクセが強くて。だから、今はみんな好きです。

『テニミュ』から『仮面ライダー』へ 新たな経験で得たもの

青木瞭 撮影=鈴木久美子
青木瞭 撮影=鈴木久美子

――青木さんが経験されてきた舞台とは、ちょっと違う演技が要求されたのではないかと思います。撮影の中で、初めて経験したことはありますか?

やっぱり、表情の作り方がいちから違っていましたね。例えば、眉をひそめる仕草とか、相手への目線とか、舞台であれば伝わらない部分を映像で抜かれるので。舞台だと、顎をあげたり、顔を倒して見上げたり、という動きでやっていたところを、細かに作る必要があったので、最初はそこにすごく苦労しました。大げさにやりすぎてしまうんですね。あとは、声の出し方です。舞台だと、よく「お腹から声を出せ」と言われますが、映像だともっと距離感が近いので、小さな声でも受けとってくれます。そういうところで、最初は大きく出してしまったり。

――仮面ライダーだからというより、映像の芝居で苦労した点が多かった?

そうですね。仮面ライダーだから、という意味で苦労したのは“見せ方”でしょうか。大きい体をどう見せようか、とか。あとは、剣の振り方もそうですね。エスパーダは素早くスマートに技を決める役柄なので、剣技のシークエンスには苦労しました。

――「大きい体」と言えば、Twitterで青木さんがバック宙をする映像を拝見して驚いたのですが。190cm近い身長であの動きはすごいな、と。『仮面ライダーセイバー』のアクションはスーツアクターさんがメインではありますが、ご自分でもやってみたいと思っていらっしゃるのでしょうか?

スーツアクターさんたちの見せ方は本当に素晴らしいので、「やってみたい」なんて言うのは、とんでもないです。ぼくは、「いつかできたらいいな」くらいの感覚ですね。

――アクション練習は、結構やられているんですか?

バック宙は20分,30分教えてもらって、たまたま出来ちゃっただけなんです。今は、ミュージカル『テニスの王子様』で知り合った友達と、遊び程度の練習会をしています。

――本格的に取り組まれて、映像で拝見できるのを楽しみにしています。逆に、舞台経験が役だったシーンはありましたか?

改めて聞かれると、意外と難しい質問ですね。体の使い方に関しては、(テニミュは)動きが多い舞台だったので、役立ったかもしれないです。剣を持っていない逆手をどんな形にすれば、自分が奇麗に見えるのか?とか、向きによって斜に構えたほうがラインがよく見えるだろう、とか。そういった、姿形がどう見えるかを意識することは、『仮面ライダーセイバー』でも活きたんじゃないかと思います。
青木瞭 撮影=鈴木久美子
青木瞭 撮影=鈴木久美子

――ここまでの、ミュージカル『テニスの王子様』から『仮面ライダーセイバー』までの経験を踏まえて、ご自分の俳優としての強みはなんだと思われます?

強みは……やはり身長でしょうか。腕も長いでしょうし、もしかしたら足も長いかもしれない。体の大きな使い方は、身長が高いからこそ出来ることだと思うので、そこを強みにしていきたいと思ってます。

――逆に、足りないと思うものはありますか?

足りないものは、全てじゃないでしょうか。お芝居のスキルもそうですし、“見せ方”もまだまだ、これからだと思います。お芝居に関しては、もっと自分の中で落とし込んで、準備する必要がないくらい、自分の中で構成を考えられるようになりたいな、と思います。そうでないと、どうしても時間も無駄になってしまうので。やっぱり、考えがまだ浅はかなので、“何をどうしたらいいのか”に辿り着く、その過程にものすごく時間がかかってしまうんです。消失するシーンをとっても、「ここどうしたらいいんだろう?」「参考になるものはないかな」とか、余計なことばかり考えてしまいました。もっとスムーズに、例えば1,2時間でできるはずのことを、今は4,5時間かかけてやってしまっているので……回転スピードを上げたいですね。お芝居のためにもっと映画もドラマも観て、自分の回転力をあげていく。そして、純粋にお芝居のスキルも上げたいな、と思います。
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』より スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』より スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

――ちなみに、アフレコはいかがでしたか?

アフレコは、毎回苦戦しています。めちゃくちゃ苦手なんです。「お腹から声を出していこう!」と言われて、いざやってみると、「違う」となりますし。“やられる”お芝居もそうですが、必殺技を出すような場面でも、一つひとつの違いを声だけで表現するのが、どれだけ難しいかをアフレコで痛感しました。声優さんたちは簡単そうにやられているように見えますが、ぼくからすると、一つの声色だったり、アクションシーンでの強弱や緩急のつけ方……どれも勉強中ですね。最近は、『ドラゴンボール』を観て、音を消して、一人でアフレコ練習をしています。

――なぜ、『ドラゴンボール』なんでしょう?

例えば、某アニメだと、(セリフが)ちょっと速すぎて。『ドラゴンボール』の戦闘シーンは、手数が多くて速いんですが、「気円斬」とか、「かめはめ波」とか、必殺技を出すときにためを作ったりするところが、あわせやすいんです。

――なるほど。逆に、アフレコで面白いと思ったことはありますか?

体の使い方、声の出し方が根本的に変わったのかな、と思います。最初にアフレコをやらせていただいたときは、声がすぐにガサガサになっていたんですけど、自分なりに「こうやって声を出したらやりやすい」ところが見つかったというか。歌もそうだと思うんですが、自分なりの発声方法が見つかって、「ここなら喉が痛くならない」「ここなら胸で息を吸っていない」というのが見つかって、とても助かっています。

――共演者と一緒にアフレコすることが多いんですか?

一緒にやれる時と、そうでない時があります。例えば、仮面ライダーセイバーと仮面ライダーエスパーダで一緒にやれればいいんですけど、予定が合わない時もあります。セイバーの声なしでエスパーダの声を入れる、みたいな時が一番大変ですね。
青木瞭 撮影=鈴木久美子
青木瞭 撮影=鈴木久美子

――劇場版についても聞かせてください。青木さんが思う見どころはどこでしょう?

ぼくとしては、やはり6人の仮面ライダーの同時変身が印象的だと思いますね。

――ドラマもまだまだ続きますが、これからの展開に何を期待すればいいですか?

ぼくは、今はいち視聴者として観ているんですが。まず観てほしいのは、新キャラクターの登場ですね。「なぜ、出てきたのか?」「どういう変身をするのか?」というところがみどころです。そして、賢人がいなくなってからの展開もすごい。悲しみに暮れる飛羽真に色々言う人もいたり、賢人を巡る争いが起きたり、聖剣をどうするのかといったことで、登場人物たちが疑心暗鬼になっていくところに注目すると面白いと思います。
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』より スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映
『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』より スーパーヒーロープロジェクト(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』/『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』は公開中。

インタビュー・文=藤本洋輔 撮影=鈴木久美子

当記事はSPICEの提供記事です。

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