ビートたけしの名言集「マンネリを嫌いアップデートして話す癖」

アサ芸プラス


 以前、当連載でもチラッと書きましたが、10年程前、世界的映画俳優・ジュード・ロウが来日した際、テレビ局の楽屋に直接殿を訪ね「あなたの映画のファンです。僕をあなたの映画に出演させてください」と、熱いラブコールをされ、ジュード・ロウが楽屋を去ると、殿はすぐさま「あいつ、ハゲてたよな?」と、無慈悲な言葉を言い放ち、周りを困惑させたことがありました。その後、このエピソードは、人気番組「SMAP×SMAP」に殿が出演した時、殿の珍言としてかなり大きくフューチャーされ、ドッとウケた経緯などもあって、殿の中でも“わりと好きな自身の珍言”といった感じで、みずから漫談で何度も披露しています。

ただ、そこは殿です。しっかりとアップデートして語ります。つい先日も、殿との雑談の中でこの話になった時、

「あの時よ、マネージャーが『今日は外国から“柔道王”があいさつに来ますよ』って言うから、俺はてっきり、オリンピックで金メダルを獲った、ウィリアム・ルスカでも来るのかな? って思ってたら、やけに細い二枚目の外国人が入ってきて、驚いたんだよ」

と、漫談として再構築させていました。ジュード・ロウから「柔道王」、そして最後はウィリアム・ルスカにまで飛躍させる殿、たまりません。殿は恐ろしく記憶力がいいため、以前聞いた話や、語ったことを同じように話すことが容易にできるはずです。が、何にしてもマンネリを嫌う殿は、ごく自然にどの話でも、アップデートをして話す癖がついたのではないかと。きっとこれは、歌手やミュージシャンの方が、自身の昔のヒット曲にアレンジを加え、歌いまわしを変えて歌う“あのやり方”と心理的には同じではないかと。

以前、北野映画「HANA-BI」にて、ベネチア映画祭でグランプリを獲得した殿が、弟子の運転する車の中で、

「お笑いでも映画でも天下取ったのって、俺ぐらいじゃねーか? 今、芸能界で俺よりビックなヤツっているのかよ?」

と、酔っていたとはいえ、珍しくビックマウス発言を繰り出した直後、偶然、六本木で、ビックすぎる大スター・小林旭さんを見かけると、殿は車から慌てて飛び降り、「小林さん、ご無沙汰してます! たけしです」と、90度にお辞儀してあいさつをしたといったエピソードがあります。このエピソードをわたくしがテレビ番組にて、殿の前でしたところ、後日、殿は、

「北郷、あの話よ、小林さんが俺を見つけて『なんだ、たけしじゃねーか』って気づかれたから、俺が慌てて飛び出してペコペコ頭を下げて、車に戻ってきたら『参ったな。小林さんが俺を監督監督って言って、離さないんだよ』って、強がってたって話にしたほうがもっと情けなくていいんじゃねーか」

と提案し、その後、確かにそうした新たな描写を施して語っていました。常に“面白いほう”にアップデートしていく殿、最高です。

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◆プロフィール アル北郷(ある・きたごう) 95年、ビートたけしに弟子入り。08年、「アキレスと亀」にて「東スポ映画大賞新人賞」受賞。現在、TBS系「新・情報7daysニュースキャスター」ブレーンなど多方面で活躍中。本連載の単行本「たけし金言集~あるいは資料として現代北野武秘語録」も絶賛発売中!

当記事はアサ芸プラスの提供記事です。

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