松本穂香×瀬戸利樹、ふたりの“青春”は?「好きな人とお祭」「自転車で…」<『君は彼方』公開記念インタビュー>

 

俳優の松本穂香さんと瀬戸利樹さんが、11月27日(金)より全国公開されるアニメーション映画『君は彼方』に、声優として参加しています。

『君は彼方』は、マンガとアニメーションの聖地・池袋による全面バックアップで描かれる青春ファンタジー。

松本さんは、幼なじみの新(あらた)をずっと好きなのに、伝えられずにいる女子高生・澪(みお)を、瀬戸さんはそんな澪に想いを寄せられている、新を演じています。

めるもでは、松本さん&瀬戸さんにインタビューを実施、声優業挑戦についてのお話や、おふたりの“青春”時代の思い出など、いろいろと振り返っていただきました。

 

――松本さんは声優で初の主演、瀬戸さんは声優に初挑戦となりましたが、声の出演が決まったとき、どう感じましたか?

松本穂香:今回、監督がわざわざ私の事務所に来て、「松本さんがいいんです!」と、すごく熱をもってお話してくださったんです。そこまで私の声を褒めてくださる方は初めてでしたし、期待に応えられるように頑張りたい、という気持ちで臨みました。

 

――瀬名監督は、松本さんの声のどの部分に惚れ込んだ、と具体的におっしゃっていたんですか?

松本穂香:声の出せる幅…声域というんですかね? そのことをおっしゃっていました。スマホでピアノアプリみたいなものを出して、「普通の人はここからここまでだけど、松本さんは、ここからここまであって」と説明してくださったんです。

瀬戸利樹:そうなんですね! 僕は、自分の芸能生活の中で、まさかこんな早いタイミングで声優に挑戦できるとはまったく思っていなかったので、今回のような機会を作ってくださった瀬名監督に、すごく感謝しています。松本さんがお話されたように、何よりも、作品に対する監督の熱意がすごく強かったんです。それに応えられるように、という思いでいっぱいでした。

 

――実際、声を当てられる際、リクエストはあったんですか?

松本穂香:事前に、監督とふたりでリハーサルをさせていただきました。監督がすべての相手役になってくださって、ただ読み合わせるというよりも、立って、すごく動きながら、「もっとだよ! もっとだよ!」と熱をもって演出してくれて。収録の日も、「僕は、こういう思いでやっている」とお話してくれたりしました。あと、新との日常のシーンが大切なので、即興でデートシーンをやったりして、一緒に作っていただきました。

 

――そうしたエチュードは、声優さんのお仕事としては珍しいように感じます。

松本穂香:そうですね、普段はしない……ですよね?

瀬戸利樹:確かに、やらないんですかね!? エチュードは久々でもありました。僕も、瀬名監督のレッスンを何度か受けさせていただきました。マンツーマンで、声優の基礎からしっかり学んで、収録に臨みました。音域というか、自分の声の一番出しやすいところを教えてもらったりしました。キャラクターの中で、高すぎる音を出してしまうと、音が違いすぎて、違うキャラクターに聞こえてしまうことがあるそうなんです。なので、音域についてはすごく気をつけるようにアドバイスをもらいましたし、僕も練習していました。

 

――今回、演じた澪と新に共感する部分は、ありましたか?

松本穂香:私は結構ありましたね。自分にあまり自信を持てなかったり、物事が長続きしなくてすぐ諦めてしまったり、という部分。特に、澪のように学生時代は、自分がほかの人よりダメだとすごく思っていましたし、想いを自分からは伝えるとかも、していませんでした。そういう消極的な部分は、似ているところかなと思います。

瀬戸利樹:僕は、まっすぐなところだけは新と似ているかな、と思います。僕自身なかなか奥手なので、伝えるという部分では、あまり……うーん(笑)。まっすぐ以外は似ていないかもしれません(笑)。

 

――「まっすぐさ」は魅力ですよね。そのほか、キャラクターのどこに魅力を感じていましたか?

瀬戸利樹:やっぱり大事な人に対する新の行動力は、男の僕から見ても「素敵だな」と思います。……今って、想いを(直接)伝える人って減っていると思うんです。…まあ、僕もそのひとりなんですけど(笑)。そんな中、それでもちゃんと言葉で伝えることができるのは、すごくいいなと。新は、若い人たちの筆頭になるキャラクターなのかな、と思いました。

 

松本穂香:澪の魅力のひとつに、好きなことがたくさんあること、だと思います。歌が好きとか、新が好きとか、くじらが好きとか。私自身、そういう「好き」という感情は大切にしたいなと思っているんです。あと、実は、澪も新と同じように「まっすぐさ」も持っているのかなと。まだ自分では気づいていないだけで、たぶん最初からいろいろなものを持っているんだろうし、成長していく中で気づいていくのかな、と思いながら演じていました。

 

――お互いの声を聞いての印象は、いかがでしたか?

松本穂香:普段の瀬戸さんの声とはまた違う、少し低めで落ち着いた感じなんだな、と思いました。新は、澪を包み込んでくれるような存在だと思っているんですけど、そういう包容力のある優しさが、瀬戸さんが出す新の声にはありましたね。

瀬戸利樹:松本さんは、もちろん声がすごく素敵なのもあるんですけど、澪の……何て言うんだろう……。女性特有のかわいらしさとかキャピキャピ感とか、その塩梅を出すのが、すごく上手だなと思いました。絶妙なところだと思うんです。

 

――おっしゃる通り、非常にナチュラルでした。松本さんは、一方で、すごく叫んだり、感情をむき出しにする台詞もあったかと思います。そのあたり、やってみての感想を伺いたいです。

松本穂香:その辺りは、監督と本当に一緒になって、どっぷりつかってやっていました。もう……何回も何回も叫んで、「もっとだよ! もっとだよ!」という感じで、やらせていただきましたね。監督がこの作品にかける思いは、あのようなシーンを撮っているときに、本当に感じました。

 

――『君は彼方』では、澪が大事な選択や決断をしていきます。おふたりの人生で、一番大きな選択は何でしたか?

松本穂香:ええ! 何ですかね~……選択かはわからないですが、もともと大阪に住んでいたので、東京に来ることは、すごく環境が変わることだったのかなと思います。ただ、選択したというよりかは、そうするのが当然みたいな気持ちで東京に出てきましたね。……瀬戸さん、どうですか?

瀬戸利樹:僕は、野球を続けるか、辞めるかという選択ですね。ずっと野球をやっていたんですけど、高校に入ってからも続けるかどうかは、自分の中では一番大きい選択だったと思います。もし野球をやっていたら、たぶん芸能の仕事にも出会えていなかったので。そういうのも含めて、一番の大きな選択でした。

 

――青春ファンタジーにかけて、おふたりの「これ、青春だったな」という出来事も教えてもらえますか?

松本穂香:(瀬戸さんに)いっぱいありそうですね。

瀬戸利樹:いやいや、そんな! ないですよ(笑)。

 

――松本さんも、いっぱいありそうですが……?

松本穂香:え~青春……。でも好きな人とお祭に行ったりはしました。浴衣を着ていたかは……記憶が少し曖昧なんですけど(笑)。すっごい人混みだったので、喧嘩したのを覚えてます。

瀬戸利樹:わははは(大爆笑)!

松本穂香:(笑)。せっかくお祭に行ったのに、喧嘩しちゃって。でも、それも青春ですよね。

瀬戸利樹:ですねえ。僕のはちょっと違う青春なんですけど(笑)、高校のとき、千葉のほうに住んでいたんです。友達と一緒に、そこから東京まで自転車で行ったことがあります。すっごい遠かったんですけど、めちゃめちゃ青春でした。しかも、普通にママチャリで行ってしまったという。

 

――なぜ、行くことになったんですか?

瀬戸利樹:その友達、すごくアニメ好きだったんです。「秋葉原に行きたい。買いたいものがある。けど、電車賃を使うと買いたいものが今月買えない!」と言っていて。「えっ!? そこまでして買いたいの!?」と驚いたんですけど、そのまま「自転車で行くんだ。一緒に行く?」と聞かれたので、ちょっと興味があったから、「じゃ、ちょっとついていく」って。ちょっとどころじゃない、めっちゃ大変でした(笑)。

松本穂香:どれぐらいかかるんですか?

瀬戸利樹:片道、えっと……4時間半かな。

松本穂香:えええ! 片道4時間半!?

瀬戸利樹:そうです。午前中に出て、着いて、本当にちょっと(商品を)見てすぐ出発でした。……こんな青春で大丈夫ですか(笑)?

 

――ばっちりです! 最後に、本インタビューは、「めるも」という趣味女子メディアで掲載されます。おふたりが今ハマっている趣味を教えてください!

松本穂香:私はお笑いが好きです! ひとりで、劇場に観にいったりもします。好きな芸人さんは、ジャルジャルさんです。

 

瀬戸利樹:僕は今、コップ集めにハマっています。どこかに行ったときは買うようにしたりして。その延長で、さらに花瓶にもハマりそうになっております(笑)。

 

――ご自宅でお花を生けたりされるんですね。

瀬戸利樹:そうなんです。今までドライフラワーにしていたんですけど、お仕事柄、いただく機会も多いので、ドライフラワーにするのと花瓶に生けるのと、両方楽しもうと思っています。(取材・文:赤山恭子、写真:iwa)

 

 

アニメーション映画『君は彼方』は、2020年11月27日(金)より公開。

キャスト:松本穂香、瀬戸利樹、土屋アンナ、竹中直人、夏木マリ ほか
監督・原作・脚本:瀬名快伸
公式サイト:kimikana.jp/index.html
(C)「君は彼方」製作委員会

WRITER

  • 赤山恭子
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  • エンタメ雑誌編集部に勤務後、ハリウッド映画の版権を買い付け日本国内で販売するディストリビューターを経て、フリーの映画/エンタメライターに。現在は、監督・俳優のインタビューを中心に、現場取材、映画紹介コーナーほかも担当。相手の心に寄り添い、時に突っ込みながら深めてゆくインタビューが持ち味。