コロナ貧困に苦しむ女性たち。31歳で「嫌だけど」手を出した“仕事”

女子SPA!

 今夏、週刊SPA!編集部ではコロナ禍で加速する“女性の貧困”の実態に迫った。あれから数か月──。年が暮れようとする現在も、この“女性不況”は収束の兆しが見えないままだ。このコロナ禍で女性たちに何が起こっているのか?

◆新たな夢を踏みにじるコロナ

「前職の薄給が嫌になって、比較的高収入で雇用も安定している看護師を目指そうと思ったんです」

そう話すのは、増田美香子さん(仮名・31歳)。今年の頭に8年近く勤めていた会社を辞め、現在は看護系の専門学校に通っている。30歳を過ぎて大きな決断をした彼女だが、現在はコロナの影響で経済苦に陥っているという。

「6月頃まではカフェとスーパーのバイトを掛け持ちして、月15万円ぐらいの収入がありました。それを生活費や大学の奨学金の返済、専門学校の学費にあてていました。でも、7月頃から学生はシフトがどんどん削られていって、手取りで月5万~6万円に。赤字は貯金を取り崩してやりくりしてました」

両親の大反対を押し切って会社を辞めたので、頼ることもできない。藁(わら)にもすがる思いで手を出したのは、パパ活だった。

◆パパ活で凌ぐ戸惑いの日々

「最初は嫌悪感しかなかったです。でもネットで見つけたクラブは性行為がNGでも仲介してくれるのを知って登録。基本的に食事だけで1万~2万円。1か月で15万円ぐらい稼げました」

それと同時に恐怖も覚えたとか。

「金銭感覚が狂う怖さもあるし、回数を重ねれば相手もそれ以上の関係を求めてくる。クラブの人には、『深い関係を持てば、一回で5万円とか稼げちゃうよ』と言われるけど、その一線を越えたら、抵抗感もなくなりそうで……」

2年前に婚約破棄を経験した彼女には、「このままずっと一人かもしれない」という思いがある。

「結婚観が合わず、自分から別れたけど、『もし、あの時に結婚していたら』と後悔することもあります。パパ活も歳をとれば難しくなるし、来年から学校が本格的に始まったらバイトの時間もなくなる。今は無理してでも稼がないと……」

一線を越えてしまう日が来ないことを願うばかりだ。

◆エスカレートするコロナ禍の貧困問題

コロナ禍で「女性の貧困問題」がその勢いを増している。

8月の労働力調査によれば、25~34歳の女性の完全失業率が4.7%に上昇し、約5年ぶりの高水準となった。女性の労働問題に詳しいジャーナリストの竹信三恵子氏は次のように語る。

「打撃を受けた飲食業・観光業・小売業の従事者のうち約6割が女性であり、その多くが非正規。現状、女性は何かあればクビを切れる、雇用の調整弁にされている。特に今回は対人サービスが得意領域である“女性”の特性がコロナ禍で裏目に出てしまった形です」

コロナ禍で女性が追い詰められているのには構造的な問題もある。

「日本では“夫”や“親”というセーフティネットありきのイメージで女性の賃金や労働形態が出来上がっている。独立して生きる女性が増えた現代社会において、日本の労働環境が追いついていないという現状が如実に表れた形です」

打開策となる助成金も、制度をつくるだけでは不十分だという。

「たとえばシングルマザーには助成金を受けると“貧しい”として子どもが指さされるのを恐れる人もいる。公的機関による適切な助言や支えが必要なのですが、公務員削減で手が回っていません」

◆女性の自殺率が急増

女性の貧困に関連したショッキングなデータはほかにもある。

「10月の自殺者数が、コロナ感染の総死亡者数を上回る2153人となり、女性の自殺者は前年同月比で82.6%増まで急増しました。その増加率は男性の4倍。自殺の理由を明確に結論づけるのは難しいですが、経済的問題も絡んでいることは間違いない。

また、緊急事態宣言までは誰もが苦境にあるという雰囲気でしたが、夏以降は好調な業種との格差が見えてきた。自分だけ取り残されていると感じた人も多かったはずです」

第3波の到来で、先行きはますます暗くなりそうだ。

【ジャーナリスト・竹信三恵子氏】

和光大学名誉教授。NPO法人官製ワーキングプア研究会理事。専門は労働社会学、ジェンダー政策。著書に『女性を活用する国、しない国』(岩波ブックレット)など。

―[密着ルポ]コロナ貧困女子の“いま”―

<取材・文/週刊SPA!編集部>

当記事は女子SPA!の提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ