何度も立ち上がるウルトラマンが原点です! 畠中祐インタビュー

TVシリーズの放送が終了した『ウルトラマンZ』。最後までご覧になった皆さん、いかがでしたでしょうか。みんなの心に残るウルトラマンゼットを演じた畠中祐さんに、ウルトラマンゼットへの想いや、ウルトラマンが好きだった幼い頃の想い出を語っていただいた。貴重な幼少時のお写真もお借りしたのでファンの方々、必見です!

ゼットはアントニオ猪木!?

――ウルトラマンゼットを演じることになった経緯からお話いただけますか。

畠中 事務所から突然電話がきまして、「サンプルボイスを聴いて監督が選んでくれたみたいなんだけど、ウルトラマンの声をやりますか」って言われたんです。そのとき品川駅にいたんですけれど。あまりの嬉しさに軽く叫びました。ウルトラマンは小さい頃から見ていたし、ごっこ遊びもやってきた世代なので、たまらないものがあります。とにかく久々に人前で叫びました。周りからはすっごく見られましたけど(笑)。

――オーディションとかではなかったんですね。

畠中 指名いただいた形ですね。僕ら若手の声優はオーディションを受けることが大半なので、珍しいことでもあり、非常にうれしかったです。

――選ばれた理由はお聞きになりましたか。

畠中 半人前なところや、泥臭い感じとか、ちょっとアホなところとか全部含めて、確かにこれは僕とマッチするなと自分でも思いました(笑)。ウルトラマンゼット君の性格と僕は結構リンクしてるところが多いなと、演じていてすごく感じました。

――ウルトラマンゼットは、どんなキャラクターだとお聞きしていましたか。

畠中 いちばん始めの玩具の音声、収録時に大体のキャラクター像を教えてもらいました。ウルトラマンになりきれないというか、ウルトラマンとして戦うことがまだわかっていないというか。だけど一生懸命さはある。頭で考えるより身体で動けばわかる、といったスポーツマン系のウルトラマンということでした。よくわからないけど先ずはぶつかっていこうぜ、という暑苦しさが欲しい、と田口(清隆)監督からも直接、指導いただきました。ちょっと神聖な、高みにいるような自分が思い描いていたウルトラマン像とは全然違う、「オラオラオラ!」とか「どーんといってガーンといくんだよ!」みたいな擬音が多い雰囲気(笑)。自分でやっていても「これどんなウルトラマンになるの?」という印象でした。もっとも玩具の声は掛け声っぽいものが多かったので、全然わからないまま、勢いで収録した部分もありました。
本編のアフレコが始まって、完成した第1話を観たときも、ちょっと間の抜けたウルトラマンって大丈夫なのかなって正直思いました。これまでのウルトラマンには、どうしても格好いいイメージしかなかったので、こんなお茶目なウルトラマンは、僕の幼少期からの経験では想像できなかったです。でもハルキとの掛け合いを観ていて、こういうことかと思いました。このふたりはバランスがいいのだと。僕が携わっているアニメ作品でも見ないバランスですし、バディものだと熱血とクールが定番ですけど、ゼットとハルキは同じタイプのふたりでもすごくバランスが取れているんですよね。

――相反するものがコンビでぶつかり合うのが定番ですよね。

畠中 暑苦しいゼットと暑苦しいハルキ。こんな二人組は今までなかったなと、逆に新鮮でした。そこが面白かったですね。

――ウルトラマンには「シュワッチ!」といった独特の掛け声があると思いますが、準備されましたか。

畠中 ゼロ師匠、ウルトラマンゼロあたりから戦うときによくしゃべるようになったと思うんですが、今回はどっちなのかなと思っていました。僕はウルトラマンごっこをやってきた世代なので、やっぱり「デュワッ!」「ジュワッ!」っていうのがやりたいんですよね。それを練習していこうと思って、ウルトラマンの声を何人か改めて聞き直したんです。ティガは意外と低い「デュワッ!」だったので、自分なりのゼットはどういう感じなのか想像していたのですが、まさか「キアッ!」になるとは思いませんでした(笑)。衝撃的でしたね。台本にも「キアッ!」と書かれていましたから。

――台本にそう書かれていたら、確かに戸惑うと思います。

畠中 今までにないというか。「デュワッ!」「ジュワッ!」「ヘァッ!」っていうのを聴いていたので、「キアッ!」ってどうしようか戸惑いました。試行錯誤の末に、あの濁った感じになったんです。

――力が入るところですから、下手すると悲鳴になってしまいますよね。

畠中 そうですね(笑)。あとは、ガンマフューチャーやベータスマッシュに姿が変わると、ちょっと声も変わるんです。ベータスマッシュが特に変わっていて、これは監督のこだわりだったのですが、ちょっとしゃべる感じなんですよ。「オラガシャー!」って聞こえましたが、実は「タテ(立て)オラ!」って言ってるんです(笑)。それに手を加えています。「これはアントニオ猪木さんをイメージしてください」って言われました(笑)。だからアントニオ猪木さんが言いそうなことはひと通りやりましたね。


(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

ウルトラマン像の崩壊!?

――それまでに持っていたウルトラマン像が完全に崩れていますね。

畠中 そこからゼットは完全にオリジナルでいこうと思いました。それまでのウルトラマンらしいイメージは捨てて、とにかく監督のアイデアを全部吸収して作っていきました。監督が何歩も先を行くアイデアをたくさん出してくださったので、楽しかったです。

――初めて「シュワッチ!」って言ったときのことを覚えていますかってお聞きしようと思ったのですが、それどころじゃなさそうですね。

畠中 そうですね。「シュワッチ!」に至るまで、「キアッ!」とか「キアターーー!」とか「どうだオラッ!」ってやった後に、「シュワッチ!」は「シュワッチ!」なんだって(笑)。よかった、じゃないですけど、ちょっとホッとした感がありました。飛び立つ時の声も、いろいろあるじゃないですか。「シュオッ!」とか「ヒィヤッ!」とか。それがウルトラマン定番の「シュワッチ!」がやれると思わなかったです。でも今度は格好よくやるにはどうすればいいんだろうって戸惑って動揺しました(笑)。「シュワッチ!」は何度も録り直しましたが、感動しましたね。

――最後までやられての率直なご感想は。

畠中 『ウルトラマンZ』は熱すぎて涙が出る作品でした。熱量が半端じゃない。演じている役者さんもそうですし、画面から伝わってくる撮り方も、ウルトラマンへの愛とリスペクトが伝わってくるし。ストーリー展開
もとにかく熱くて、観ていると揺さぶられて涙が出てくるんですよね。最終回もアフレコしながら泣きそうになる展開でしたし、たまらないものがありました。泥臭いってこんなに素晴らしいことなのかと。ゼットのように泥臭くいたいよなって思わせてくれる作品でした。本当に好きです。

――最後、今までのシリーズでは別々の道を行くことが多かったと思うんですが、ハルキといっしょに旅立ちました。

畠中 そうですね。僕も最終回は別れなのかなと思っていて、それだけで泣けてくるなって思っていたんですが、この終わり方はこの終わり方で、すごく熱いものを感じました。ハルキとゼットは切っても切り離せない関係になったんじゃないかなって思います。ふたりとも守りたいものがあって、これからも戦っていきたいという意思があるんだったら、ふたりが別れる必要がないんですよね。ストレイジのみんなは寂しいかもしれないけど、でもあのふたりだったらフラっと戻ってきそうじゃないですか。だからあの終わり方でよかったと思います。僕としては、まだふたりで続けていきたいというか、一人前になるまで旅は続くと思うので、いい終わり方だったと思います。

――ふたり一緒だといつでも帰ってこれるので、今後にすごく期待をいただかせてくれます。

畠中 『ウルトラマンZ』は、ウルトラマンがすごく身近に感じられるようになった作品だと思います。ウルトラマンも人間と同じように苦悩もする。すごく印象に残っているのが、第11話「守るべきもの」のレッドキング。彼らには家族がいて、ハルキ自身が家族を失う経験をしているので、家族を守るレッドキングを倒せなくて苦悩するんです。僕らの正義は、一方で何かしらの命を殺めることだと気づいてしまう。それはウルトラマンシリーズを通して、めちゃくちゃ難しい問題じゃないですか。それに対して「俺もまだわからないんだよ」っていう率直な気持ちを伝えながら、「ハルキと考えていきたい」と言うシーンがあったんです。ゼットも答えを出せないけど、一緒に考えていくっていう寄り添い方って、すごくゼットらしい。そういうふたりだからこそ、視聴者のみんなと別れるとかじゃない、ずっと一緒にいるっていう終わり方で、ゼットらしいかなと思いました。

――難題ですよね。ウルトラマンコスモスのように、倒すだけが正しいことではない、というウルトラマンもいましたが、何かを守ることがお互いの正義になっていますからね。

畠中 そうですね。難しい。あなたは何を守りたいんですか? ということを突きつけられて、めちゃくちゃおもしろい、考えさせられる話でした。そういった問題もふたりで一緒に考えて答えを「見つける」のが、すごく好きでした。共に成長していくところですね。

――全てを見ていただいた方たちへのメッセージをお願いします。

畠中 『ウルトラマンZ』を見ていただいて、一緒に熱くなってくれて嬉しいです。本当にありがとうございます。TVシリーズはこれで一旦幕を閉じますが、旅は続けていて、近くにいる気もします。まだまだゼットは発展途上なんです。ゼロ師匠には「半人前だ」と言われるでしょうし。ハルキ自身も青臭く泥臭く進んでいる人だと思うので、これからもふたりの旅を見守ってくれたら嬉しいなと思います。


(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

ウルフェスにも連れていってもらいました

――その旅のひとつとして、現在『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』が配信されています。こちらにもゼットが登場する予定です。

畠中 はい。先輩の言うことを聞く前に体が動いちゃうような無鉄砲で、言動が若いゼットを意識して演じました。熟練した先輩方の中にいて、すごく危なっかしい感じのゼットになっていると思います。こちらを観てから、もう一度『ウルトラマンZ』のTVシリーズを観返していただけると、『ウルトラマンZ』の世界と続いているんだなって感じていただけると思います。ぜひそこに注目して観ていただけると嬉しいです。

――『ウルトラギャラクシーファイト』にはたくさんの先輩ウルトラマンが出てきます。ウルトラ兄弟が揃ったり、客演で先輩ウルトラマンが出てくると燃えましたね。

畠中 子どもの頃は超燃えましたね。ウルトラマンフェスティバルにも連れて行ってもらいましたよ。フード付きのティガの洋服を着て、ティガ、ダイナ、ガイアと握手しました。凄くよく覚えていますね。一緒に写真を撮ったりしました。母親にウルトラマンと撮った写真ある? ってきいたら送ってくれたんです。これですね。
(と、スマホのアルバムから写真を見せてくれる。小さな畠中さんが初めて行ったウルフェス会場の前で記念撮影した写真)


――すごい! かわいい!

畠中 98年って書いてありますね。ウルトラマンダイナの時かな。すごく好きだったのは覚えていますね。人形も持っていました、ティガ、ダイナ、ガイアの。

――ウルトラマンシリーズとの出会いは覚えていますか。

畠中 きっかけは『ティガ』『ダイナ』『ガイア』3人のウルトラマンだったと思います。『ティガ』を訳もわからず観ていましたね。劇場版も観に行きました。その後『ダイナ』『ガイア』と観ていくうちにシリーズがどんどん好きになって、初代ウルトラマンやウルトラセブン、平成ウルトラセブンも観ていましたね。家でウルトラマンごっこをしていましたし、家族全員でウルトラマンを観ていた気がします。
子どもの頃、家族で祖師ヶ谷大蔵にあるスーパー銭湯によく行っていたのですが、祖師谷大蔵に ”ウルトラマン商店街” ってあるじゃないですか、そこに行くたびに「ウルトラマンがいるの!?」って興奮していたのを覚えています。今は祖師ヶ谷大蔵が思い出の街ですね。

――完全にそういう土壌があったんですね。

畠中 土壌(笑)。そうですね。ウルトラマンは本当に好きでした。声を聴くだけで、どのウルトラマンの声か答えられるくらいだった記憶もあります。七夕の願い事に「ウルトラマンになりたい!」って書いたのもよく覚えています。まさか叶うとは思いませんでしたが、2020年はいろいろありましたけど、個人的にはハッピーな年になったと思います。

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

プリズムホールに帰ってきた畠中さん!?

――ウルフェスにも行かれていたというお話もありましたが、年末年始に開催される『ウルトラヒーローズEXPO 2021 ニューイヤーフェスティバル IN 東京ドームシティ』に出演されるそうですね。

畠中 はい。小さい頃に観ていたウルトライベントに、まさか出られるっていうのが、感無量で熱が入りますね。

――ゼットの見どころを教えてください。

畠中 先輩方もたくさん出られますが、何よりもハルキを応援してほしい(笑)。これまで一緒にやってきたのでわかるのですが、一球一球魂を込めるように表現するので、イベントだとさらに熱が入って「オーーーーース!」とか相当叫ぶと思います。

(ここで円谷プロの担当者から)
円谷プロ 先ほどのお写真98年でしたよね。今回のEXPOがプリズムホールでの開催なんです。

畠中 ええええええっっっ! 本当ですか!

円谷プロ ウルフェスはずっと池袋で開催してきたのですが、98年は東京ドームシティのプリズムホールだったんです。先程のお写真の場所にお戻りになって、今回は出演されるということですね。

畠中 すごい! マジですか! めっちゃうれしい! 僕が初めて観に行った98年のウルフェスと同じ場所で『ウルトラマンZ』のEDテーマ『Promise for the future』を歌うんです! 演じて歌うだけでも二重にうれしいことなのに、僕の思い出の場所でイベントができるということで、そこも注目して楽しんでもらいたいし、何よりもゼットとハルキが全身全霊で頑張るので、声は出せないかもしれませんが思い切りパワーを届けてもらえたらうれしいです!

――すごいですね、なんか鳥肌が立ちました。写真の少年畠中さんに教えてあげたいですね、将来ここでウルトラマンになるんだぞって。

畠中 多分信じられないだろうな。本当にうれしいです。いやちょっとビックリしました。


▲畠中さんからお借りした、ウルフェスの思い出

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

ウルトラマンを応援したことを忘れないで

――ウルトラマンシリーズが始まって半世紀以上経ちます。これだけ長く続いているシリーズの魅力は何だと思いますか。

畠中 僕はウルトラマンの格好よさに憧れました。子どもの頃は、声を張り上げて応援するんですよね。ウルトラマンが挫けそうになったときに、みんなウルトラマンの名前を叫ぶ。そこで立ち上がるウルトラマンが本当に格好よかったし、僕のヒーロー像はそこが原点だったと思います。何度でも立ち上がるウルトラマンに勇気をもらったし、諦めずに立ち上がる姿、カラータイマーが鳴り続けても最後まで戦おうとする姿に何度も心を打たれたので、ウルトラマンの魅力って、その諦めない姿だと思います。
そして大人になってから観直すと、今回の『Z』もそうですが、ヒーローとして考えるべきことというのが、「子どもが考えるには難しくない?」ということまで提示してくる。『セブン』なんて特に多かったと思います。大人になって観て考えさせられていることにふと気づく瞬間があるんです。
ウルトラマンが長く愛される理由は、ストレートな勇気を与えてくれることと、ちょっと考えさせてくれる重厚なストーリー。それが折り重なってできたものだと思います。子どもから大人まで何度も観られる。それがウルトラマン最大の魅力かなと思います。

――子どもたちの声援に応えるヒーローに、グッときます。

畠中 ストレートで純粋な熱量にたまらなく感動しますよね。僕も今回のEXPOの台本を読んでいて普通に泣きそうになるくらい熱かったです。公演は10日間あるんですが、1回だけ客席で観たいですね。今年は子どもたちの声が聴けないのは寂しいけれど、拍手でパワーを貰って、一緒に熱くなれる空間がある。開催できることが嬉しいです。
すごく貴重な体験をさせてもらっていると思います。僕にとっては一生ものの大事な経験です。

――来年、新しいシリーズが始まると今度はゼットが先輩になりますね。

畠中 ゼットが先輩かぁ。あまり想像できないですが、どうなるのかな。またひと皮もふた皮も向けたゼットが観られるといいなと思うし。ゼロをずっと応援してきた人は、ゼロが師匠になることに驚いたと思うんですが、それと同じようにゼットが師匠になるっていうことが起こった時は、本当に大きな背中になっていると思うし、そういう姿も見てみたいですね。むちゃくちゃそのときが楽しみですね。

――ゼロも誕生して10年で師匠になっていますからね。ゼットもそう遠くない将来に待っているんじゃないですか?

畠中 想像できないですね。そんなに長い間ゼットを演じることができるなら、僕が今まで演じてきたキャラクターの中で最長になるかもしれない。そんな未来が待ってるのかなと思うと、ワクワクします!

――有り続ける限りやり続けていただきたいです。

畠中 もちろん! 僕の声がでなくなるまではずっと演じていきたいと心から思います。

――最後にファンの方や子どもたちへメッセージをお願いします。

畠中 小さい頃から観てきたウルトラマン、ウルトラマンに育ててもらったといっても過言ではないくらい、ウルトラマンからいろいろなことを教わりました。ウルトラマンとの出会い、ウルトラマンを観てきた思い出は、これから先大人になったとき、きっととても大切なものになると思います。ゼットを観てくれている子どもたちも、ウルトラマンを応援したこと、ウルトラマンにかけた声、それはこれから大人になっても忘れないでね! って心から思います。これからのウルトラマンとの人生を楽しんでください、ありがとうございます。


Profile
はたなか たすく ● 8月17日生まれ、神奈川県出身。『遊戯王 ZEXAL』の九十九遊馬 役、『うしおととら』の蒼月潮 役、『SK∞ エスケーエイト』の暦 役など数々の作品に出演。2020年よりウルトラマンゼットを演じる。

>>>畠中さんからお借りしたお写真やゼットの名シーンをすべて見る

(C)円谷プロ (C)ウルトラマンZ製作委員会・テレビ東京

当記事はアニメージュプラスの提供記事です。

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