松井玲奈「物語のパズルの1ピースとしてしっかりはまっていきたい」 舞台版『オリエント急行殺人事件』インタビュー

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2020年12月8日(火)~27日(日)、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて舞台版『オリエント急行殺人事件』が上演される。

本作は1934年英国での出版以降、名探偵ポアロが軽妙に事件を解決する様が世界中の人々を魅了し、長岐に渡りドラマ化、映画化されてきた。2019年、日本初演の幕を開けた本作は、巧みに構成された心理会話劇とコメディを河原雅彦によって演出し好評を博した。そして、アガサ・クリスティー生誕130周年となる2020年12月、演出・河原雅彦と椎名桔平との初タッグにより待望の上演を果たす。

名探偵ポアロが対峙する、一癖も二癖もある乗客たちを演じる俳優陣だが、その中に今回から新たに加わった一人がアンドレ二伯爵夫人役の松井玲奈。現在の松井はTVドラマ、映画、舞台、執筆と活躍中。現在放送中のNHK連続テレビ小説『エール』でもヒロインの姉の関内吟役を務め好評を博している。

そんな松井が今回この作品でどのような想いを抱いているのか、話を聴いた。
松井玲奈
松井玲奈

ーーまずは、舞台『オリエント急行殺人事件』で出演のオファーを受けたときの心境からお聞かせください。

舞台は年1本は時間を割きたいと思っています。でも今年はコロナ禍の影響で無理かな……と思っていましたから、舞台に立てる機会が出来たのが嬉しくて! 『オリエント急行殺人事件』は以前映画で見た事がありまして、その結末にすごく驚いた記憶があります。今回自分が参加できるので、お客様にも自分が初めてこの作品に出会ったときのような感動を味わっていただきたいですね。

ーー今回アンドレニ伯爵夫人役を演じる事となりましたが、脚本を読んでみて彼女をどのように演じようと考えているのでしょうか?

まずは伯爵夫人という貴族であるので言葉使いや仕草などいつも以上に丁寧にやらなければ、と感じています。おじぎの仕方などの所作をしっかり固めていかないとなって。台本には全員が重要な役どころとあるんですが、そのなかでも私が演じる伯爵夫人は事件の鍵を握る役ではないか、と思っているんです。貴族である彼女が持っている二面性のようなものをどう出していくか、今それを考えながら稽古をしています。
松井玲奈
松井玲奈

ーー貴族を演じるにあたって誰か見本となる方はいるんですか?

そもそも余り貴族には詳しくなくて(笑)。むしろこの人みたいな貴族……という風なイメージは持たずにやっています。というのも舞台版では映画版とも立ち位置がちょっと異なるんです。映画版はある意味、貴族という籠の中に入れられている印象があったんですが、舞台ではどちらかというと原作寄りで、アクティブでバイタリティのあるキャラクターとして主人公のポアロと一緒に事件の鍵を探していく場面があるんです。だからまずは貴族の所作を教えていただきつつ、自分自身をなじませてオリジナリティのようなものを出していき、観ている方には高貴な人でありつつ彼女が持っている別の一面を楽しんでいただきたいですね。

ーー演出の河原さんとは作品作りについてどのようなお話をされていますか?

河原さんからは、演出の中でその場面ごとに都度教えていただいています。河原さんは初演の時、台本を練り直したり、完成するまでが大変だったと以前おっしゃっていたんです。だから今回は一度完成したものから、改めてこの作品のロジックを解明しながらお客さんにより伝わるように、と稽古を続けています。
松井玲奈
松井玲奈

ーーなるほど。さて、今回再演という事でそこに松井さんが加わった訳ですが、共演者の方々は皆さん個性的な実力派ばかりですよね! 椎名さん初め共演者から学ぶ事も少なくないのでは?

今回皆さん初めましての方々です。しかも先輩方ばかりで、立ち稽古をしても台詞の間合いなどを理解しつつ、どうステージングを見せていくのがいいのか、凄く勉強になります。なかでも椎名さんはポアロという人物をすごくウィットに富んでてチャーミングなキャラクターに作ろうとされているんですが、そのなかに寡黙さもしっかり持ち合わせていて。寡黙だからこそ時々出てくる冗談でクスッと笑えるようになっているんですよ。個人的に椎名さんには硬派なイメージを持っていたんですが、稽古を通して今はとてもかわいらいいキャラクターに見えてきて(笑)。それ以外にもいろいろな面が見えているので、稽古中の芝居を見ているといつも楽しいんです。​

ーー椎名さん以外で特に松井さんが目を離せないと感じている共演者はいますか?

いやもう皆さん凄いんですが、なかでもグレタ役の宍戸美和公さんがコミカルに演じられていて目が離せなくて(笑)。宍戸さんは初演から続投されているという事もあってグレタのキャラクターをしっかり分かっていらっしゃる。だから仮に私がグレタを演じようとしても宍戸さんの様には演じられないですし、本当に引き出しが多い方だなって思っています。グレタは神を真っ直ぐに信仰する面と、対極的にコミカルなところが常に同居しているので、それを演じる宍戸さんは凄いなって思うんです。

ーーそういう話を聴くと松井さんのグレタ役も観てみたくなりますね! ちなみにアンドレニ伯爵夫人以外でやってみたい役、やらずとも興味がある役ってありますか?

そうですね……(しばし考える)マルシアさんが演じるハバード​夫人です。ハバード夫人は凄く奔放なキャラクターで、初めて本読みをした時からそのキャラがひしひしと伝わってきたんです。夫人の枠にとらわれず他の人の常識から外に飛び出している様が凄く気持ちよく、またそれに振り回される他の方との関係性もよく見えてくるので、稽古をしていても楽しいですね。私自身もこういうお芝居が出来たらな、と思いながら見ています。
松井玲奈
松井玲奈

ーーステイホーム期間中に配信という形で活動をされてきた松井さんですが、8月の「DISTANCE-TOUR-」『夏間麗のリモート授業』に続き、今回も生のお客さんの前で上演できることについてどう思われていますか?

「DISTANCE-TOUR-」のときは実はあまり覚えていなくて……というのも一人芝居だった事で演じる事に必死だったので(笑)。今、この厳しい状況下で、お客様がいてくださるという事はとてもありがたいと思っています。自分のファンクラブ主催で歌を歌う生配信ライブをしたときは、お客様の反応が見えないので怖い部分がありました。ちゃんと届いているかなという不安で。だから目の前に生のお客様がいらして、拍手が返ってくると凄く嬉しくて。劇場まで足を運んでくださるお客様がいる事に感謝しています。​

ーー最後に本作を楽しみにしているお客様にメッセージをお願いします。

この作品をご存じの方も、このオリエント急行に乗って事件の中に巻き込まれているようなハラハラドキドキする感覚を味わっていただきたいです。また初めてこの作品に触れる方もこの物語がたどり着く“終着点”に驚いていただきたいですね。実は最初にこの作品を読んだとき、オチが一瞬理解できなかったんです。でも話が進むにつれ、それぞれのキャラクターが自身の話をしていくという場面が何度もありますからきっと楽しんでいけると思います。自分もこの物語のパズルの1ピースとしてしっかりはまっていきたいです。
松井玲奈
松井玲奈

取材・文=こむらさき 撮影=中田智章

当記事はSPICEの提供記事です。

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