一点ものの古着とは一期一会、ヴィンテージを日常に取り入れてみて

女子SPA!

『わたし史上最高のおしゃれになる!』『お金をかけずにシックなおしゃれ』などの著書があるファッションブロガー・小林直子さんが、愛用しているアイテムをご紹介します。

◆日本でもヴィンテージをあつかう古着屋さんが増加

ここ数年のファッションの世界におけるサステナビリティを重視する姿勢の流れの中で、セカンドハンドと同様に、古着、あるいはヴィンテージが再び注目されるようになりました。

ほとんどのヨーロッパの都市には昔からヴィンテージショップがあり、それこそ100年ぐらい前のものから、ごく最近のものまで多く売られています。

実際に着るために買う人、またデザインするときのデザインソースとして買う人などさまざまですが、どこのショップも人でにぎわっており、わたしもロンドンやパリへ行った折には、どこかしら寄ってはひととおり見て回りました。

けれども、実際に買うとなると、これがなかなか難しいため、今まで外国で古着を買ったことはありません。

デザインがいいなと思っても、状態が悪かったり、または状態はとてもよいのに日本での着る機会が全く想像できないものだったりと、手に取ってレジまでもっていくまでには至らず、いつもショップの中を考えながらぐるぐる回っただけでお店を後にするのでした。

日本にも昔からヨーロッパやアメリカの古着を扱うショップは、高円寺や代官山にぽつぽつとありましたが、それらのショップはやはり古着好きの一部のコアなファンのためのショップといった風情で、特に古着が好きというわけではない一般の人が日常的に訪れるショップではなかったと思います。

しかしここへ来て、日本のごく普通の街にもヨーロッパやアメリカの古着を扱うショップがぐんとふえ、しかもそれらのショップではごく普通の人たちが、新品のものを選ぶときと同じように古着を楽しそうに選んでいる光景が日常的なものとなりました。

◆日本のショップは、状態によって古着を選別しているので安心

海外のヴィンテージショップと違って、日本の古着屋さんには安心感があります。

なぜかというと、例えばロンドンの古着屋だと、破損がひどかったり、しみがついていたりするものも普通に売られていたりするのに対して、日本の古着屋の場合、まずショップが古着の状態を選別しているので、着るのに支障があるほどの破損や汚れがあるものは売られていないからです。

また、日本での日常生活ではどうにも着る機会がないものも除外されていますので、これは一体どういう場面で着たらいいのだろうかと、いちいち悩む必要がありません。

◆古着選びは一期一会を生かせるかどうかの真剣勝負の場

古着の中から何を選ぶかは、その人の趣味とセンスによります。

古着選びとは、デザイン、質ともによく、自分にとって必要で、かつ長く着られるものを、ブランドという情報なしで選べるかどうか、それが可能な鑑識眼を持っているかどうかが試される場であるだけではなく、今この場でしか売っていない一点ものとの一期一会を生かせるかどうかの真剣勝負の場でもあります。

大げさに聞こえるかもしれませんが、実際のところ、いいものは次の機会に訪れても、大体売り切れています。

◆70年代か80年代の古着の手編みセーター

さて、サムネイルのフェアアイル柄のセーターは日本の古着屋で購入したもの。実は、これはどこかのブランドのものではなく、どなたかの手編みのセーターです。

なぜそれがわかるのかというと、ブランドのロゴの入ったタグや洗濯表示は一切なく、そのかわりに前と後ろを示す、毛糸のループが小さくついていたから。

どれぐらい古いのかはわかりませんが、たぶん70年代か80年代でしょう。毛玉も汚れもしみも一切なく、とてもきれいな状態の古着でした。きっと誰かが誰かのために編んだのに、着ないでそのまま放っておかれたものなのでしょう。こんなにきれいに編まれているのに、どうやら誰も着てくれなかったようです。

しかし、どういう経路かは不明ですが、遠く日本まで旅をして、今こうして私が冬に着ているのですから、編んだ人の気持ちは報われたことでしょう。

ちなみにこのセーターは4500円ほどでした。もちろん今売られている同じようなクオリティの新品は、こんな値段では買えません。

◆古いものを大事に着るということは、とても価値あること

いい質のものは長く着られます。それを着るのは必ずしも一人である必要はありません。誰かが要らなくなったら、次の誰かが着ればいいのです。古いものを大事に着るということは、とても価値あることです。

質が高く、誰かが大事に着ていた服を今必要としている人が着る。そうやっていい服は長い間、生き続けることができるのです。

<文/小林直子>

【小林直子】

ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。新刊『わたし史上最高のおしゃれになる!』は発売即重版に

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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