um-humとはいったい何者なのかーー シーンに突如現れた超新星に迫る「これが運命なんだと今でもずっと思ってる」

SPICE

2019年3月に始動し、1年足らずで関西最大級の音楽コンテスト『eo Music Try 19/20』でいきなりグランプリを獲得。ダークホースになる間もないほどのトップスピードで、シーンに突如現れた超新星um-hum(ウンウン)は、この10月、11月には「Ungra」、「JoJo」と立て続けに新曲を配信するなど、ヒップホップやソウル、ジャズ、オルタナティブロック等を織り交ぜたニュースタイルな楽曲で、その異質な存在感を拡大し続けている。ネクストブレイクの呼び声高いニューカマーながら謎に包まれていた大阪発の4ピースバンドの素顔に迫る今回のSPICE初インタビューでは、ノリと運命に導かれた(!?)結成から、ソングライティングの鍵を握る理念、そして未来への展望までを語る。まだ初々しくも頼もしいその姿を、今のうちに目に焼き付けてほしい。彼らが大いなる夢へとたどり着くその前に――。

um-hum
um-hum

●「自分たちが面白いと思えるかどうか」が理念としてはまずありますね●


――最近のum-humは短期間でかなりの本数のライブをやっていますね。

Nishiken!!(Dr.Samp):だいぶ本数も増えてきて反省点もすぐにフィードバックできるし、日に日に成長を感じてますね。お客さんを入れたライブと配信とで幅も広がったし、コロナもある意味、「非日常」として楽しめています。

小田乃愛(Vo):自分たちは結成1年半ぐらいなんですけど、ライブがたくさんできる=経験値が上がるというか、最近になってようやくライブの細かい部分も決め出したので、数をこなしていけばいくほどに良くなってると思いますね。それまでは各自のノリ任せみたいな感じだったので。

ろん れのん(Gt.Key):去年からこのバンドを始めて、スペックの高いメンバーに感謝ですし、それプラス、メンバーの知り合いだったりファンの方だったり、スタッフをしてくれる方、他のバンド……そういう仲間が増えたことが一番嬉しいですね。バンドをやってる意味って、そういうところにもあるのかなと。

――メンバーそれぞれに演奏力があってコンテストで個人賞をもらっていたり、セッションやサポートも含めて、um-humはプレイヤー志向が高い印象で。むしろバンドという形態にこだわらない活動をしてきた面々が、なぜum-humを始めたのか? それにはまた異なるやりがいや快感があったからだと思うんですけど。

ろん:結局、音楽ってジャンル分けされて、その道で評価されたり淘汰されたりするものじゃないですか。だからum-humと名乗り出す前から、「特別」と言える音楽がずっとしたくて。そういう音楽こそがこれからは残っていくと思うし、有名になりたいとかではなく、「自分たちが面白いと思えるかどうか」が理念としてはまずありますね。だからこそ、サビとかも意識せずバンバン曲にしていく。それがちょっとずつ評価され出したと思うので、改めてやりがいも感じてきて、それに共感してくれる音楽仲間も増えて……という現状ですね。

――例えばジャズにはジャズのしきたりとルールがあったり、音楽と言えど案外、どこに行っても自由なようで自由じゃない。そこで自分たちの表現を求めたのは、必然と言えば必然ですね。

ろん:メンバーの人選も、それこそ偶然っぽいけど必然だったのかなと今、思いました。僕が出会ってきた仲間の中で一緒にやりたいと思った人。ただそれだけの理由でum-humを組んだので。そこから偶発的に作品が生まれて、今のところいい形になっているので。

●あえてガチじゃない人の方が面白いかなと●


ろん れのん(Gt.Key)
ろん れのん(Gt.Key)

――そもそもの結成のいきさつ的には、誰と誰が最初に出会ったんですか?

ろん:僕は高校の頃からジャズプレイヤーとして活動していて、セッションバンドでベースのたけひろと出会って。最初は普通に歳上の先輩という感じだったんですけど、そこでマインドが合ったのが始まりでしたね。ドラムのNishiken!!は、高校の同じクラブの後輩だったんですよ。彼が入部してきたとき、ちょっとだけ一緒にやってみたんですけど、その時からもし自分が社会人になるまでにちゃんとバンドを組みたいと思ったときは、絶対に誘おうと思っていました。

――それぐらいNishiken!!には、最初から光るものを直感で感じていたと。

ろん:そうですね。ハッキリとした理由がない分、説明はできないですけど(笑)。ただ、他の人とやってたらまた全然違うバンドになってたと思うし、創作ってやっぱり人間的な面も大事じゃないですか。そういう意味でも、Nishiken!!は誘いたかったんですよね。そうやって基盤は集まってきたんですけど、ボーカルだけがいなくて。とは言いながら、最初は軽い感覚で1回だけライブをするつもりだったので、今のボーカルと学校帰りの電車が一緒になったときに思いつきで誘いました(笑)。

――(小田)乃愛さんとろんくんは、大学が同じというつながりで。

ろん:仲良くなったキッカケは、喋ってみたら地元が結構近いのが分かって。あと、ボーカルは正直、音楽をやってないヤツがいいなと思ってました。1回きりのバンドのつもりだったので、あえてガチじゃない人の方が面白いかなと。

――その1回きりの企画バンドの名前が、「チャーハン達人(仮)」だと(笑)。結成のキッカケとなったミーティングをした思い出の店名から取ったとのことで、一応ググってみたんですけど、もう潰れているという(笑)。

小田:ハハハ!(笑) そうです、なくなっちゃった。

Nishiken!!:懐かしいね。
小田乃愛(Vo)
小田乃愛(Vo)

――そうやって、大阪・北堀江club vijonのイベントに出て。乃愛さんはそれまでに人前で歌ったことはあったんですか?

小田:いえ、まったくなかったです。本当にただ歌が好きなだけだったので。昔、ノリでYouTubeに動画を載せたことはあったけど、経験としてはゼロでした。でも、ろんの活動を見ていて、「面白そうやな、バンドとかやってみたいな」と、心の底でちょっと思ってたんですよ。そうしたら本当にそのタイミングで誘われて……これが運命なんだと今でもずっと思ってます。ただ、実際にリハに入ったとき、まず「音楽ってこういう感じでやるんや」というカルチャーショックもあって……メンバーと打ち解けられなかったんですよ。

Nishiken!!:リハは3回ぐらいやったけど、シーンとして全然話していなかったもんな。

小田:だから最初は、「みんな嫌々やらされてるのかな?」と(笑)。そのライブが終わった後に全員で写真を撮ったんですけど、そのときにやっと仲良くなったんじゃないかな。

――その1回限りだったはずのライブに手応えがあったから、今のum-humがあるわけですよね。

ろん:その初ライブの後に、vijonの店長の松藤さんが「続けろ」と引き止めてくれたんですよ。「またちゃんとしたイベントに呼ぶから、とりあえずバンド名は変えろ」と(笑)。それでも、2~3回目のライブまではまだノリでしたけど。

――ろんくんのTwitterをさかのぼったら、um-humの結成時に「すごい音楽作って、演奏する集団作りました」と書いていたのに、それでも。

ろん:あれはもう……勢い(笑)。最初はリリースも全く考えてなかったし、超マイペースにバンドをやっていて。みんながそれに付き合ってくれたし、だんだんと打ち解けてはいたので、のらりくらり去年の夏までやってきて。その間にみんなには無断で、オーディション系のライブに応募してみたんですよ。それが『eo Music Try 19/20』と『HOTLINE2019』だったんですけど、気付いたらどっちも奇跡的にうまくいって……。その辺りからメンバーも自信が付いたというか、評価されることでやりがいも出てきたし、ちゃんとバンドに打ち込もうとなりましたね。

――ただ、バンドをやる=コンテストに応募するではないので、なぜそういうオーディションに挑戦したのかなとも思いましたけど。

ろん:バンド活動に大事なのは、ある種のアグレッシブさというか、のらりくらりやるにしても、そういうことにチャレンジした方が早くない? と思って。

――どこまでのらりくらりするかを判断する、可能性を試すには分かりやすいジャッジですね。

Nishiken!!:ただ、まさか『eo Music Try 19/20』でグランプリを取れるとは思わなかったので……(決勝に進出していた)周りのアーティストが圧倒的で、経験値の差が浮き彫りになってしまったかなと思ってたので、本当に夢見心地というか。

――乃愛さんはどうですか? 結果発表のときには感極まって泣いていましたけど(笑)。

小田:いやぁ~そのことは忘れましょう!(笑)

●ギリギリまで全員が自我をぶつけ合う、そこから生まれるいい曲を目指して●


Nishiken!!(Dr.Samp)
Nishiken!!(Dr.Samp)

――今年の1月に1stシングル「Gum」をリリースしたときの乃愛さんのTwitterを見て驚いたんですど、小学校6年生から歌詞を書いていて、300曲+ノート約2冊分までストックが溜まったと。めちゃくちゃスタートが早い!

小田:私は中学受験をしたんですけど、その頃に仲が良かった女の子と離れるのがイヤだからって、なぜか歌詞を書いて(笑)。それを交換日記みたいな感じでやりとりして遊んでたんですよ。それが習慣化して今でも続いてる感じですね。あと、父親が元々ドラムを叩いていたので音楽の話をよくしていたんですけど、私が歌詞を書いてることもなぜか知っていて。私が中学1~2年生ぐらいのときに「歌詞ってめっちゃ悲しいことがあったときとか、感情が高ぶったときに書けるねんで」みたいにアドバイスされて(笑)。そこから本格的に書き出した感じがしますね。

――どこで何に使われるかも分からないのに。

小田:そう。何も分からず本当にただただ、こっそり家で書いてたんですよ。

――そんな頃から歌に、音楽に想いを積み重ねてきたのに、むしろよくここまで歌いませんでしたね(笑)。

小田:ハハハ!(笑) 中学3年生ぐらいのときに自分で曲を作って歌詞も書いてみたんですけど、やっぱり恥ずかしいじゃないですか。ただ、もったいないからnanaという音楽アプリに載せたら、めっちゃ反応がきたんで怖くなってすぐに消したんですよ。

――今は歌詞に関して、誰が書くかはどうやって決めているんですか?

ろん:どんな曲にしたいかはもちろんあるんですけど、僕は彼女みたいに文学的な歌詞は書けないし、それは「JoJo」を見てもらえれば明らかなんですけど(笑)。

――某奇妙な冒険からインスパイアされたやつね(笑)。

ろん:こういうフザけた感じでは書けるんですけど、「Ungra」のメッセージ性というか文学性というか……その辺りの歌詞は書けないので任せてますね。

――乃愛さんは今までメロディも何もなく書いていた言葉が歌になって、しかもそれを自分で歌うという行為をどう思いました?

小田:すごく昇華された感じがあります。私は元々、死ぬまでに何かを残したいとずっと思って生きてきたので。
um-hum
um-hum

――しかもum-humの音楽性のミクスチャー具合というか、得体の知れない感じ……何に影響を受けてどうアウトプットしたらこうなるんだろうという展開もあったりして、ろんくんの中で楽曲をどう組み立てているのかなと思って。ビートルズオタクだとは公言していましたけど。

ろん:いわゆるワンマンバンドで、1人で作詞作曲して指示まで出すと、プレイヤーの個性を潰しがちになっちゃうと思っていて。だから、ギリギリまで全員が自我をぶつけ合って、そこから生まれるいい曲を目指しています。だから1人が歌詞を書くよりも、僕もサブで書いてる方がバンドとしては面白いかなと。それこそビートルズみたいに、ジョン・レノンとポール・マッカートニーの関係性を参考にというか、リスペクトしていますね。最終的にデモをメンバーに渡すときは結構むちゃ振りするんですけど(笑)。

Nishiken!!:本当に(笑)。でも、彼のことはすごく信用してるので、「このプレイヤーみたいに」と言われた人の映像を見て、「こういうアドリブを使いがちだな」とか何となく自分の中にインプットして、それをまたバンドに投げて、返ってきて、投げてみたいな。それの繰り返しですね。

――um-humのメインのソングライターであるろんくんは、どういう音楽を幼少期に聴いて育ったのかは気になっていたけど、となると当然。

ろん:ビートルズです(笑)。あとはローリング・ストーンズとか、UKロックですね。

――親が聴いているそれに影響を受けて、ギターを手に取り。でも、そこからよくジャズに向かったね。

ろん:音楽系の部活がそれしかなかったんですよ。でも、そのクラブに入っていなかったらベースのたけひろとも、ドラムのNishiken!!とも出会っていなかったし。何だかんだジャズにも傾倒してよかったですね。

●意味がない方が想像しやすいじゃないですか?●


um-hum
um-hum

――そうやってビートルズを軸足にUKロック~ジャズの流れからいろんな音楽を雑多に取り込んで。さっき「サビとかも意識せずバンバン曲にする」と言っていましたけど、A→B→サビみたいなJ-POPの様式美を退屈だなと思うところもやっぱりあった?

ろん:そうですね(笑)。でも、最近になってそういう要素もないといけないと気付きました。いわゆるメリハリというか、7~8分の曲とかはのらりくらりの時期にもう十分やったので、「Ungra」とか「JoJo」はそこからは離脱したというか、ある程度キャッチーにしましたし。例えば今後アルバムを作るとき、「この曲のサビはどこなんだ?」みたいな曲を入れるぐらいでちょうどいいバランスなのかなと。それを世間に認められたら、もう万々歳です(笑)。

――「Ungra」、「JoJo」は10月、11月に連続配信された曲ですけど、何かビジョンはありました?



ろん:「Ungra」は元々、全然違うバージョンでやっていて、もっと暴力的な、「歌詞とかメロディはどうでもいい、お客さんの耳をぶっ壊す!」みたいな曲で(笑)。でも、そのままだとちょっともったいないなと思って、歌詞はほぼ丸々書き変えてもらって、リズム隊も試行錯誤して。

――新曲を書き下ろすより、原型があるからこそのリアレンジの難しさというのも。

Nishiken!!:それはありましたね。前のメロディが頭に浮かんでくるし、前のフレーズもついつい出てくるし(笑)。

ろん:僕は割と出し惜しみするタイプなんですけど、「Ungra」は今触っておかないと、もうタイミングがないなと思って。そういう未完成の曲をちゃんと目標のラインまで引き上げたことがなかったので、バンドとして進化できたと思いますね。

Nishiken!!:あと、「Ungra」は元々あった曲ですけど「JoJo」はコロナ禍にできた曲で、自分も気に入っていた曲だったんで、早めに音源にできたのはよかったなと思いました。

小田:「JoJo」を初めて聴いたとき、みんなで「これ、すっげぇな!」とブチ上がってたしね。



――こういう曲を書いているときの、ろんくんの思考回路が知りたいですね。ろんくんの書く曲は「これは失恋したときに書いた曲です」とかじゃなく、気持ちの起点が分からない曲が多いというか。

ろん:むしろそういう曲が書けないだけなので(笑)、逆に書ける人が羨ましいです。ビートルズも初期は恋愛の曲が多いんですけど、中期のサイケな曲とかは歌詞に意味がないんですよ。でも、意味がない方が想像しやすいじゃないですか? ……という後付けなんですけど(笑)。

――MVに関しても、「JoJo」は乃愛さんが描いたジャケットともリンクした映像で、2曲ともアートな世界観がバッチリ構築されていますね。

小田:「JoJo」のジャケットは、それこそ『ジョジョの奇妙な冒険』の作者(=荒木飛呂彦)が、エゴン・シーレという画家のことが大好きで。その人が描いたみんなで談話してるような絵があるんですけど、そのオマージュみたいな感じで描きましたね。あと、「Ungra」のMVの撮影現場では「とにかくめちゃくちゃ動いて」という指示があったんですけど、そうやってみんなが動いてるところを見て、「お前ら、それをライブでもやれよ!」と思いましたね(笑)。

●「宝箱」みたいな活動がしたい●


um-hum
um-hum

――あと、この質問はこれからも散々聞かれるだろうからこのタイミングで聞いておきますが(笑)、なぜバンド名がum-humなんですか?

小田:もうどうやって説明したらいいんやろ?(笑) 最初は私たちの音楽を「うんうん」と何となく聴いていた人も、「ふむふむ」と納得するようになる……みたいなニュアンスで。

――最初は遠巻きで見ていたのが、ちゃんと理解されていくというか。

小田:そうです! しかも、「うんうん」をスマホで打ってみたらこのスペルが出てきたんですよ。それを見て「これええやん!」と。

――謎めいてるけど脳裏に残るというバランスは、バンドの音楽性を表している名前かもしれませんね。2月の『eo Music Try 19/20』のグランプリ獲得以降は、激動の1年だったと思いますが、今年を振り返ってどうでした?

Nishiken!!:今年はコロナもありましたけど、もうやったことがないことばかりで、全部が新鮮というか。それと同時に、「この道に進むんだ」と覚悟を決められた1年でした。20年間生きてきましたけど、一番大事な年でしたね。

ろん:僕はum-humが新しくなる前の1年というイメージですね。

――これからum-humが変わっていくための「助走」というか。

ろん:そう捉えています。um-humでしかないスタイルは今でもあるんですけど、「自分たちはもっと上に行けるんだ!」と思えるようにしていきたいし、ライブから見えることだったり、音源で聴けることだったり、それをもっと強みにした上で知ってもらいたいというか、広げたい。やっぱり音楽は誰かに触れないと、触れられないと意味がないんで。来年はそういう1年にしたいです。

小田:今年は後悔のない1年だったなぁと思います。「um-humはどこまで進化するんだろう? 行けるところまで行きたいな」と思えるような1年でした。um-humとして今後どうしていきたいかを言うと……「宝箱」みたいな活動がしたいです。これからも期待を裏切らない、ずっと楽しみが絶えないアーティストになっていきたいですね。

取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=ハヤシマコ

当記事はSPICEの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ