梶裕貴・山寺宏一・窪塚洋介が『アレク氏2120』で共演 【インタビュー】梶「全人類に聴いてほしい」、声優・役者の核心を突く山寺の言葉に感服

SPICE


堤幸彦が監督を務めたオーディオコンテンツ『アレク氏2120』で共演した梶裕貴・山寺宏一・窪塚洋介に、SPICEがインタビュー。共演の感想や、役者自身の魅力・芝居が問われるオーディオドラマの難しさについて語ってもらった。

12月4日(金)より4話・5話の配信がスタート

堤幸彦が監督を務めた『アレク氏2120』は、11月19日より配信中の『Amazon Audible』のオリジナルコンテンツ。“聴く映画”と銘打って、1話あたり30分を越えるボリュームで構成された、全12話の本格SFストーリーだ。梶裕貴は主人公・西門慧役、山寺宏一は2120年からきた刑事AI・アレク氏役、窪塚洋介は犯罪AI・ASKR役で共演している。


【インタビュー】声優も役者も、「もともと持ってるものが魅力的じゃないと、面白く聞こえない」


梶 :学生時代から、窪塚さんがご出演されている作品をいくつも拝見してきました。僕にとってはトリッキーなお芝居が印象的な窪塚さんですが、作品や役によっては全く違うお芝居をされていて、もちろんそこには窪塚さんならではのテイストがしっかりあって、本当にお芝居が大好きな俳優さんだったんです。

窪塚:ありがとうございます。

梶 :色々な役を演じられる窪塚さんだからこそ、ご本人に対して、個人的に勝手に様々なイメージを抱いていたのですが…今回収録で初めてお会いしたときから、ものすごく気さくにお話してくださって。それがすごくうれしかったんです。しかも、声のお芝居を楽しみながらやられているのが伝わってきて、改めて素敵な方だなと思いました。

山寺:いや~僕も小さいときから窪塚さんのお芝居を見てきてね。

窪塚:あれ? 俺いくつだ……?(笑)

梶 :時間軸がおかしなことになってますね(笑)。
梶裕貴
梶裕貴

山寺:という冗談はさておき、『アレク氏2120』の台本をもらったときに、窪塚さんがASKRをどう演じるのか、全く想像がつかなかったんです。でも実際にスタジオで窪塚さんのお芝居を聴いたら、びっくり。すごくかっこよかったです。僕も窪塚さんも、同じAIの役。感情を込めないお芝居って、すごく難しいんです。演じる役者自身に何かがないと、その人がもともと持ってるものが魅力的じゃないと、面白く聞こえないものなんです。だからこそ、さすがだなと思いました。収録中、窪塚さんのお芝居を聴きながら、思わず梶くんと顔を見合わせたよね。

梶 :そうでしたね。

山寺:窪塚さん演じる犯罪者AIのお芝居を聴いて、刑事AIとしては負けてらんないなと気合が入りました。ネタバレになってしまうので詳しくはお話できませんが、ASKRは話が進んでいくと、いろいろな面がでてくるキャラクター。そういったところでもとても刺激を受けました。

梶 :そうそう。ASKRからの……という部分でのお芝居がすごく魅力的でした!

山寺:完全な悪役というわけでもないんです。だからこそ、窪塚さんがASKRのいろんな面が見え隠れするお芝居をされていたのが印象的でした。

窪塚:ありがとうございます。今回僕は、声優の皆さんと一緒に演じるプレッシャーがはんぱなかったです。それだけ山寺さん、三石さん、そして梶さんのお芝居が本当にすごかったので。でも同時に、プレッシャーを越えるほどのエネルギーを皆さんのお芝居からいただけたので、楽しんで演じることができました。ほかにも、マイク前での立ち居振る舞いだったり、台本をめくる動きだったり、現場で吸収できるものはなんでも真似して、吸収させていただきました。
窪塚洋介
窪塚洋介

梶 :そんなプレッシャーがあったなんて、こちらは全然気づきませんでした! 今回、窪塚さんは僕らよりも先に収録を始められていたこともあって、スタジオでお会いしたときには、もう当たり前のように堂々とお芝居されていたんです。なので、声のお芝居のご経験がかなりあるのかなと思ったくらいでした。

窪塚:プレッシャーはありましたよ。でもそれを上回るくらい楽しい収録でした。

山寺:今回は、アニメや吹替じゃなくてオーディオドラマだったというのも大きいと思います。同じ声の芝居でも、もともとある絵や映像に声をあてはめたり、誰かの口パクに合わせたりするわけじゃないから、あくまでも自分のお芝居をすればいい。もし映画やドラマで同じ役を演じることになった場合、自分だったらこの役をこう演じるだろうなという感じに、自分の“間”で演じることができるというのはすごく大きいんじゃないかな。

梶 :確かにそうですね。

山寺:一切縛られない分、自分が思うように演じられるのがオーディオドラマの魅力なんです。でも逆に我々声優にとっては、「絵に声をあてるのはうまいけれど、いざ絵がなくなると、芝居自体はたいしたことなかったんだな」とあっさりバレてしまう仕事でもあるんです。

梶 :ああ……おっしゃるとおりですね。

山寺:絵がある状態でうまく聴こえていたのは、単純に絵が芝居してくれていたから。だからうまそうに聴こえてただけで、声だけになってしまうとたいしたことないのがまる分かりになってしまうんです。音声コンテンツでは、ちゃんと芝居ができているかどうかが分かってしまう。だからこそ、芝居ができていない役者には決して務まらないのが、音声コンテンツなんです。

窪塚:なるほど……。

梶 :そのお言葉、ものすごく刺さります。

山寺:芝居がうまい役者は、顔が映ってようが声だけだろうが関係ないからね。要は、その人自身の芝居がしっかりできているかどうかがすべてなんです。もちろん、マイク前でノイズをたてたり、マイクから外れるほど動いたりしてはダメ、という技術的なルールはありますけどね。窪塚さんは、そもそもの芝居が魅力的だったので、音声だけでもちゃんと成立していました。
山寺宏一
山寺宏一

窪塚:僕は掛け合いがものすごく面白かったです。

山寺:そうだね。今回の脚本は、掛け合いが面白い。

窪塚:あまりに面白すぎて、皆さんの芝居を後ろで聴いているときも、マイクに入らないように必死に笑いを堪えていました。

梶 :おそらくマイクには入っていないと思いますが、僕は近くに座っていたので、窪塚さんのその笑い声、実はしっかり聞こえていました(笑)。声の現場というものを窪塚さんが楽しんでくださっているのが伝わってきて、とてもうれしい瞬間でしたね。

山寺:第1話の駮馬(読み:まだらめ)役の波岡一喜さんとの掛け合いも、もし映画やドラマだったら、おふたりは確かにこう演じるだろうなっていう芝居をされてましたよね。だからこそすごくリアルに伝わってくる。できる役者さんが演じると、絵の有無に関係なく声が生きてるから、それだけで臨場感が生まれるんです。

窪塚:オーディブルの宮川もとみさんが、「声優さんのお芝居とは違っていて当たり前。それでいいんです」とおっしゃってくれたのも大きかったです。生身の感じなんだけどAIっていうところにギャップが生まれて、面白くなると言っていただけたので、安心して自分の思うように演じることができました。

山寺:なるほど!

梶 :確かに、そういう異質感・違和感が、ASKRというキャラクターとのシンクロ率を、より高めていたのかもしれませんね。

山寺:絵に合わせる声優だけをやってると、そういう自由な発想の芝居が逆にできなくなってしまうんです。もっといろんな発想があっていいはずなのにね。もちろん、声優全員がそうだってことではなくて、芝居がもともとできている人だったら、声優をやっていてもちゃんとできてるんです。

窪塚:以前、(井浦)新くんとふたりで実写の吹替をやらせていただい事があるんです。でもそのときは、ふたりとも冷や汗がでてくるくらい追い詰められてしまって。

梶 :そうだったんですか。実写の吹替は、演じるということ以前に、映像に合わせるという技術的なハードルが大きかったと思います。

山寺:そうそう。映像に合わせるのに必死で、慣れていない人はまず自分の芝居なんてできなくて当たり前です。演技とは全く違う技術が求められてしまうものだから、大変だったと思いますよ。あればっかりは、演技のうまい・ヘタではないんです。逆に、その技術は慣れさえすればできてしまうものなので。

窪塚:そういうものなんですね。

梶 :だからこそ、今回のオーディオドラマの収録を「楽しかった」とおっしゃってくださったことがうれしくて。

山寺:窪塚さんが掛け合いの芝居を楽しんでくれたのが、僕らもうれしいよ。

窪塚:ありがとうございます。楽しかったです!

梶 :それにしても、先ほどの山寺さんの言葉が、僕達声優にとっては核心を突きすぎていて……。皆さんに――というか全人類に聴いてほしいくらいです。

山寺:全人類(笑)!?

梶 :いやいや、僕は本気でそう思ってます。


山寺:我々声優にとっても、オーディオドラマの仕事は勝負なんです。芝居のできる人とできない人が、バレるから。よく「口パクに合わせるなんてすごいですね、声優さんはいろんな声が出せてすごいいですね」なんて言われがちだけど、それはあくまでも技術。役者としての魅力とは全然違う話なんです。

梶 :声優の本質は、技術じゃないですもんね。

窪塚:なるほど。

山寺:だからこそ、今回のように芝居や役者本人の魅力が求められる機会にできるかどうかが勝負なんです。

梶 :僕も、そういう役者でありたいと思います! ありがとうございました!



「声優・役者 VS AI」の時代が来たらどうする…?



【Audible】特別公開!アレク氏2120 トークセッション

11月19日に開催された『Amazon Audible』プレス向け戦略発表会では、「将来的に、AIが芝居をする時代が来たら?」という、2120年のAIが登場する本作らしい質問が記者から寄せられた。特に音声の合成技術の開発が進んでいる今、声優陣はどのように捉えているのだろうか。



梶 :AIに関する技術というものは日々進化していると思いますし、表現の世界にも、いずれそういった技術が入ってくることはとても面白いと思います。それでも、役者をやらせていただいている身としては、人間にしか表現できない"心の機微"みたいなものを大切にしたいですね。もしかすると、このまま技術が進歩していったら、その人の個性や特徴を細部まで完璧に再現できてしまう日も来るのかもしれません。

さらには、お芝居で掛け合う相手のデータもインプットしたうえで、「この人だったらこう来るだろう」とあらゆる可能性をシミュレーションした上で、自分の芝居を生み出せるようなAIが生まれる時代も来るのかもしれません。それでもやっぱり…想像以上の叫びや慟哭で声がかすれてしまったり、途中で裏返ってしまったりするような、そんな予想もできない音や表現が出てくるのが、生身の役者の、人間の面白さだと思います。そういった意味では、科学技術に負けない人間くさい芝居をとことんしていきたいですし、できると信じています。もちろん、うまく共存していけたらベストですけどね。

山寺:今の段階でも音声技術や合成などは進んでいますが、細かい感情表現は難しいと思います。オーディオエンタテイメントは、そういう細かい表現が勝負になってくるもの。役者の細かいニュアンスから、聴いてくださった方が脳内で想像して楽しむものなので、まだまだ人間の役者には追いつかないと思います。でも技術の進歩の流れは止められませんし、我々人間はそれを活用していくべき。であれば、我々役者は、それを越える芝居をするだけです。藤井聡太さんのように、AIを超えられるよう技術を磨くのみです。

なお、同じ質問に窪塚は「僕自身がそのAIのお芝居を見て“これなら大丈夫だ、問題なくいける”と思えたら……そのときはハワイに行きますかね。コピーロボットに任せて、バカンスにでも行こうかな?(笑)」と回答。キャスト陣を和ませていた。




『アレク氏2120』は1~3話までが配信中だったが、本日12月4日(金)より、4話・5話の配信がスタート。よりディープな物語が展開していくという。Amazonが手掛けるオーディオブック『Audible』にて配信中。


【Amazon オーディオブック Audible】『アレク氏2120』予告映像

取材・文・撮影=実川瑞穂

当記事はSPICEの提供記事です。

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