中川大志「この仕事が好きって根底にあったから、辞めようと思ったことはない」<『ジョゼと虎と魚たち』インタビュー>

 

中川大志さんが声優を務めるアニメーション映画『ジョゼと虎と魚たち』が、このクリスマスに全国公開となります。

趣味の絵と本と想像の中で自分の世界を生きるジョゼと、中川さん演じる大学生の恒夫が、ひょんなことから出会い、恋愛のときめきや人生のきらめきを、叙情的な映像美とともにスクリーンに映し出します。

恒夫役を通じてジョゼに触れた中川さんは、「彼女のギャップが魅力です!」と彼女の魅力を語ります。作品のこと、趣味のこと、今のお仕事のこと、中川さんのことがちょっとだけわかるインタビューをお届けします。

 

 

ーー今回アフレコをしてみて、自分の声について新たな発見はありましたか?

中川大志:今まで俳優として生で芝居をしてきて、自分の声だけにフォーカスして考えたことがあまりなかったんですよね。なので声優の仕事をするようになってから、自分の声に対して自信が生まれました。実は、そんなに自分の声が好きではなかったんですよね。

 

ーーそれはどうしてまた???

中川大志:小さい頃、ハスキーボイスだったんです。変声期には声が出なくて辛いこともあったのですが、声の仕事が続くことで自信につながっていったんです。特に今回の恒夫役は、今までの中でも等身大で自分に近いキャラクターだったので、それほど作り込みをすることもなく、ナチュラルにできたんですよね。チャレンジをさせていただけることはうれしいです。自信になりますよね。

 

ーーアフレコは苦労しましたか?

中川大志:それは毎回(笑)。面白かったことは海に潜っているシーンで、実際にスタジオのマイクの前でシュノーケルをくわえて芝居をしたので、それは面白かったです。なかなかない、シュールな体験でした(笑)!

 

ーー恒夫くんは中川さんと同い年ですよね。ご自身と比べていかがですか?

中川大志:負けず嫌いなところは似ているかもしれません(笑)。恒夫も意思が強いほうで、自分が決めたことを突き進めたいタイプだと思うのですが、僕も負けず嫌いなので、一度スイッチが入るとやらないと気が済まないタイプです。そこは共感できる、似ているところですかね。お話としても現代の大学生に設定が作り直されているので、それも自分と近しい理由だったのかなと思います。

 

ーーご自身と近い恒夫から、何か学んだことはありますか?

中川大志:僕にも彼のように挫折はたくさんあったとは思うのですが、本当の意味で道が閉ざされてしまうような経験と、そこからもう一度立ち上がる強さは計り知れないと思いましたし、僕にはその経験はないんです。壁にぶつかる、苦しみ葛藤することはよくありますが、恒夫のようなエネルギー、強さはすごいなって、演じていても思っていましたね。もちろんジョゼの存在(があって)ひとりではないこともあるとは思いますが。

 

ーーそのジョゼですが、どういうところが魅力に感じましたか?

中川大志:ジョゼは攻撃的で壁があって口も悪いし、エキセントリックな子ですよね。「何だ? この子」って、なかなか出会わないタイプ(笑)。でも、そういう子であればあるほど、一瞬の隙間にパーソナルな部分、弱い部分が見えるじゃないですか。実はこんな子どもみたいに笑えるのか、こんな素直に喜べるのかとか、そういうギャップですよね。普段が強ければ強いほど、ふとした時に、そういうものを見出せた時に惹かれちゃう。それは分かるなあと思って見ていました。

 

ーー清原果耶さんが演じているわけですが、ジョゼの声はいかがでしたか?

中川大志:どういう感じかなって、ある程度想像しながら台本を読んでいたのですが、清原さんの声を聴いて初めて、なるほどなって思うことはありました。ジョゼというキャラクターはすごく難しいと思うので、アニメーション的な芝居にしすぎてしまうと世界観の中で異なってしまうし、ナチュラルにやりすぎてしまうと、ハマらない。このアニメーション映画の一番難しいところはそこで、どっちの表現もあるんですよ。だから僕ら俳優に任せていただいたということもあると思うんですけど、そのバランスは特にジョゼは難しかっただろうと思いながら観ていました。でも自然体で人間味があって感情移入できるし、すごくポップでかわいくて。一方で爆発しているところはパワフルなジョゼだったので、いろいろな表情があって、すごく好きになりました。

 

ーーその表現のバランスは、監督を頼りにしていたのですか?

中川大志:そうです。収録前にそういうお話があったんです。声優さんしかできないことがあるのですが、声優さんにはできない表現もあると、監督はこの映画で絶妙なラインを目指しているとのことでした。アニメーションは画なので、そもそもが記号的なんですよね。普段の生っぽい芝居で当ててもかみ合わないし、キャラクターっぽくしたくないという思いもあったそうで、そこで絶妙なラインを狙っていきたいと。そこは監督の頭の中にあるイメージだったので、その指示を仰いで進めていった感じです。

 

ーーそして完成した映画ですが、感想はいかがですか?

中川大志:言ってしまえば、初めて観るようなものなんですよね。アフレコをしている時って、制作中の映像を観て芝居をしているので、試写で映像を観ることが初回になるんです。アフレコの最中も監督の説明はあるのですが、自分の頭の中で補って芝居をしているところがあるので、想像力が大事になってくる。完成したものを観て、初めてこうなったのかという、こういう空間にいたのか、こういうところを走っていたのか、と知るんです。なのでアニメーションを作るため、ひとりの恒夫を作るためにも、たくさんの方が関わっていて、僕は声を当てている一部でしかないというか、全部がひとつになって初めて恒夫が完成するんだなって。アニメーションと声がひとつに合わさって、初めて演技が完成するんだなって思いました。

 

ーー恒夫のように自分の夢に向かっていく経験はありましたか?

中川大志:悔しい気持ちをバネに頑張れたことはありましたけど、僕は早い段階で今の仕事を目指していたので、恒夫とはちょっと違うかなとは思いますね。僕の場合は、俳優という道があったから頑張れた。気持ちではどうにもならないことってあるけれど、何よりも好きだったので楽しいし、現場も好き。この仕事が好きって根底にあったので、辞めようと思ったことはないですね。

 

ーー<ほしいものに手を伸ばすことがどれだけ怖いことか>というセリフもありましたが、共感はしますか?

中川大志:わかります! その恐怖は何にチャレンジするにしても、常にあると思うんです。若干ニュアンスが変わるかもしれないですが、怖いからこそ楽しいんですよね。逆に怖くないことは楽しくないと思っているので、どうなるか目に見えていることに僕はワクワクしない。不安だし、どうなるかわからない、先がどうなるかわからない、新しいことにチャレンジするって、そういうことだと思うんですよ。経験値がないから。でもだからこそ楽しい。そこが僕はワンセットだと思っているので、逆に絶対大丈夫だなと確信があることはあまり楽しめないかな。新しいことに手を伸ばすことは怖くて当然だと思うんですよね。

 

ーー夢を実現するため、道を極めるために、普段から意識して行動していることは?

中川大志:限界を感じる時ってあるじゃないですか。でも、そこからだと思っています。そこからがスタート(笑)! それは高校の時の先生が卒業式の時に言っていて、自分がダメだと思ったところからが勝負だと。自分はここまでだと思っているけれど、実は自分が知らない余力があったり、どこにこんな力がって思うことがあるかもしれない。自分の限界、自分の100%はたかがしれていると思えたら、より自分に期待できるじゃないですか。そう思っています。

 

ーーところで釣りが趣味だそうですが、アウトドア派なのですか?

中川大志:趣味は多いほうだと思います。今は行けていないのですが、釣り、ゴルフ、カメラ、キャンプ、楽器などなど。キックボクシングなどの格闘技もやっているのですが、今はクレー射撃に興味があります。

 

ーーどうしてまたクレー射撃に?

中川大志:カッコよくないですか(笑)。テレビで観ていて、自分もやってみたくなりました。きっかけがなくて、まだ試していないのですが。

 

ーーさて今回の映画、ファンのみなさんの反応も楽しみですね!

中川大志:僕はアニメーションをそれほど観ないで育ってきたのですが、去年アニメーション監督の役を演じさせていただいたので、その大変な過程について、映画一本作るためにどれだけの作業が要るのかということを、すこしだけ知ることができたんです。そういうことを踏まえて完成した映像を改めて観ると、思うところがありますよね。ひとつひとつの細かい作業、果てしない作業を経て生まれた画が映像になっているので、大きなスクリーンで観てほしいなって思います!(取材・文:takashi.tokita_tokyo、写真:映美)

 

 

アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』は、2020年12月25日(金)より全国ロードショー。

キャスト:中川大志、清原果耶、宮本侑芽、興津和幸、Lynn、松寺千恵美 盛山晋太郎(見取り図)、リリー(見取り図)ほか
原作:田辺聖子
公式サイト:joseetora.jp/
(C)2020 Seiko Tanabe/ KADOKAWA/ Josee Project

WRITER

  • takashi.tokita_tokyo
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  • 「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。映画とディズニー(主にパーク関連)をメインによく取材しているが、パリとクルーズが未体験なことはナイショです。また、ディズニー好きが集まって、あることないことを語り尽くす無害なポッドキャスト「田組fm」が、SpotifyやApple Podcastなどで配信中。

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